日展に行ってきました
日展をご存知でしょうか。
1907年から1世紀以上に渡り開催されてきた、日本最大の総合美術展覧会です。
毎年秋に、六本木の国立新美術館で開催され、現在は「日本画」「洋画」「彫刻」「工芸美術」「書」の5部門で公募された作品の中から、入選した作品が展示されています。
招待券を頂いたので、仕事休みの平日に行ってきました。
券を下さった方の書の作品をまずは鑑賞。
解説のお手紙を頂戴していましたので、それを頼りに、じっくり見ました。
芯のしっかりした、でもしなやかなとても素敵な作品でした。
書は、様々な字体や形式の作品が並んでおり、ほとんどが解読不能・・
ただ、作品全体を見て好きか嫌いか、絵のように感じれば良いとのことだったので、次々作品を鑑賞。
たくさん見ていると、自分の好みが分かってきました。
漢字より仮名文字が好きだなぁ、なんて考えながら、会場を一周しました。
会場を出ると下の階に洋画の会場があり、こちらもたくさんの人が来場していました。
受付の方に書のチケット(?)を持っているのですが、絵画も見られるのか聞いたところ、
『日展すべてをご覧いただけます』とのこと!
せっかくなので、すべて見て行くことにしました。
絵画や美術工芸に明るいわけではないので、書と同じように好みで鑑賞。
たくさん見ていると、絵のモチーフに多く選ばれているものに気づいたり、
逆になぜコレを題材に選んだのか?という疑問を持ったり、様々な気づきがありました。
鑑賞する人も様々で、絵の構図についてアレコレ議論しているおばさま2人組がいたり、
ご夫婦で迫力ある裸婦画を眺めていたり。
お一人でゆっくり鑑賞している方は、年配の男性が多い印象でした。
今まで美術館で見てきたのは、プロの画家や作家の作品でしたが、今回はいわゆる市井の人々の作品。
絵画でいえば、写真のような絵から抽象画まで様々で、質感にこだわっている作品もあれば、
力強さに重きを置いているものもあり、それらすべてが、
それぞれの制作者の想いや意図を纏っていることに思いを馳せながら、
たくさん見せていただきました。
とても印象深かったのは、盲目の祖母が赤ちゃんを抱いている絵でした。
おそらく、作者のお身内のおばあさまだと思われますが、目の見えない方の表情、視線、
そして大事そうに抱える幼子の迫力ある絵を見ながら、
モデルになった方はこの絵を見ることはないのだなぁ、と切なくなりました。
たくさんの書、絵画、彫刻、工芸作品がありましたが、テーマも作風も技術も様々。
でも、すべて審査員によって選ばれた作品だということで、
ある意味認められた作品であることに間違いないのでしょう。
様々な作品を見ていたら、そのままで、あるがままでいいのだと、自然に思えてきました。
うまく表現できませんが、『みんな違ってみんないい』だなぁ、と思った一日でした。
芸術の秋、行かれてみてはいかがでしょうか。
東京会場の会期は27日までです。