わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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投薬

息ができなくなった妊婦さんのお話 続き

今回は少し間が空きましたが、妊婦がトラブルになった時のお話。

まとめ編です。

 

今回の結論ですが、

妊婦が病気になった時に対応できる医療機関はとにかく少ない!

ということなんです。

 

とってもイヤーな話なんですが、どうもこれが今の日本の現実のようです。

 

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。

 

まず、妊婦さんの絶対数が少ないことがあります。

今この時点で妊婦さんがどれだけいるのか考えてみましょう。

日本での出生数は大雑把に100万人/年です。

一般に40週で赤ちゃんは産まれてきます。

双子などもいるので大まかな数字しか出ませんが、今日この日の妊婦さんは

70万人くらいといったところでしょうか。

東京都内で7万人。

これは非常に少ない人数です。

人口が少ない上に、1年で皆さん卒業しますので、入れ替わりも激しいのです。

 

また若年(から中年?)で妊娠しますので、もともと病気を持って妊娠する人が少ないこともあるでしょう。

したがって、現在の細分化された医療(特に内科はものすごく細分化されていますね)では、

妊婦を対象にした内科というものができる余地が非常に少なくなります。

 

また、病気を持った妊婦を津梁する施設は結果的に限られてしまいます。

そのため、妊婦に対する薬の治療を行うというスキルを持った内科医が少なくなってしまう。

 

また、同様のことは救急領域でも言えるでしょう。

これは考えてみると怖い話です。

 

では産婦人科医はどうなのか?

この人達は妊婦に対しては慣れています。

しかし、内科医ではありませんので、難しい内科の病気になるとお手上げです。

 

したがって、病気をした妊婦と言うのは

内科、救急、産婦人科

の間の隙間に落ちてしまいます。

 

 

ついで薬の問題があります。

薬の中には「妊婦には使用しないでください」とよく記載しています。

この記載がクセモノです。

 

というのも、妊婦に対して使っても問題のない薬がこの中にはたくさん含まれているのです。

外国では問題の無いことがわかっている。

しかし、日本では調査や検査したことが無いのでわからない。

そのために「妊婦には使用しないでください」

と書いておけば問題は起きない。

そのために記載されている薬のなんと多いことか・・・

 

更に面倒なことは、一部の薬を妊婦が飲むと問題になることがあるのです。

それも、「妊婦には使用しないでください」と書かれているのです。

 

したがって、妊娠と薬の関連性に疎い医師が薬を処方しようとして

薬の説明書を確認し、使用できないと思って処方できない。

 

ということが起きてしまいます。

 

最後に実際の診療場面でのお話です。

現実問題として、妊婦さんとお話をするのはとても気を使うものなのです。

そりゃあ当然で、妊婦さんも必死なわけです。

自分だけでしたらまあ、仕方ないか。で済むお話であったとしても、

自分の赤ちゃんも関わってくるお話ですから、2人分の責任があるので、

その分、話が長くなることは当然です。

 

でも。それって当然だよね。

と思う医師もいれば、逆にそれを面倒くさい。

と思う医師もいるのが真実。

露骨に嫌がる医師もいるのも事実です。

(実際、今回の大学病院の医師も、結構嫌そうな口調でしたし)

 

いままで長々とお話をしてきましたが、

医療者側の要因、薬の側の要因などもあり、

病気になった妊婦さんをさらりと診察してくれる医師が少ないということが図らずも露呈してしまった

と言うのが今回のお話のまとめでした。

 

 

 

・・・ここまで文章を書いていて思ったのですが、

妊婦さんを専門に診ることのできる内科が幾つかあってもいいと思うんですけどね・・・

 

 

このお話について、皆様の意見を募集しています。

何らかの形でフィードバックさせていければと思っております。

ご意見、お待ちしています。