わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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円形脱毛症

円形脱毛のセルフチェックはどこをみればいいのか?

今回は円形脱毛症のお話です。

 

 

円形脱毛症の患者さんの受診はだいたい2週間から4週間に1回です。

ではその間、円形脱毛症の自己評価は何に気をつければいいのか、今回は簡単に説明していきましょう。

 

円形脱毛症、診察のときのチェック項目はまず何よりも局所の確認です。

それぞれの局面が生えてきているのか、まだ変化はないのか、むしろ悪化しているのかを

評価するのですが、大事なポイントが一つありまして。

それは、診察のときの点でしか評価できないということなんですね。

つまり診察していないときの2週間なり4週間マイナス23時間何分間の評価とはできていないのです。

そこが外来診察の一番の弱点であったりするのです。

 

では逆に自宅で細かく毎日評価出来るのか、する必要があるのかというと

こちらも否定的に感じています。

だって、一般の方がまず自分の円形脱毛は見えないですよね。

そして見たとしてきちんとそれば生えているのかそうでないか確認できるかというと

それは無理でしょう。

(というか皮膚科の先生でもそのあたりの判断が怪しい方もおりますので…)

 

したがって毎日細かく評価する必要がないのですが、では何が出来るかというと、

「少なくとも悪化していないかどうか」の判断は可能です。

つまり拡大している=髪の毛が抜けてきていないかの確認です。

 

この評価は実に簡単。

まず円形脱毛の周りを軽く引いてみる。

引いて抜けるなら悪化傾向。抜けないならそこまで悪化はしていないですね。

もう一つ、抜け毛がどのくらい有るのか。

こちらは入浴後の排水口と寝室の枕の周りの毛の量で評価できます。

抜け毛を軽くまとめてボールまたは山にする。

そのサイズは平均と比べてどうか。

平均より大きいのであれば抜けているつまり悪化結構に有るということがわかります。

この2つは毎日誰でも出来るのではないでしょうか。

そして悪化しているなら受診を繰り上げて治療法の相談。

ということができます。

 

円形脱毛の症状の評価は、

・自宅で悪化していないか

を毎日確認し、診察室では

・円形脱毛が良くなっているか

を評価してもらうといいかもしれません。

 

少なくとも悪くなっていないのであれば一安心することも出来るのではないでしょうか?

こちら、自宅でも簡単に行えますので、ぜひ試してみてくださいね。

円形脱毛の「治っています」はどこを見ているの?

本日は円形脱毛症のお話。特に治療についてです。

 

円形脱毛症の治療をしているとき、治っています/治っていませんという位置が

患者さん本人の指摘とこちら側の指摘が微妙に異なっていることがよく見られます。

それは多分見ているものが違うからなんですよねえ。

 

では、患者さんの「治っている」はどこを見ているのか?

それは髪の毛が生えてきているかどうかです。

そりゃあそうだと思うかもしれませんが、それを厳密に見ていくと、

「しっかりとした太い毛が」「それなりの長さ生えてきて」「頭皮が隠れること」

という3条件を満たして初めて生えてきている。という認識になるように思えます。

 

逆に、皮膚科医の治っている所見というのはもっとシンプルで、

「毛穴から髪の毛が顔を出しているか」

だけなのです。

 

この差が起きるのはどうしてなのか?

これはもう仕方の無いことなのですが、

患者さんが気にするのは見た目の話になるわけです。

見た目として円形脱毛が見えなくなるには髪の毛で頭皮が隠れなければいけません。

それに対して皮膚科医が気にしているのは、

円形脱毛症の異常な自己免疫反応が消えているかどうか?

なのですよね。

 

円形脱毛症で何が起きているかは実ははっきりとはわかっていませんが、

髪の毛の構成タンパクのなにかに対して自分の身体が自己免疫を起こしており、

白血球やリンパ球が髪の毛を攻撃し、そのために毛が細くなり、結果として抜けていく。

というように理解をしています。

そのため、自己免疫反応が起きているか落ち着いているのかが大事なポイントになってきます。

その時落ち着いているというポイントが、毛穴からきちんとした髪の毛が顔を出しているかという面なのです。

もちろん毛穴から髪の毛が出ていないければダメですし、

顔を出している毛の状況も確認し、きれいな形で伸びているということを確認する必要もあります。

ただきれいな毛が伸びていれば、現時点では自己免疫反応は十分に抑えられているということも確認できます。

つまり、今後は良くなってくることが十分に期待できるということがわかるのです。

 

このように、円形脱毛症が治ってきているかを確認するポイントは患者さんと治療者とでは微妙に異なるのですね。

なので、患者さんが治っていないように思えるポイントを、皮膚科医が「治っています」というふうに説明することも

往々にして出てくるのです。

簡単に言えば、皮膚科医は「今後落ち着いて髪の毛が生えてきますね」ということを「治っている」と表現し、

患者さんは「髪の毛が生えて症状がなくなった」のを「治っている」と表現するんですね。

皮膚科医は未来を見て治療効果を判断し、患者さんは過去を見て治療効果を判定しているといっても良いでしょう。

 

同じ病気、同じ言葉でもそれぞれ見ているものが微妙に違うというのも、

面白い話ではないでしょうか?

Twitterまとめ:円形脱毛症の治療判定はスマホから

以前に比べて写真を取るという行為が簡単に行えるようになりました。

なによりもその瞬間に見ることができるのがありがたいです。

フィルムカメラの時代を知っている人間からすると隔世の感がありますね。

 

Twitterまとめ:円形脱毛症の治療法選択について

最近はまとめた記事はTwitterで連投と言う形で投稿しています。

フォローいただけましたらこちらのブログよりも早く読むことが可能かと思います。

 

今回は前回の記事に引き続き、重症ではない方、オルミエントを使わない方の

円形脱毛の治療についてです。

 

円形脱毛症に対するオルミエント内服の印象は?(2022年11月)

面積の広い円形脱毛症に対する内服薬としてオルミエントが使用できるようになり数ヶ月が経過しました。

当院では現時点において、以前より使用可能であったアトピー性皮膚炎の患者さんでたまたま円形脱毛症を合併した方と、以前より存在する広い円形脱毛症の患者さんそれぞれに数名ずつ使用しております。

今回はその印象についてお話をしていきたいと思います。

 

まずアトピー性皮膚炎の患者さんに合併した円形脱毛症について。

これらの患者さんは定期的に通院し、デュピクセントをすでに投与されている方でしたので、治療をオルミエントに切り替える形になります。

なお、デュピクセントと円形脱毛症についてはまだはっきりと関連はわかっておりません。ただ当院では円形脱毛症の悪化により治療を中断した方が以前におりました。

またアトピー性皮膚炎にはそもそも円形脱毛症を合併することが知られています。

今回治療を開始された方はすべて局所型。そして発症早期からの治療でした。

効果は皆さん数日で毛髪の発生開始しています。実際に2週間後に受信してもらった段階ですでに円形脱毛症の広い範囲に毛髪の発生が見られました。

そして全ての患者さんが毛髪の再生あり。満足して治療を終了と言う形になりました。

もちろんアトピー性皮膚炎が合併していますので、そちらに対して治療を継続していますが、なんとなく皆さんオルミエントを継続することも多いようです。

まあ、そうですよね。別の治療に変更してまた円形脱毛症を作りたくありませんよね。ということで内服の治療を継続するパターンが多いです。

 

次に広範囲の円形脱毛に対する治療についてです。

こちらの患者さんは先程のようには行きませんね。と言うのが現時点での感想です。

まず、生えてくるまでの時間が明らかに長いです。少なくとも2週間では出ることはありませんでした。

1ヶ月以上の治療によってはじめて発毛を確認できるというような状況です。

また生えかたのペースは明らかに遅いです。まずは一部分辺縁にわずかにぽちぽち。

産毛のような非常に細い毛がぽつぽつ生えてくるか、毛穴の中に少し黒いのが見えてくるかというくらいです。アトピー合併の患者さんのようにみるみるというペースではありません。

一言でいうと、手強いです。

実際に薬の説明書にも、「効果が出るまで時間がかかることがあります。36週は見てください」という意味の内容が書かれていますが、全くその通りだと思います。

とにかく時間はかかるので長期戦を覚悟する必要がありそうです。

 

結論です。

オルミエントは有効です。ただし、円形脱毛症の強さで効果の程度が変わってくる。

と考えてよいかと思います。

むしろ気にすべきは円形脱毛症の強さなのでしょう。同じ病名に同じ薬剤をつかってみてこれだけ症状の変化に差が出るのは正直予想外でした。

面積が広いほど、そして期間が長くなるほど治療の効果が現れるまでには時間がかかることが予想される結果でした。

この状況を見ると円形脱毛症の強さが逆に目立ちますね。

 

あとは可能であればもうちょっと狭い面積の円形脱毛症にも使えるように制限を緩和してほしいものなのですが・・・

むしろあまり面積の広くない円形脱毛症の患者さんにこそ使って一気に抑えてあげたい気がしますね。

 

 

円形脱毛症の飲み薬を実際に始めてみてのお話

今回は6月に少しだけお話をした円形脱毛症の飲み薬についての続編になります。

 

現在円形脱毛症の方でJAK阻害薬の内服を開始している方が数名おられます。

またアトピー性皮膚炎に円形脱毛症を合併したたために、アトピーの治療薬としてJAK阻害薬を内服している方も数名おられます。

今回はその経過についてのお話です。

 

現在日本では円形脱毛症に対してオルミエントというJAK阻害薬の内服が認められています。

ただし、内服を開始するためには条件があり、

・頭部の面積の50%以上に円形脱毛症があること

・半年以上の脱毛期間があること

をそれぞれ満たす必要があります。

つまり重症の円形脱毛症の方であることが前提条件となっております。

 

また、アトピー性皮膚炎についてもオルミエントは内服可能であり、

そして円形脱毛症を合併することはアトピー性皮膚炎では稀ではありません。

つまりアトピー性皮膚炎治療中の患者さんに円形脱毛症が合併する場合、

オルミエントを飲んで一緒に円形脱毛症の治療を行うことも可能ではあります。

こちらはアトピーのために飲んでいるので、円形脱毛症の面積や脱毛期間は関係ありません。

 

以上の2つのパターンの円形脱毛症の患者さんがJAK阻害薬を飲んでいるのですが、

やはり前者に比べて後者の発毛状況の方が良いようです。

本当にどんどん生えてくるというのは正直な印象ですね。

あっという間に消えてなくなってしまう患者さんが多い印象をうけます。

円形脱毛症がなくなって、アトピーの治療を別の薬剤に変更したくても

同意してくれないくらいの満足度があります。

 

逆に新規適応内服開始となった円形脱毛症については長期戦の覚悟が必要なようです。

どんどん生えてくるという印象はあまりなく、そろりそろりと出てくる印象ですね。

数週間をかけて少しずつ生えてくるという印象を受けます。

 

こちらについては薬剤内服前から長期戦の覚悟を持って治療を始める必要がありそうです。

説明書にも、内服開始後36週間程度は継続して様子を見ることとありますが、

まさにその通り、変化が目に見えるようになるまでには時間がかかりそうです。

そこをいかにして治療意欲を保ち続けるかというところがポイントになりそうです。

 

ゆっくりじっくりと治療を進めていく必要がありそうです。

あとはより早い時期から、より面積の小さい時期から治療を開始できるようになるといいのですが。