今回のお話はどちらかと言うと、専門家向けです。
いちご状血管腫は全新生児の約1%に出現すると言われる血管の腫瘍です。
腫瘍といっても良性の腫瘍であり、転移することはありません。
しかし、時に大きくなり、色々なモノを圧迫する事があるので注意が必要です。
治療は今はレーザーが標準的です。
今回はレーザーの詳しい話には突っ込みません。
また、より難しいのが未熟児あるいは低出生体重児のいちご状血管腫です。
そもそも低出生体重児にはいちご状血管腫はより多く発症することが知られています。
満期産の子の数倍であり、数%という発症率です。
何が問題になるか?病気の進行具合と治療の適応です。
頭を悩ませる医療従事者も多いかもしれません。
ここに私の経験に基づく治療方針について記したいとおもいます。
いちご状血管腫の状態について
いちご状血管腫は生後6ヶ月まで大きくなることは知られています。
逆にそれ以降大きくなることはありません。
低出生体重児ではどのような動きをするのか?
それは「出産した日」を基点に考えるべきです。
出産した日から6ヶ月。
これが拡大の目安となります。
(当然色調も大きなヒントになります。色が落ち着いてきたら拡大も落ち着くのはみんな一緒です)
間違っても、「修正週数」を基点に考えては行けません。
治療期間の見極めを間違えることになり、過剰診療を行う可能性があります。
レーザー治療の適応について
低出生体重児でもレーザーを行うことは問題ありません。
しかし、気をつけるべきことは皮膚の厚さについて。
低出生体重児では皮膚は薄く、ヤケドなどのトラブルを起こす可能性は通常よりも高いと考えるべきです。
出力、パルス幅の選択する時に気をつけるべきことはその子の「修正週数」です。
修正週数を見て、出力を決めるべきです。
(修正週数=その子は満期産の時には在胎何週なのか?)
つまり、修正40週で一般の新生児と同じ強さ。
それより小さいなら出力は落とす。
それより大きいならは修正週数に応じた月齢の子と一緒の出力で照射する。
間違っても「出産した日」を基点にして出力を決めては行けません。
往々にしてその出力は強く、トラブルを引き起こすことが有ります。
病態および治療法の選択に際して、児の年齢は非常に重要な要因です。
なにを基点にして考えるべきか、その参考になればと思います。
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