耳が赤くなり、じくじくする。いわゆる耳切れですが、
この症状を訴えるかたは沢山います。
しかし、この耳切れも、小さなことの積み重ねで抑えることができることを知っていましたか?
注:今回のお話の「耳」は外耳道は含んでいません。
赤ちゃんの耳切れ、多いですよね。
町を歩いていても赤ちゃんの耳が切れている子を見ることがあります。
それだけ出ている子が多いのでしょう。
また、アトピー性皮膚炎の症状の一つとして耳切れをあげる人もいるため、
不安になって話を聞きに来る人もたくさんいます。
果たして、耳切れ=アトピー性皮膚炎でしょうか?
私はその考え方に反対です。
理由は、簡単に症状を抑えることができるからです。
もちろん薬を使わずにですよ。
診察室に来る子で耳切れを見るのは早くて生後4週間から。
1歳くらいまではすべての年齢の子で見ることがあります。
ただ、その子達に共通する特徴があります。
ほっぺたもベトベトしていること、眉間がザラザラ、ベトベトしていることです。
赤みがある子や引っ掻いている子もいます。
なぜ、耳とほっぺたと眉間に同じような症状が出来るのか?
原因は同じだからです。
つまり、この3つの症状は「かぶれ」により起きたものとだと考えます。
では、何に大してかぶれたのか?これは汗、よだれ、涙、皮脂です。
耳は皆さんが考えているに汚れています。
例えば横を向いている時に泣いたら、高い確率で涙が耳に流れます。
よだれも同様です。
また、特に生後3ヶ月までは皮脂の分泌が多く、特に耳の皮脂の分泌はより多くなります。
そのため、耳は皮脂のベタベタと、涙や汗のベタベタが混在した状態になるのです。
その色々なまざりものに対してかぶれてしまい、耳は赤くなり、耳切れが生じるのです。
では、どうしたら良いのか?
かぶれの治療の原則はその原因を減らすこと。
かぶれの症状の強さは刺激の強さ×刺激の持続時間で決まります。
ですから、一つは刺激を弱くすること。
これは保湿をしっかりと行うことです。
また、過去から積み重なった刺激となるものを除去する必要があるのです。
つまり、石けんをしっかりと使って洗うことなのです。
石けんの量はそれぞれの耳をおおうようにポンプ1回分。
(余談ですが、赤ちゃんの石けんは泡で出るポンプ式液体石けんをおすすめします)
その泡が耳を覆うように載せます。
ついで泡を使って耳の表面をしっかりと洗います。耳の後ろも同様に荒れることが多いので、洗いましょう。
最後にシャワーで石けんの泡をきれいに洗い流します。
また、シャワーができない状況でも、汚れていると思った時には洗面所に連れて行って
流水で洗い流して下さい。
と、ここまで話すとほぼ全員に聞かれるのが、「耳の穴に水が入るのが心配」ということです。
これについてはお風呂場から出た後に、綿棒で耳の中を掃除して水をとってあげればそれで十分です。
赤ちゃんは生まれた時にすでに鼓膜は出来上がっています。
中耳炎でチューブを入れている子以外は外耳から入った水が耳の中に入ることはありません。
また、耳の中に入った石けんで湿疹になることもほとんどありません。
少なくとも石けんを使わない子が耳切れになるよりも確率は低いです。
もちろん、湿疹が強ければ、ステロイドの塗り薬を使って症状を抑えることもあります。
しかし、湿疹の原因が刺激によるかぶれである以上、それを予防しなければすぐに
ぶり返してしまうのです。
症状を抑えることも大事ですが、症状が出ないようにしっかりと予防することも大事。
しっかりと石けんをつけて洗うだけで症状が抑えられるのなら、そのほうがいいと
思うんですけどね。
もしも、詳しい話を聞きたいという方は一度受診してみてください。