わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

TEL050-3355-9592


〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

「王子様のくすり図鑑」 著:木村美紀 監修:石川洋一

うーん。どこかで見たことのある、絵柄だなあ。

と思ったのが第一印象でした。

ああ、ファイナルファンタジーとかで見ましたねえ。

ということで、幾つかのシリーズがありますが

その中でも絵柄が一番好みだったりします。

 

小学校低学年から高学年くらいが対象でしょうか。

薬の説明というよりもどのような効き方をしているのかの説明になっています。

 

でも、無味乾燥な説明書よりはこっちの方が読んでいて楽しいですよね。

 

ということで待合室に置いてありますので、

興味の有る方は手に取って眺めてみてはいかがでしょうか?

 

アトピー性皮膚炎 成育式塗り方についてのご案内

塗り薬の使い方

 

当院でアトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹、乾燥肌の治療をされている患者さんも

おかげさまで徐々に増えてきました。

でも、塗り薬の使い方で戸惑われている方も多いようです。

今回は「わかば式アトピー性皮膚炎治療マニュアル」の勉強会の中から

塗り薬の使い方について簡単にお話をしていきたいと思います。

もしも詳しいお話を聞いてみたい方は勉強会にご参加くださいね。

 

当院のお薬の塗り方はいわゆる成育方式を取っています。

他の病院とは少し違う塗り方をしています。

その理由についてお話をしていきましょう。

 

まず、そもそものアトピー性皮膚炎についてですが、こちらは体質と周囲の環境が影響します。

つまり、家族にアトピー性皮膚炎の方がいると発症しやすい。

皮膚のバリアを司る遺伝子に問題があれば発症しやすい。

ということもご存知の方は多いでしょう。

また、周囲の環境との関連についても、冬になると乾燥するという話があるのも理解できるのではないでしょうか。

 

遺伝子も全身の皮膚に影響しますし、環境も全身の皮膚に影響するのです。

そして、全身の中で刺激を受けた部分に湿疹ができるのだと考えられます。

 

ということは・・・

何もない皮膚に湿疹ができてくるのではなく、弱い湿疹が出ている皮膚の一部に強い湿疹ができる。

ということになります。

実は乾燥し、粉を吹いている状態で既に顕微鏡では湿疹ができ始めていることが知られています。

 

そうなると、治療方法も変わります。

何もない皮膚に湿疹が出来るのでしたら「保湿剤+ステロイド」で十分でしょう。

しかし、弱い湿疹に強い湿疹ができているわけですから、保湿剤では不十分です。

実際に薬を塗るのをやめると、すぐに湿疹が出来てしまうのもそういうわけです。

つまり、「弱いステロイド+強いステロイド」という形で塗り薬を使っていく必要があるのです。

 

当院ではこの「弱いステロイド+強いステロイド」を「下地+上塗り」と呼んで使っていくのです。

もちろん症状が落ち着いている子には保湿剤も使いますが。

 

次のお話は下地と保湿の使わいわけのお話です。

 

 

画期的な治療法の広がり方

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さて、今回は「画期的な治療法」が見つかった時に、それがどの様にして

世界に広がっていくのかというお話をしてみましょう。

 

いちご状血管腫という病気が有ります。これは赤ちゃんのみに見られる病気なので、あまり一般的ではありません。

血管腫=赤アザと病名からは考えられますが、どちらかと言うと腫瘍(良性)性の病気です。

出現は生後1ヶ月まで。その後はできることがありません。赤い発疹で出現し、それが広がっていきます。

生後6ヶ月がピークで、その後しぼんでいきます。赤い色は完全になくなりますが、しわができた場合はそれが残ってしまいます。

 

このいちご状血管腫ですが、治療法は良い物がありませんでした。

液体窒素などで凍らせていた時代も有りましたが、これは傷跡になりやすく、

レーザーは現在の主流ですだ、厚さをましたものには効果が減ってしまいます。

ステロイドの内服も有効ですが、やはり副作用が心配・・・

と、治療の主体は経過観察でした。

 

でも、このいちご状血管腫がおおきくなると、さあ大変。

目を塞ぐと視力に影響が出ますし、喉で大きくなると呼吸や食事のじゃまになります。

擦れてえぐれて出血するとそれこそ数週間良くならないし・・・

逆にステロイドはしばらく飲まないといけないし・・・

ということで結構やきもきすることのある治療法でした。

 

と、そこに出てきたのがインデラル内服という治療法でした。

ちなみに、インデラルというのは血圧の薬です。

2008年にNew England Journal of Medicineという雑誌にこの治療法が掲載された所、

非常に大きな反響を呼びました。

これはたまたま心臓病の有る患者さんにいちご状血管腫が出来たが、インデラルを内服した所

非常に効果があったという報告です。

実は、この段階では「なぜ効果あるのか」についてはわかりませんでした。

しかし、患者さんに使った所、効果があることが確かなのです。

その後、世界中でいちご状血管腫に対するインデラル内服について追試が行われました。

そして、どの調査でもいちご状血管腫に対して非常に効果の有ることがわかりました。

 

私はその情報を知ったのは2010年ころでした。

最初はびっくりした記憶があります。

でも、実際に使用した所、確かに効いているのです。

劇的といっていいくらいです。

 

さて、現在、このインデラルのいちご状血管腫に対する治療法がどうなっているかというと、

日本でも欧州でも既に治験が開始されています。

数年後には医療保険で問題なく使用することが出来る薬剤になるでしょう。

 

新しい治療法が見つかって数年です。

その数年で薬剤は市販され、普通に保険診療のなかで治療ができるようになるのです。

 

このお話は非常にうまく行った例かとは思います。

しかし、私達医療従事者が「効果的な新しい治療法」を見つけたらどのように振る舞うのか。

そして、どのように医療を変えていくのか。

ということを如実に示す一例になると考えます。

 

本当にいいものでしたらすぐに世の中に広がりますよ。

というお話でした。

医者の頭がカタイわけ

診察をしていると時にこんな会話になることが有ります。

「◯◯◯(民間療法とか化粧品とか食品とかいろいろなものがここには入ります)って、効くんですね。そんな話を聞いたんです」

あ、そうなんですか?

「先生、聞いたことがないんですか?」

いや、知らないですね。

「使わないんですか?」

データ無いですからね。

「だって、効いたていう人がいるんですよ。どうしてそんなに頭がカタイんですか?」

 

いや、だってデータ無いし。

 

という話です。多分他の病院でも同じ様な話が沢山転がっているでしょうね。

 

今回は私達医者がどのようにして◯◯◯が効いていると判断するのかというお話です。

科学的な根拠の信頼性というお話があります。

それは何かは後でお話をするとして、信頼性の高いものから並べてみましょう。

1)ランダム化比較試験

2)コホート研究

3)症例対照研究

4)症例報告

5)実験室での研究

6)権威者・体験者の意見

の順になります。

難しい言葉もありますので、下から順番に見て行きましょう。

 

6)権威者・体験者の意見

あくまでも「意見」ですから根拠を示すことが出来ませんね。

但し、専門の方が長い間の経験に基づく意見は尊重されることが多いです。

体験者と権威者の意見は一般的に後者が尊重されます。

だって、体験者は症例数は1例だけですからね。専門家の方が経験数が多いです。

 

5)実験室での研究

他の動物や、試験管の中での結果ですね。

ただこれも信頼性は高いものではありません。

人体に問題なく投与することが出来るのかという問題が有ります。

また、他の動物では可能でも人間では出来ないというお話もたくさんあります。

治療法を見つけるのはそれだけ難しいものです。

まだ種の段階ですね。

ただし、これを育てて立派な薬にすれば良いだけの話です。

 

4)症例報告

医師が患者のカルテの報告をまとめたものです。

1例だと、「たまたまじゃないの?」と言われることも多いです。

症例数が多いと、信ぴょう性が増していきます。

しかし、報告者側に思い込みがあると、偏った結果になることも有りますので、

まったく関係のない色々な人がそれぞれ別個に発表して、初めて信ぴょう性が増していくのです。

 

3)症例対照研究

病気の人とそうでない人を比較して原因を調べる方法です。

ただし、過去のデータをひっくり返すので、記憶違いや誤認などの

間違いが多く見られる場合もあります。

たとえば、祖父母の死因を教えてと言われて、咄嗟に出てこない人も多いですよね。

 

2)コホート研究

ある集団をわざと二つに分けて、実際に数年経過した時の状況を追跡し調査するする方法です。

問題は時間と手間がとてもかかることです。

一つの研究の結果が出るのに数十年かかることも有ります。

 

1)ランダム化比較試験

ある集団をまったくランダムに二つに分け、それぞれ別の状況に置きます。

その時には医師の側もわかってしまうとそれにより試験の結果が影響を受けることもあるので、

医師にもその方がどちらなのかわからない状況に置くことも有ります。

(ダブルブラインドといいます)

問題は期間とお金がかかること。

また、有効な治療法の場合、ランダムにその治療からはずされてしまった場合に

利益が損なわれることがありえますね。

 

私達医療従事者はこのようにしてその治療法や薬が効くのか効かないのかを判断しているのです。

体験談を否定するつもりはありませんが、まず、その経験を普遍化出来るかどうかを考えなければいけません。

そして、普遍化できたらそれを目の前の患者さんに対してどのように使うのかを考えていくのです。

 

最後に一点。業者の方へ。

新しい治療法を考えることは素晴らしいことだと思います。

しかし、このような科学的、統計的な手法を使うことなく、効果のみを宣伝する手法についてはいかがなものかと思います。

証明すべきは開発者の方々の責務だと思います。

本当に良いもので、それが証明できたのであればその方法は一気に広がるのです。

その証明を怠り、批判する人間に対して感情的に反応することこそ、権威主義的なものではないでしょうか。

・・・いや、この分野については結構嫌な思いもありますので、書いてみましたが。

 

時間があったら、その「新しい治療法」が出てきた時にどのように広がっていくのか、実際の例を出してお話してみましょうか。

 

往診始めています

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秋も深くなってきました。この気温変動の大きさはどうにかならんもんでしょうか。

 

さて、当院では往診を行っております。

現在クリニックでの精算、処方箋の受け渡しを行っておりますが、

患者さんの声をうけて、精算、処方をより柔軟に行うことに致しました。

 

精算は往診時に直接精算することといたします。

なお、一部金額に変更が出る場合がありますが、その場合は差額を次回の往診時に

精算いたします。

また、処方についても処方箋を(手書きですが)、その場でお渡し出来るように致しました。

 

看護者、介護者のかたは一度ご検討いただければと思います。

ディオバンに対するある皮膚科医の見解

ディオバンの、論文の改ざん問題はなかなか落ち着かないようです。

 

まとめはさまざまなサイトで見ていただければ良いのですが、

ディオバンの医師主導治験で行われた、データ改ざんにより、

高血圧関連イベントが不正に低く見積もられたことが問題です。

 

皮膚科医として、ディオバンは今後処方する可能性は非常に低いのですが、

この件について何度かノバルティスさんからお話を伺うことが出来ました。

 

というのも、ディオバンに問題に関してはもちろん元社員とされる方に問題が有るのはもちろんですが、

ノバルティスさんが扱っている他の薬剤、特に自分が処方する可能性のある薬剤でも同様の問題が有るかが

知りたかったのです。

 

今回、ノバルティスさんから話を訊くことが出来たのは

その元社員の方は、ディオバン以外の試験には関わっていなかった

との情報のみでした。

ここで、あれあれとおもったので、詳しく話を聞きましたが、

皮膚科関連の薬剤で同様のデータ改ざんが行われたかについては資料がないそうです。

更に聞いてみると、まったく検討していない。

との返事が帰ってきました。

 

 

さて、ここで問題が浮かんできます。

まず、1つ目。

この元・社員という方は、まったく今まで同様の研究に携わることなく、いきなりディオバンの試験に関与し、

初めての研究で大きなデータの改竄に関与し、そのまま退職したのでしょうか。

他の業界では普通は小さな研究や試験に何度か参加しながら、徐々に大きな研究に関与するものでは無いでしょうか。

また、最初の研究でいきなりデータの改竄に関与するものでしょうか。

(心理学的には最初はより小さなことから始まるのでは無いでしょうか)

この方は、最初から研究開発部門にいたのか?営業部門から移ったのか?以前は他社にいたのか?

もしも他社にいたならどんな会社でどこでどんなことをしていたのか?

非常に心配になってしまいます。

なお、この件に関しては後日調べた結果を持ってくるとのことでした。

 

次に2つ目。

果たして他の薬剤は問題ないの?

という心配が出てきます。

このような事件が起きたということは、ノバルティスさんは他の製薬メーカーよりも

同様の事件が隠れている可能性は高いと考えてしまいます。

それを心配しているのですが、返事はまさかの「調べていない」でした。

統計的調査でもやってもらえると良いのですが、どうもその様子も無さそうです。

 

ここまで来ると、ノバルティスさんの姿勢にも疑問を感じてしまいます。

結局、「ディオバンの臨床試験問題」のみを解決することしか考えていないのではないかと疑念が生じてしまいます。

私は心配しているのは、「すべての薬の臨床試験そのものに」対しての疑いの目でみてしまう。

ということなのですが、あまり積極的にその問題に対処しているように見えないのです。

 

現在の薬剤というものは非常に複雑な試験の上に成り立っています。

今回は医師主導型治験という問題であり、ディオバンによる降圧作用そのものには問題はなかったのです。

しかし、国に認可申請するときにデータに意図的な変更が加えられていたら、それを指摘することは専門家でも難しいものです。

 

当然薬を飲んでいる一般の患者さんは、医師が勧めるからその薬をのむわけです。

今回、その医師が確認するデータが信頼の置けるものではないかもしれない

自分が飲んでいる薬が信頼の置けるものでは無いかもしれない

そのように思わせるに至ったところに大きな問題が含まれているのがわかってしまった。

 

また、問題が起きた時に製薬会社が自ら解決することができない。

ということもはっきりと見られてしまいました。

 

このことは今後大きな問題になっていくのでしょう。

何を信じていけば良いかわからない世界が来ているのかもしれません。

Believe no oneと言われるのは、ドラマの中だけで十分なのですが。

ブヨ刺され・結節性痒疹の治療法その1 まずは薬をしっかりと塗りましょう

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さて、昨日のお話でブヨ刺され・結節性痒疹のお話をしました。

本日はその治療のお話を進めていきましょう。

 

結節性痒疹の特徴は非常に炎症が強いことです。

それに伴い、痒みも非常に強いものがあります。

ですので治療法もその強い炎症に合わせて行う必要があります。

 

1)ステロイドの塗り薬

治療の最初はステロイドの塗り薬です。

薬の選択ですが、小さな子にも、非常に強いものを使うことがあります

というか、使わざるを得ないのです。(ステロイド外用薬の強さ

まずはしっかりと痒みと炎症を取ることが大事です。

時には多毛などの副作用が出ることがありますが、

ある程度の副作用は出ることを承知の上で使うこともあります。

なお、副作用は塗るのをお休みすると落ち着いてきますので、

早く治すことはすれだけトラブルの可能性を減らすことにもなるのです。

 

2)プロトピック軟膏

プロトピック軟膏とは、ステロイドと違う成分の、炎症を抑える薬です。

一般にはアトピー性皮膚炎に使われますが、それ以外のさまざまな皮膚の病気にも使われています。

副作用は、塗り始めの1,2週間にひりひり感や火照る感じがするくらいです。

また、ステロイドの塗り薬と違って、長期使用に伴う副作用が少ないことが特徴です。

(もちろん、免疫を抑える薬ですので、真菌やウイルス、細菌による感染症を起こしやすくなりますが)

効果はステロイドに比べ、痒みを抑える傾向が強いです。

(一般的に湿疹の部分には皮膚直下まで神経が伸び、痒みに敏感になっているのですが、

プロトピックはその伸びた神経を縮める作用があるようです。)

そのために、プロトピックとステロイドの塗り薬を併用することもあります。

 

3)ステロイド内服

本当に症状が強い時に短期間に限り飲んでもらうことがあります。

当院では使って2週間程度です。

少量を長期飲むという選択もありますが、

小さい子の場合、将来成長に問題が起きる可能性があるので、当院では行っておりません。

 

4)抗ヒスタミン剤内服

いわゆる一般的な痒み止めの薬も飲んでもらうことがあります。

時に眠くなるので、要注意。

 

 

当院で治療に使う薬は上記にあげた薬で、一般的なものです。

あとは、使い方ですが、

乾燥肌がある子にはまず、全身に保湿剤をしっかりと塗ってもらいます。

意外にこれを忘れると乾燥により引っ掻いてしまうことが有るのです。

同時に結節性痒疹の部分を引っ掻いてしまい、落ち着かなくなる原因にもなります。

その後、結節性痒疹の場所にステロイド(+プロトピック)を塗ってもらいます。

 

この時の注意。

ひとつ、少し広い範囲に塗ること

ふたつ、少しでもしこりやかさかさを感じたらためらわないこと

みっつ、ほてった時には塗らないこと

よっつ、こすったり、擦り込んだりしないこと

結構大事なことですよ。

 

あとは、忘れていけないかさぶたのケア。

私はかさぶたにも薬を塗るようにお話をしています。

かさぶたの部分からの薬の吸収についてはわかっていないことも多いのですが、

少なくともかさぶたが痒くなることは防げるようです。

ですので、しっかりと塗ることにより、かさぶたをむしらずに自然に落ちるのを待つことが出来るのです。

 

まずは薬をしっかりと使うこと。

次はそれでも治療が難しい場合のお話です。

質問:犬がステロイドの軟膏を食べてしまいました。どうしたらいいでしょうか

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回答

あまり気にすることは無いでしょう。今までトラブルになった話は聞いていません。

と今までは答えていたのですが、先日こんなことがありました。

 

そろそろ夕方になろうかという時間です。
1ヶ月ぶりに来院した方が診察に訪れました。
その方は慢性湿疹でステロイドをつけていた方です。
診察室で話を効いていると、どうもあまり良くならないとのこと。
十分効くだけの薬を出したのに、何故と思いながら話を効いていたのですが、

ウチで飼っていた犬が薬を全部食べてしまいました。

とのこと。な、なんだってー。

それは良くならないはずと思い、詳しく聞いて見ることにしました。
なんでも、机の上に出しっぱなしにしていた軟膏壷を勝手に開けてしまい、全部キレイに食べてしまったとのことです。

犬はどうなったかと聞いた所、入院して血液検査をしたと。

な、なんと。
犬に健康被害が出たのを聞いたのは初めての事なので、詳しく聞いてみたら、
体重が2,3Kgの仔犬だったそうです。

 

 

いままで、何度か同様の話を聞いたことがありますが、
今回の話は一番重症でした。(犬にとって)

当然、薬ですから、摂取量と体重によって濃度が変わってきます。
また、ステロイドの薬の強さも影響してくるでしょう。

振り返って考えてみると、いままで問題がなかったのは、

ロコイドクラスの塗り薬を10g,体重10kg以上の成犬が食べた

話だけでした。
今回は

アンテベートクラスの塗り薬を10g、体重2,3kgの仔犬が食べた

わけですから、薬剤が吸収された時の濃度、効果は当然異なるわけです。

そのため、血液検査で異常が出たのでしょう。
これも、ステロイドそのものの薬理作用か、お腹が痛くなったので出た反応なのかはわかりませんが。

 

でも、最終的には何事も起きなかったので、一安心です。
良かったよかった。

 

今後、タイトルの質問をされたら、

「薬の強さ、濃度、摂取量、犬の体重によって症状の出方は変わるので、心配なら一度獣医さんに相談して下さい」

と答えるようにします。

 

 

 

でも、一番疑問なのは、どうして犬はステロイドの塗り薬が好きなんでしょうか。
美味しいのかなあ。よくわかりません。

一度、メーカーさんに聞いたのですが、呆れられてしまいました。

もしも、ご存知の方がおりましたらご一報いただけますでしょうか。

 

流動性の罠

※経済学の用語を検索して当ページにたどり着いた方は申し訳ありません。
他のページを参照いただくようにお願い致します。
間違っても、このページを基に、経済学のレポートなど書かないように。

雇用、利子および貨幣の一般理論〈上〉 (岩波文庫)

 

診察をしていると、様々な処方を見ることができます。
今回はそんなお話です。

ある昼下がりに80代の女性の方が娘さんと一緒に受診されました。
頭の湿疹を訴えています。

問診票を見ると、あれあれ?治療中ではありませんか。
お薬手帳も同時に確認すると、しっかりと、ローションで治療を受けていました。
しかも、飲み薬が3種類も出ています。

おやおやと思いながら診察を始めると、
頭の中が乾燥して、粉を吹いています。
そして、話によると、ぬってもぬっても落ち着かないと。
痒くて眠れないということですからよっぽどのことでしょう。

さてどうしようかと話を聞いていると、
「薬を塗った後に頭のなかが乾いてしまう」と言われました。
そこで、ピンときたので、薬を変えてみる事にしました。

塗り薬はあえて一段下のステロイドに変更し、
軟膏に変更。
飲み薬は全部やめてみました。

そして、「べたべたするけどしっかりとぬってね」とお話をして、
その日は終了。

 

その1週間後くらいでしょうか。
受診した彼女は開口一番
「よくなりました」と。

d(`・ω´・+)ャッタネ

 

さて、実はコレは「流動性の罠」と呼ばれるものです。
というか、今勝手に名前をつけました。

一般に、飲み薬は飲んだほうが効果が高い。
塗り薬は強いものの方が効果は高い。
と考える方は多いかと思います。

しかし、塗り薬にはもうひとつの問題があります。
それは「基材」の問題です。

「基材」と言ってもピンと来ない方も多いかと思います。
簡単に説明しましょう。
塗りすぐりには有効成分の他に、それを何に溶かしているかという話が常にあります。
その「何に」が基材なのです。
細かい成分云々は難しい話になるので、割愛しますが、
おおまかに基材はいくつかの種類に分けることができます。
軟膏、クリーム、ローションです。
(厳密にはヴァニシングクリームやら、スプレーやらo/wにw/oやらいろいろありますが、省略)

この、3種類の基材はそれぞれ性質が異なります。

一般に軟膏が一番ベタベタします。逆にローションはさらさらです。
したがって、塗り心地はローションのほうがいいのです。

しかし、皮膚によく残っているのは、軟膏が一番。
また、かぶれるリスクは軟膏が一番少なくなります。
また、塗りやすいものは乾きやすいという難点もあります。

 

つまり、今回、塗り薬を弱くしても逆に効果が出たのは、
基材を変更したからといえるでしょう。
べたつく基材で長い時間皮膚に接触していることが大事っだったわけです。

 

実は処方された外用薬の種類を見ることで、
皮膚科医はその先生の考え方まで知ることができます。
小児科や内科の先生に対して皮膚科医は軟膏基材の外用薬を出すことが多いです。

たとえ、患者さんからべたつく。とか、塗りにくい。とか言われても、
トラブルの少なく、汎用性のある基材を使用するわけです。
逆に、患者さんのお話を聞きすぎるあまり、
(聞くのが悪いわけではありません。何事も程度問題なのです。念の為に)
ローションやクリーム基材の塗り薬を処方し、
逆になかなか治らなくなってしまう。
これを「流動性の罠」と呼ぶわけですね。

ちなみに、経済学の流動性の罠とはこんなお話です。
・・・よく分かんない。むう。ちなみに高校の社会は日本史選択組でした。

 

 

最後に、そのおばあちゃんが、
「いままで一杯お薬を飲んでいたのは何だったんでしょうね」
と帰りぎわにぽつりと。
難しい問題です。

 

虫さされの治療のお話

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以前に虫さされの話をしておいて、治療の話をしていなかったのをすっかりと忘れていました。 m(-_-)mゴメンナサイ

今回は治療の話をして行きましょう。

 

前回の記事のとおり、虫さされの反応、は毒に対する化学的反応とアレルギー反応の混ざったものです。

この反応は、正直無くても構わないものです。

毒と言っても、日常刺される虫からの毒の量はごく微量であり、生命に危険を及ぼすものでは無いこと。

(厳密には注意する虫もいくつかありますが、普通に生活している限り出会うことはまずないでしょう)

また、毒自体は体の中でいずれ中和され無毒化されること。

アレルギー反応も本来必要とされる強さよりも強く出現しすぎていること。

などから、利点よりも欠点の多い反応と考えます。

 

したがって、中途半端に痒いのを我慢するよりは病院で薬を処方して貰った方が良いのでは無いでしょうか。

薬もしっかりとステロイドをもらって構わないと思います。

 

ステロイドの塗り薬は副作用を心配する方も多いのですが、虫さされの治療についてはステロイドの副作用はは殆ど無視出来るものです。

なぜなら、虫さされの反応は数日で引いてしまうので、物理的に大量、長期間使わないからです。

また、同じ所を何度もさされる可能性は少ないですから、同じ皮膚にずーっと塗り続けるないからなのです。

(ステロイドの塗り薬の影響は、薬の強さと塗布量、塗布期間をその場その場の皮膚が反応することによって決まります)

 

では、薬局で購入する薬や市販薬(OTC)はどうか。

私は一時しのぎにはなりますが、根本的な治療にはなかなか結びつかないと考えています。

まず、OTCの炎症を抑える力は処方されるステロイドの塗り薬より弱いです。

では、OTCを塗ることで痒みはなぜ抑えられるのかというと、麻酔薬で神経の反応を抑えているからなのです。

したがって虫さされによる炎症はそのまま残っている状態です。

もちろん、炎症は自然に落ち着いてきますが、その時間はステロイド塗った時よりもとても長くなってしまいます。

したがって、症状が引くのに時間がかかるのです。

 

つまり、虫さされは

アレルギー反応→炎症→痒み

という症状が出るわけですが、

ステロイドはアレルギー反応そのものを抑える。

OTCは痒みを抑えるが、アレルギー反応は残ってしまう。

という違いが、効き目となって現れるのです。

 

もう一点、OTCをあまりおすすめしない理由ですが、

いくつかの商品では、薬を塗るところがギザギザ、トゲトゲしているものがあります。

これは絶対にオススメ出来ません。  乂(´Д`;)

ひっかくという行動は虫さされには絶対に良くないのです。

 

では、ひっかくのはなぜダメなのか。

このお話はまた今度しましょうか。