というわけで、雨も続いているので、カルテをひっくり返してみました。
大人の水いぼの方はどれくらいいるのか?です。
まず基本情報から。
当院を一度以上受診された方は1万3千人ほどです。
その中での子供(18再以下)は概ね半分ですので、6千5百人。
では、子供の中で水いぼの病名が付いた子は約800人程度。
成人は24人でした。
なお、成人例は全部カルテをひっくり返して水いぼと診断されたことを確認済みです。
少し詳しく見ていきましょう。
水いぼの子の受診率は800/6500ですので、12.3%。
結構高いですが、これにはからくりがあります。
「一度でも水いぼと診断された」子なので、現在もうなくなっている子もたくさんいます。
現在水いぼがある子に限定するともう少し頻度は下がるでしょう。
水いぼ取りの処置を行った件数からすると、全患者数の4%。小児では7-8%くらいかと思います。
もちろん発生年齢もありますので、保育園児・幼稚園児では10%を大きく超えますが。
では成人はといえば24/6500ですので0.37%ですね。
小児に比べると結構低い数値です。
でも、300人に一人と考えると、結構な人数です。
月あたり1名ですので、極端に少ない人数ではありません。
0.37%ですかー。結構居ますね。
と思われるかもしれませんが、実はこれにはからくりがあります。
つまり、子供が多いクリニックなので、お母さんも多い。
で、そのお母さんに水いぼが出ていることを受診するというパターンが結構あるので、
多分その割合になっていると思われます。
一般の社会人を母集団とするとさらにその割合は下がるのでしょう。
といっても、0.1%くらい?
極めて稀というには少し多い印象受けますが。
あとは年齢です。
30代、40代でおおよそ8割以上を占めます。
逆に20代や50代以上はほとんどいません。
つまり年齢による偏りは多く存在しているのも一つの特徴になります。
もう一つの特徴は子供から感染される例が多いこと。
頻度の高い年齢の方はほとんど子供からの感染を起こしています。
では、実際に感染を起こされた割合を見ていきましょう。
先程の子供の水いぼの発生数は概ね800人位。
成人の水いぼの発生数は24人。
ということは感染確率は24/800で3%。
・・・思ったよりもあります。
3%であれば、無いとは言い切れません。
もう一つの違いは性別です。
24名中、男性は5名。女性は19名と明らかに女性に多く見られました。
ちなみに男性はほとんど30代です。
パパさんが最近子育てをしっかりと頑張っている様子が目に浮かびます。
昔は全く子育て男性の水いぼは見ませんでしたから・・・
細かく見てきましたが、つまりはこういうことです。
・多くは子供から親への感染が見られるが、稀ではない。(確率は3%程度)
・当然感染するのは母親が多い(30代、40代の感染が多い。男性よりも女性の患者が多い)
では、なぜ前回の様に、
「発生は稀である」「免疫抑制を考えるひつようがある」
となるかといえば、来院する患者層が異なることがあるでしょう。
子供が来る=お母さんも一緒に受診することが多いクリニックでは
子供の水いぼも多く、ひいては大人の水いぼも多く見られます。
逆に高齢者の多いクリニック、働き盛りの男性が多いようなクリニックでは
成人の水いぼはきっと珍しくなってくるでしょう。
結局は来院する患者さんの傾向により、珍しいか否かは決まってくるのでしょうね。
最後に言えること。
お母さんには無視できない確率で水イボが感染することがあります。
それは確率の問題であり、感染された人の免疫が問題なのではありません。
大人の水いぼもふつうに感染することのある、心配のいらない病気なんですよ。
ということでした。