「疾病と世界史」
著:ウィリアム・H・マクニール
高校時代、世界史は私には合いませんでした。
その当時はなんとなくだったのですが、
最近になってその理由がおぼろげながらわかってきました。
つまり、歴史というものは、地理、気象その他の分野のバックグラウンドがわかって初めて理解できるのです。
当然、言語や風習、文化もわからない状態では単語の羅列になってしまいます。
日本史であれば、地理や気象条件は大きく変化することがないと直感的にわかるのですが、世界史ではそうも行かないですよね。
(でも、気象については気象歴史学という、真面目な学問になっています。地理についても条件が変わっていますので、逆に注意が必要ですが)
いままで世界史では政治、経済の話を中心に語られることが多い状態でした。
しかし、最近は気象条件も合わさり議論になっているようです。
例えば、飢饉と火山の噴火や太陽光の強さ、寒冷化などは有名でしょうか。
この本はさらに「病原微生物」による伝染病という軸を中心に世界史を語っています。
つまり、歴史にたびたび出てくる伝染病がいかにその当時の社会に影響を与えたのか。
という話が中心となります。
読んでみて、ひとつ言えること。
それは社会の動乱が伝染病を呼び、伝染病が社会の動乱を呼んできた
という話です。
古代ローマ帝国を始めとして幾つもの強大な国家が伝染病のために滅んだ
という非常に興味深い仮説が示されています。
医学に携わる人間として、非常に感銘を受けた一冊でした。
日本ではどうだったのでしょうか。今度時間がある時に調べてみましょうかねえ。
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