わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

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書評:「下流老人」 著:藤田孝典(朝日新書)

書評:「下流老人」 著:藤田孝典(朝日新書)

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)週刊東洋経済 2015年 8/29号[雑誌]

「下流老人」 著:藤田孝典(朝日新書)

 

先日NHKスペシャルでも放送されていました。

また、週刊誌でもありましたので、気になっている方は多いかと思います。

 

下流老人

非常にインパクトのあるタイトルです。

「下流」ナニナニと言うのはいぜんより使用される言葉ですが、

ついに高齢者の世界まで入ったかと、当初は簡単に考えていました。

でも、実際に本を読んでみると衝撃以外の何物でも有りません。

テレビでは語りきれなかった、問題がこれでもかと提示されます。

 

高齢者は病気になりやすいのは自明の理ですが、

その結果どうなるかという結末一歩手前の状態が書かれています。

 

読まれたからの中には大げさではと思う方も居るかもしれません。

でも、これ、事実ですよ。

 

職業柄高齢者のお宅まで往診してお伺いすることがあります。

さまざまなお家があります。

普通のお家で家族と一緒に暮らしている方も多いのですが、

逆に、この本に書かれているような生活をされている方もいます。

 

いつ行っても部屋のなかが雑然としている。

部屋の中からあまり良くない匂いがする。

食事はいつ行っても同じもの。菓子パンとお弁当だけ。

コップの中には、いつからあったのか分からない謎の黒い液体が入っている。

などということもあります。

(有る特定のお宅では有りません。幾つかのお家の話を合成しています)

また、介護している方も、かなり疲れていたり、

外出していないように見えたりします。

エアコンがそもそも設置されていない、冬なのに薄い布団しか無い。

などという家庭もあります。

また、男性が一人で両親を介護していることもありますし、

子どもが引きこもりになっているような家庭もあります。

隣で見ていてその家庭の今後が心配に成ることもあります。

 

ただ、以上のお家すべてに一致することですが

外からは全く見えません。

多分、隣のお家の人はこの状況を知らないんじゃないかな。

と考えてしまうこともしばしばあります。

 

そのような状況を目に見える形で提示したこの本は

それだけでも非常に価値の有る本です。

 

自分が、両親が、家族が・・・・と考えて、ドキッとした方は

一読してはいかがでしょうか。

難しく、深い(不快?)問題ですので、対処法は一筋縄では行かないでしょう。

でも、まず、知ること。

それだけでも随分と世の中が違って見えてくるのでは無いでしょうか。

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