毎年、ジメジメして厚くなるとこの不思議な蕁麻疹のことが頭をよぎります。
一般に、蕁麻疹は風邪などの感染症にともなって出ることが多いのです。
しかし、治療として蕁麻疹を抑える抗ヒスタミン薬を飲めばすぐに落ち着くことが多いのです。
しかし、ごく稀に、抗ヒスタミン薬がまったく効かない蕁麻疹が出ることがあります。
蕁麻疹の次の治療はステロイドの内服ですが、これもまた効果なし。
むしろ、全身状態が悪くなり、蕁麻疹は強く出てしまいます。
どんどん治療をしても落ち着かず、更に蕁麻疹が広がってしまう‥‥‥
まさに夏の夜の悪夢です。
最初に子の病気の患者さんを診察したときは半分パニックになりながら病院内を駆けずり回っていた
記憶があります。
このような蕁麻疹を起こす人にはある特徴がありました。
熱があること。腹痛や咳などのはっきりとした強い感染症の症状があること。
血液検査をすると、白血球やCRPといった感染症の症状がめちゃくちゃ強いこと。
このような特徴があります。
では、蕁麻疹はどうすれば落ち着くのか?
実は抗生剤を飲ませることなのです。
抗生剤を飲んだらすーっと、それこそあっという間に引いてしまうのです。
翌日には蕁麻疹は完全に消えてしまい、けろりとして患者さんは家に帰ってしまいます。
この不思議な蕁麻疹。
名前を「感染性蕁麻疹」と言います。
普通の蕁麻疹に比べて感染症が明らかに表に出てます。
一説には病原菌に対するアレルギーが強く出たものだと考えられているようです。
感染症の原因は様々ですが、腹痛、下痢などの消化器感染によるものが多い印象を持ちます。
季節も限定しています。
毎年、6月から7月の梅雨の終わりから夏のはじめに見ることがほとんどですが、
たまに9月から10月の秋雨の頃にも見ることがあります。
つまり、忘れた頃にやってくる。
「夏の夜の夢」というにはあまり格好のいいものではありません。
おっさんが救急部の中やら病棟の中やら騒ぎまわっているわけですからね‥‥‥
美しくない?まさに、そのとおり。