梅雨も終わり、夏がやって来ました。
その途端、外来にはあせもの患者さんであふれるようになりました。
このあせも。一体何が皮膚の表面で起こっているのでしょうか。
実は汗疹の研究はほとんど進んでいません。
何故かはわかりません。
多分、汗疹で命を落とす人がいないからかもしれませんが。
一般的に目にすることの多い、皮膚科の病気の中でここ数十年ほとんど最も研究が進んでいないのが、
この汗疹と、しもやけでしょうねえ。
汗疹には2種類あります。
紅色汗疹と、水晶様汗疹です。
紅色汗疹は一般的なあせも。子どもに出来るのはほとんどがこの紅色汗疹です。
水晶様汗疹とは、高熱を出した後に、本当に汗が溜まった水ぶくれが皮膚の表面に出来る状態です。
中に汗の溜まった水疱がきらきらして見えるので、この病名になりました。
これに対して紅色汗疹がどうして起きるのかについてははっきりとした説明はほとんどありませんでした。
教科書にもはっきりとしたことは書いてなかったのです。
新しい話しが出てきたのは2006年の事です。
徳島大学とユニ‥チャームの合同研究グループがひとつの事実を発見しました。(メーカーHP)
それは、汗疹の出来る所で表皮ブドウ球菌が異常に繁殖していることです。
つまり、紅色汗疹が出来るメカニズムは以下と考えられます。
1)局所皮膚の湿潤や温熱により、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌が異常に繁殖する。
2)表皮ブドウ球菌がリポ多糖を分泌する
3)リポ多糖が物理的に汗管を閉塞させる。
3′)リポ多糖に対し、皮膚表面で炎症反応を誘発する
4)そのため、赤いぶつぶつの汗疹が出現する。
したがって、汗疹の治療、
1)ステロイド外用剤←炎症反応を抑制する
2)抗生剤←表皮ブドウ球菌を抑制する
3)お酢←リポ多糖を破壊する
などはそれぞれ効果を発揮するのです。
ただし、この表皮ブドウ球菌は皮膚の表面に存在する細菌です。
つまり、シャワーで流すことは可能です。
何度もシャワーをあびることも立派な汗疹の予防策であり、治療です。
ぜひ、シャワーを上手に利用してみてくださいね。
コメントを残す