たまには真面目に論文の話でもしましょうか。今回はイボのお話です。
タイトルは
Warts Transmitted in Families and Schools:A Prospective Cohort
です。雑誌は(小児科の専門雑誌ですよ)
PEDIATRICS2013;131;928
です。
ここで英語の時間です。
Wartは世間一般で使われる用語で「イボ」です。水いぼはWater Wartです。水の付き方は日本と一緒ですね。
Prospective Cohortとは研究の方法です。
ある集団をいちからずっと観察し続ける、非常に手間のかかる方法です。逆に信頼性は高い研究方法です。
この論文ではオランダの3つの小学校を1年から1年半観察し、イボ保有率と、その悪化原因を観察しています。
対象者数は約1000人です。
さて、結果ですが、
イボの保有率は約30%です。結構高いですねえ。
この論文では、色々な因子により、イボの保有率がどのように変わるのかを観察しています。
ざらっと紹介しますと、イボにあらたにかかる可能性は、
男の子では1.1倍(95%の可能性で0.8-1.3倍←人数があまり多くないので、95%の可能性でこの範囲内に入るということを意味します)
白人では1.9倍(1.4-2.7倍)
過去にイボにかかっていると1.5倍(1.2-1.9倍)
となっています。
なぜ白人のみがこんなに可能性が高いのでしょうか?
遺伝?生活習慣?謎です。
さて、生活習慣とイボのかかりやすさですが、
個人との親密度から幾つかグループに分けてみると、
<家族>
家族にイボ持ちがいると2.1倍(1.5-2.9倍)
<教室>
そのクラスのイボ保有率が40%を超えていると1.5倍(1.2-1.9倍)
→イボ保有率が10%増えることに1.2倍(1.1-1.3倍)
親友がイボ保有者だと0.9倍(0.7-1.2倍)←その子は本当に親友ですか そんなことは言っちゃ行けません。
<社会・公共>
公共のプールを使っていると1.4倍(1.0-2.0倍)
裸足のスポーツをしていると1.1倍(0.9-1.6倍)
公共のシャワーを使っていると1.0倍(0.7-1.4倍)
となります。
当然密接に関係する人間のイボ保有率がダイレクトに影響しているわけですね。
しかし、プールであまり上がらないというのも正直意外でした。
最も、プールに入っている時間や期間については詳しい調査がされていないので、
その部分がはっきりしないと関連性も言えないとおもいますが。
ただし、ここからわかることは
家族にイボがいると移りやすい
ということでしょう。当然といえば、当然ですが、家族に移さないこともしっかり考えないといけませんね。
最後に、私が簡単にまとめた図です。
確かに、接触の強さとリスクが揃っていますね。
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