最近、ネット界隈ではお薬手帳の有無について何かと話題になっているようです。
確かに手帳をもらわないと少し値段は安くなるのは事実ですが、
それでよいのか?を皮膚科医の立場で考えてみました。
「なんだい、皮膚科医なんて塗り薬しか出していないじゃん」
と言われますが、それはそのとおりです。
特に私はあまり出さない方ですので、何種類も飲み薬を飲んでいる患者さんは数えるほどしかいません。
では、なぜ皮膚科と飲み薬に関係があるのか?
それは薬剤アレルギーの話です。
皮膚にも薬剤でアレルギー反応が起きることがあります。
「薬疹」と皮膚科医が呼ぶ病気です。
つまり、体の中に入った薬の成分に対してアレルギー反応が起きるわけですね。
この薬疹ですが、本当にピンキリです。
薬をやめたら数日ですぐに引いてしまうものがほとんどですが、
(アレルギーの原因となる薬をやめるのが唯一の治療です)
重症になると本当に命に関わる病気も中にはあるのです。
スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症、薬剤性過敏症症候群といったものがあります。
この診断は唯一つ。
原因となる薬剤を突き止めることです。
ここで必要になるのが内服歴あるいは服用歴と言われるものです。
実はこの内服歴を確認するのがとても大変なのです。
何を飲んでいるのか?
それを調べるために数日必要となることも往々にしてあります。
(皆さん、現在飲んでいる薬の名前を全種類、ソラで言えますか?)
ここで活躍するのがお薬手帳です。
この手帳がひとつ有るだけで数日かかるものが10分で済んでしまうのです。
この違いは大きいですよ。
治療方針を立てるのが、格段に楽になります。
治療開始も早く出来る。
時には失われる命を救うことが出来るかもしれません。
たかが手帳、されど手帳です。
薬局の数十円節約するメリットとトラブルになった時の対処が変わるメリット。
そちらを取りますか?
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