診療が終わり、吉祥寺の駅前に向かって歩いている途中に、予備校がありました。
ふと中を見ると、壁に張り紙がありました。
「センター試験まであと50日」
ああ、もうそんな時期ですね。
今回はアトピー性皮膚炎と受験についてのお話をしたいと思います。
人生には「たった1日のパフォーマンス」でその後すべてが変わってしまう日というものがあります。
そんな日はあまり多くありません。
幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院の入学試験、
就職試験、転職試験、デートやお見合いの日、
資格試験の日
といったところでしょうか。
これは、私の個人的な考え方なのですが、アトピー性皮膚炎を持っている人に取って、
「ガッチリと抑えこんでおきたいとき」と「通常通りしっかりと治療していれば良いとき」の
2つに分けることができると考えています。
「ガッチリ抑えこんでおきたいとき」は、普段であれば副作用を考えてあまり使わないような治療を短期間だけ、しっかりおこなうこと
(例えば、ステロイドやシクロスポリンの内服、強いステロイドの外用)
言ってしまえば、「後先考えず、その時だけ抑えこめればいいや」という方法です。
「通常通りしっかりと治療」は、普段から行っている、効果と副作用のバランスを取った治療法ですね。
大きく分けると、
ガッチリ治療・・・各種入学試験、資格試験
通常治療、時にがっちり治療・・・就職試験、転職試験
通常治療・・・デート、お見合い
となるのでは無いでしょうか。簡単に説明したいと思います。
各種試験は基本的に一発勝負になります。
(資格試験はものによるでしょう。数回にわけることが可能であったとしても、
その1回に失敗するだけで数ヶ月人生が変わることも往々にしてあると思います)
特に面接のある試験では見た目も重要である可能性があります。
なので、その後のことを考えるよりも、その瞬間に症状を抑えることが必要になるでしょう。
したがって、それらの試験の時にはガッチリ治療。
逆に就職や転職、お見合いやデートについては長期戦です。
その瞬間をしのいだとしても、その後の事があります。
もちろん就職、転職については本命の面接など、ガッチリとした治療が必要になる瞬間はあるかもしれません。
しかし、長期戦をずっと、後先考えない治療法を続けていくことは問題です。
また、デートやお見合いについては、うまく言ったあとは長い人生を一緒に過ごす相手となるわけですから、
後先を考えず、その瞬間のみに注力する治療法はおすすめできません。
言うまでもないことですが、通常からしっかりと治療を行うことによって、
アトピー性皮膚炎の症状をきちんと抑えておくことがベストでしょう。
しかし、そうも言っていられない時もあるかと思います。
もしも、そのような状況になったらどうすればよいのか?
まず、そんな時には皮膚科の先生に相談してください。
本当に大切な瞬間がいつなのかをきちんと話をしてみてください。
皮膚科医は現在の治療法の他にも、「副作用その他リスクは高くなるけど、治療効果も高い方法」を知っています。
普段はリスクの事を考えてその方法は治療法の俎上に載せないわけです。
ただし人生で大事な瞬間、出し惜しみしていられない瞬間であれば、場合によっては
普段考えない方法も検討の余地が出てきます。
ですので、まずは恥ずかしがらずに相談してみることが大事なのです。
次は実際に受験そのものと湿疹の関係についてお話をしていきましょうか。