はい、うちではあえて言わないようにしています。
ということで今回はアトピー性皮膚炎のお話です。
多くの病気では治ったと言うのに、どうしてアトピー性皮膚炎で治ったという言い方はしないのか?
について簡単に解説します。
病気のガイドラインでも「寛解」という言葉を使っていますよね。
こちらの理由についても合わせて解説します。
寛解とは簡単に言うと、症状がなくなって日常生活に問題がなく過ごせるようになること
とでも言えばよいのでしょうか?
ではこの症状がなくなる=治癒ではないのか?
無いんです。
そもそもアトピー性皮膚炎の原因の一部には遺伝的な要因が関連していると考えられています。
アレルギーの体質しかり、皮膚の弱さの体質しかり。今後はもしかするとかゆみの体質が見つかるかもしれません。
ただこの体質は何かというと、遺伝子です。
生まれつきアレルギー反応が強い。生まれつき皮膚が弱いということを表現しているわけですね。
ですので、例えば湿疹がもしもなくなったとしても、このような体質が残っている限り、
できやすい皮膚はそのまま残されているわけです。
そして、何かの拍子に一気に症状が出てきてしまうわけなんですねえ。
実際にこのことは外来で診察をしているとときに見かけます。
湿疹がある日出たから受診したという患者さんの診察をしているとその湿疹がどうもアトピーっぽい。
そこで詳しくお話を聞いてみると小学生の時まで実際にアトピー性皮膚炎があった。
その後症状はなくなっていたので治ったと思っていた。
ということがよくあるお話だったりするのです。
つまり、アトピー性皮膚炎の湿疹の症状はなくなったとしても、
できやすい遺伝的な素因はそのまま変わらず残っているので、それがちょっとした刺激で
再度皮膚の表面に顔を出してきた
ということが起きたわけですね。
つまり、アトピー性皮膚炎の症状は確かに出たり引いたりするのですが、
その下、水面下での体質というのはずっとうねりとして残っており、何らかの拍子に
皮膚表面に現れる。
ということはあるんです。
ですので、そこをよく知っている皮膚科医は決してアトピー性皮膚炎が治癒したとは言いません。
寛解した。また「今回のこの症状は治った」という言い方はするのですがね。
本当にアトピー性皮膚炎というのは一筋縄ではいかないのですよねえ…
難しいです。