今年発売されたアトピー性皮膚炎への新薬、デュピクセントですが、
当院でも処方を開始して1ヶ月以上が経過しました。
すでに数名の患者さんに対しての治療が始まっていますし、
一部の方はすでに1ヶ月以上経過しております。
ここで医療者側から見たデュピクセントの評価をお話したいと思います。
一言で言えば
・ものすごく効いている
でしょうね。
もう少し細かく見ていくと、症状ごとに微妙に異なるのですが、
すぐに良くなるものが
・皮膚の赤み
・かゆみと睡眠障害
この2点に関しては、初回に注射しただけで劇的に改善します。
これよりももう少し時間がかかるのは
・皮膚の乾燥
・皮膚のざらつき
いわゆるテクスチャですね。
こちらは上記に比べてもう少し時間がかかりそうです。
なお、これは理論的にも十分に予想されていまして
湿疹部分に新たに形成させる皮膚は弱い。
ということがすでにわかっているんですね。
なので、炎症が引いてしばらくしないとしっかりとした皮膚ができてこない。
したがって現在のざらついた皮膚つまり湿疹がある時に形成された皮膚はしばらく残ってしまう。
というわけなんです。
また、それよりも更に時間がかかるのは
・皮膚のごわつき
・色素沈着
・アミロイド苔癬
ですね。こちらは数カ月はかかるでしょう。
これも同様に皮膚の炎症が収まって正常な皮膚ができて初めて収まっていくものなので
どうしてもより時間が必要となります。
また色素沈着も真皮に存在する色素の消失には下手をすると年単位の時間がかかりますので、
こちらもデュピクセントの開始後であったとしても早急な改善は難しいでしょう。
アミロイド苔癬も沈着物であり、時間はかかるでしょうね。
デュピクセントの治療開始により、アトピー性皮膚炎の治療手段は一気に広がることになりました。
特にかゆみ、睡眠障害が落ち着くのは生活の質を一気に押し上げることになるでしょう。
診察をしていても、金額のことはいろいろ言われるにせよ、薬の効果が弱いと言われることはありませんでした。
患者さんがごきげんな状態で受診してくれるのはこちらも非常に嬉しいものがありますね。
以上、デュピクセントの使用報告でした。
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