わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

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フッ化水素酸による熱傷

フッ化水素酸による熱傷

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フッ化水素酸。化学式ではHFですね。

 

つい先日、この薬剤を使った事件がありました。

靴の中にフッ化水素酸を塗って、女性に傷を負わせた男性が、

殺人未遂で逮捕されたそうです。

「殺人未遂?」とおもわれるかもしれませんが、

フッ化水素酸を知っている人間であればそれも妥当と考えてしまいます。

 

幸いなことに私の周りにはこの薬剤の治療を行ったことはありませんが、

HFには皮膚科医としてはあまり接触的に関わりたくはありません。

なぜか?非常にタチの悪い薬剤だからです。

一般的な酸では、皮膚の中で中和されていきます。

そのため、酸の影響はアルカリのものよりも一般的には軽くなってきます。

しかし、フッ化水素酸のたちの悪いことは、体内のCaと結合してしまうことなのです。

特に細胞内のCaがHFにより欠乏してしまうことにより、細胞は破壊されます。

当然血液内からもCaが欠乏しますから、最終的には心臓の動きもおかしくなってしまい、

死に至るのです。

また、神経細胞のCaもおかしくなりますので、めちゃくちゃ痛いそうです。

 

そのような薬剤ですから、靴に塗っていようが死に至る可能性は十分にあるのです。

しかも、犯人はHFの管理者だったとのことですから、その危険性は十分に知っていたと考えるべきでしょう。

塗られた人が傷つくだけでは済まないことを。

 

ちなみに、このHFですが、ホームセンターでも売られています。

よく、汚れが落ちるのです。

しかし、濃度は薄いですが、皮膚につくとやけどすることは変わりません。

見つけても近寄らないようにしています。気をつけて。

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