「本日学会のために休診です」という案内はクリニックによく貼ってありますが、
その「学会」とは一体何でしょうか。
今回、その「学会」に行ってきたので、そのレポートをしたいと思います。
お医者さんの休日に興味のある方もどうぞ。
学会とは何か。私も正式に調べたことは今までありませんでした。
そういうものかなあ。と思っていたので。
いや、医師の場合、医局に入る(ほぼ就職すると同義語です)と同時に学会に加入した(?するように言われた?)ので、しっかりと考えたことはないのです。
Wikipediaによると、学会とは「学問や研究の従事者らが、自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討論議する場である。また同時に、査読、研究発表会、講演会、学会誌、学術論文誌などの研究成果の発表の場を提供する業務や、研究者同士の交流などの役目も果たす機関でもある。」
とあります。
つまり、その分野の専門家が集まって、その分野のことについて、検討・議論する場所
ということになるでしょうか。
その議論を行う場所として、学会雑誌があり、講演会や勉強会があり、パーティーがあるというわけですね。
(ん?パーティー?と思われた人。雑談や人脈形成も、その分野の研究を発展させる上では大事なことなのです。
茶飲み話が研究を進める大きなポイントになったという話もいっぱいあるんですよ)
私達がいつも「学会」と言っているのは、概ねその中の「研究発表会」に当たるものです。
今回私は行ったのは、日本小児皮膚科学会の第37回日本小児皮膚科学会学術大会です。
会場は東京プリンスホテルです。東京タワーのお隣ですね。
あまり広くない会場です。
大きな学会だと、幕張メッセ、東京国際会議場、東京国際フォーラム、パシフィコ横浜、京都国際会議場
などの大きな会議場を貸しきって行うことがあります。
小さな学会では京王プラザなどのホテルを借りて行うことがあります。
ホテルの正面に「○○学会学術大会」と看板が立っていたり、会議場や宴会場に「○○学会総会」などあったり、
日中のホテルにスーツを着たおじさんやおじいさんがたくさん歩いていたらそこでは学会があるのでしょう。
閑話休題。
この小児皮膚科学会ですが、この学会は小児科のなかでも皮膚に興味のある先生と、皮膚科の中で小児に興味のある先生が集まって作られた学会です。
学会に所属する人は約1500人。皮膚科医の総数が1万人、小児科医の総数が1.5万人なので、そんなに多くはありませんね。
でも、小さな学会では逆に顔見知りの先生が多かったり、なにか相談したいことがあった場合、専門の先生を見つけやすいなど、いいこともあります。
逆に大きな学会では、たくさんのお話が聞けるので、知識を一気に増やすこともできるので、一概にどちらがよいとも言えません。好き好きですね。
まず、受付で学会の参加登録を行います。
領収書を兼ねた、登録・参加章を貰い、それを首から下げます。これがパスカード代わりになります。
その後、必要があればプログラムを購入します。普通は学会に入っている人には予め配られますが、
プログラムは会場でも販売されているので、非学会員でも心配なく参加することができます。
その後は演題を見るも良し。ポスター展示を見に行くもよし。特設された本屋さんで専門書を探すも良し。
器械の展示を見に行くのも良しです。
今回は患者さんの団体のブースもありました。円形脱毛症の患者さんの会です。
学会の演題の発表には様々な形式があります。
今回は、発表(口演と呼びます)でしたが、演題が多いとポスター展示になることもあります。
最近ではインターネットで予め事前情報を確認できるものもあるようです。
大きな会場にずらりとA0サイズのポスターが並んでいるのはなかなかの景色です。
当然、あることを発表する人には反対意見を言いたい人もいるはず。
その意見の交換で科学は進歩しますから、議論の時間もあります。
口演の時には発表終了後に、ポスターの時にも決まった時間にはそこに発表者はいなければ行けません。
そこで議論を交わすわけですね。
これもそのうち、ネット上でのやり取りに変わっていくのかもしれません。
また、学会の場は教育の場でもありますので、その分野の専門の先生が
時間を割いて、教育的な講演を行う場所でもあります。
どうしても専門の分野以外については情報が古くなりがちですので、
このような場所で最新の知識を仕入れる必要があります。
ですので、学会の会場には新人の先生からベテランの先生まで集まります。
最新の情報とは全く逆の、今は廃れてしまった技術の話や、診察風景の話なども聞けるので、
それもまた面白いものがあります。
私の場合は小児科の情報を興味深く入手することが出来ました。
こんな感じで学会は進んでいくのです。