本日、カネボウのホームページに初めて詳細が掲載されました。(リンクはこちら)
やっと、詳しい情報が出てきたのでほっとしています。
いままで、マスコミを中心として出てきた情報ですが、あまりにも錯綜していました。
特に問題と考えるのが、「白斑」という言葉でした。
メーカーの公式情報には「まだらに白くなる」と記載されていましたが、
一部ニュースではこれが「白斑」となっていました。
実は「白斑」という言葉には2つの意味があります。
一つは皮膚の色素が抜けて白くなる。という肉眼的な症状を表す言葉。
例えば、湿疹の起きた後に皮膚が白くなることがありますが、これを白斑と呼ぶこともあるのです。
この湿疹の後に皮膚の色が抜けてくることは一時的なものですので、あえて治療を行う必要はありません。
(余談ですか、下記の「白斑」と混同を防ぐために私は診察時には「脱色素班」という言葉を使っています)
もう一つは皮膚の色素を作るメカニズムがおかしくなっている。という病態に踏み込んだ言葉です。
特に、白斑を作る病気で一般的に知られているものは「尋常性白斑」というものでしょう。
この尋常性白斑は皮膚の色素細胞(=メラノサイト)に対する自己免疫性の疾患ですので、
皮膚に炎症がおこり、多くは徐々に拡大していきます。
拡大するようであればステロイド(や、保険は効きませんがプロトピック、ビタミンD3軟膏)の塗りぐすりや
紫外線照射などの治療が必要となります。
つまり、「白斑」という状態でも、一方では時間が解決してくれるので、様子を見ればよく、
もう一方ではしっかりと治療を行わないと、どんどん広がってきてしまうのです。
残念ながら、当初の情報ではこのどちらに当たるのかが不明確でした。
個人的な意見を言えば、カネボウのHPに「白斑」という言葉ではなく、「まだらに白くなる」
と記載されていたことは前者の可能性が高いだろうと考えていましたが、確証はありませんでした。
今回のメーカーの発表では、より詳しい症状の記載がされていました。
特に塗り薬やその他の治療を行う必要はなく、時間が解決してくれるようです。
これで99%は安心して皆さんにお話することができます。
残りの1%ですが、非常に専門的かつ細かな話になるのですが、
「細胞診でメラノサイトが残存している例」とのことですが、
尋常性白斑でもメラノサイトは残っていることはあります。
皮膚組織をとった時の結果についても是非知りたいです。
それでメラノサイトに対する炎症がなければ心配は無用でしょう。
もっとも、化粧品を中止した後に白くなった皮膚が拡大した人はいないようですので、
尋常性白斑が起きている可能性は少ないと思います。
コメントを残す