わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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伝染性膿痂疹

抗生剤がない!(2024年8月)

今日は抗生剤のお話。

いやあ、夏休み前は大変だったのです。

夏休みが明けたら劇的に状況が良くなるわけではないというのは切ない話なのですが…

 

現在抗生剤が品薄になっています。

原因は色々あります。

・薬価が必要以上に下げられたこと

・原材料を輸入する必要があること

・メーカーの生産体制が不安定なこと

などですね。

お金がないから物が入らないし、設備投資もできずに劣化し、トラブルになる。

というように認識しています。

こちらは薬学系の資料を見ていただくといいかもしれません。

 

そのような状況下で何が起きているかというと、端的に言えば薬局への供給不足です。

ある程度は入荷はしているのですが、それが需要に対して足りていないという現状があります。。

特に出荷調整ということで、今まで薬を多く処方している薬局にはその薬を供給し、

使っていない薬局には供給しないという形で傾斜配分がなされております。

そのために現状では薬局ごとに置かれている抗生剤の種類が異なり、

それぞれの薬局ではそれぞれ別々の抗生剤が枯渇しているという状況になっています。

 

この現状は非常に非効率かつリスキーなものです。

医薬分業により、クリニックでは院内処方はなくなりました。

院外処方ということで処方箋を発行するのですが、患者さんがどこの薬局に行くのかはコントロールできませんし、

してはいけないことになっています。

そのために、いざ薬局に行ってみたらその薬がないという事態が発生します。

薬がなければ、クリニックに電話して薬を変えてもらうか、別の薬局に足を運んで薬をもらうかしかありません。

いずれも手間と時間がかかる状況です。ここで無駄が生じてしまいます。

薬局にとっても必要な薬を渡せないということになりますからこちらも問題です。

 

幸いにも今までウチでは処方薬の変更を言われることは数えるほどしかありませんでした。

ただ処方している薬はそれが一番効果があるから処方しているわけで、その薬がないから変更しても

同様の効果が期待できるとは限りません。

そこも怖い所です。

ただ薬局に薬がないために一番効果のあるであろう薬とは違う薬を最初から処方するということは

すでに発生しているのです。

診察が順調に回ってるように見えても実は目に見えないところでこのような綱渡りは発生しているのです。

 

残念なことにこの状況は早急に改善するというものではなさそうで、しばらくはこの状態が持続しそうです。

抗生剤が必要にならないように毎日のスキンケアをしっかりと行うこと。

万が一感染症にかかったときには治療を最後まできちんと行い、ぶり返さないように務めること。

は現時点でも行える対応です。

頑張って夏を乗り越えていきましょう。

例年以上に細菌感染症がはやっています(2024年8月)

どうも巷では人食いバクテリアが結構ニュースになっているようですが、

現在外来には例年以上に細菌感染症の患者さんが受診をされています。

 

皮膚科でよく見る細菌感染症としては

子供では、とびひや爪囲炎など。

大人では爪囲炎や蜂窩織炎、毛包炎などでしょうか。

 

今年は特に大人での細菌感染症特に蜂窩織炎を多く確認します。

 

なぜなんでしょうねえ?

そのあたりについては今後はっきりしてくるとは思いますが。

抗生剤の効きが悪いということはあまりなく、例年とそこは変わりは無いかと思いますが。

 

ただ、注意すべきは細菌感染は最悪の場合、どんどん拡大することが有るということです。

人食いバクテリアもとい壊死性筋膜炎ではそこそこの確率で致命的になることもあります。

もちろん最初は小さな感染から始まるんですよね。

例えば水虫のジュクジュクからだったり、虫刺されからだったり。

ただそれが治療の遅れ、不適切な対応で一気に拡大する。

ということになるわけです。

 

痛い、熱を持っている、腫れている

というようなときにはお早めに受診をして、しっかりと抗生剤を飲み始める。

そして完全に症状が落ち着くまでは飲み続ける。

ということをきちんと行う必要があるようです。

 

ということで、今年の夏は感染症に注意です。

Twitterまとめ:とびひが増えてきました

もう春になったということなのでしょう。

とびひの患者さんが出てきましたねというお話です。

 

とひびのいない夏休み(2022年9月)

もう夏もおしまいでしょうかねえ。

今年は秋が来るのは早い印象を受けます。

なんか夏らしい夏は短かった印象を受けますが、

それはずっと屋内でお仕事をしていたせいなのでしょうか?

 

それにしても今年の夏はとびひの患者さんの数が少なかったようです。

例年の半分くらいでしょうか?

 

不思議ですねえとも思うのですが、ある程度納得するお話でもあったりします。

 

そもそも、とひびは皮膚の感染症ですが、みていると汗で悪化する傾向があります。

そのために汗をかかない環境にいることが予防でもあり、治療でもあるのですが、

今年の夏の特徴として

・気温があまり上がらなかった

・外出頻度が少なかった

というのがどうもありそうなのです。

 

気温があまり上がらなかったというのはまあ、太陽と地球の話になるので、

たまたまといえばたまたまなのでしょう。

外出については新型コロナウイルス感染症の拡大の影響はありそうにも見えます。

子どもたちの感染を恐れて、外出しなかったこと。

それがとびひの発生にも影響を及ぼしている可能性がありそうです。

 

そういうわけで、今年の夏の感染症は少なかったなあというのが印象です。

秋以降、子供同士の接触により発生する、

みずいぼ、しらみについても確認をしていく必要がありそうです。

もうとびひの時期がやってきました(2020年3月)

え?もう?と思われるかもしれません。

私もそう思っているのですが、どうもとびひの時期がやってきたようです。

 

春のとびひの一番の原因と考えられるのは実は洋服。なのです。

日毎に暖かくはなってきているのですが、その内実は毎日暖かい日と寒い日の繰り返しです。

本当に交互にやってくるかのような印象があります。

 

問題になるのは当然暖かい日。

先日の冷たい日と同じ洋服を着たまま、その翌日に温かい日に同じような洋服で

行動すると、体温が高くなり、汗を沢山かいてしまいます。

そのためにとびひができるのです。

 

対応はシンプルにまず外に出てその日の気温を確認すること。

そして天気予報を確認することです。

その日の気温に応じてこまめに洋服を脱ぎきさせることが、

一番の対応にもなるのです。

 

あと、余裕があれば帰宅後にシャワーをしてあげるといいかもしれません。

一緒に花粉も取れますからね。

 

洋服の枚数調整とシャワーが予防になります。

毎日、気温を確認する習慣をつけるといいかもしれませんね。

虫刺され、とびひは秋の病気なのか?

今回のお話は気候の変動が病気の出現頻度に影響してくるのかな?

というお話です。

 

今年の夏にきがついたのですが、虫刺されを夏に見なくなってたような気がします。

 

なんでかな?と少し考えてみたのですが、いくつかそれらしい理由が見えてきたような気がします。

 

一つ。外に出なくなった。

いや、とても暑くなったではありませんか。

自分が子供の頃はこんなに暑かったかな?と思うくらいの気温の変化があるように思えます。

そのために、外出が減ってしまった。だから虫刺されが減った。

というのも一つの理由になるかと思います。

 

もう一つ。虫も暑くて出てこれない。

というのもあるのでしょうかねえ。

 

とびひも同様の傾向があるように思えます。

まあ、こちらは温度というよりもむしろ湿度が影響するので

台風や多雨の影響かと思うのですが今年も夏よりも秋に多く診察をしている印象を受けます。

 

環境が変われば病気の出方も変わるもの。

特に虫刺されととびひは、虫や細菌といった相手のある病気なので、それが如実に現れるんでしょうね、きっと。

夏が冬に変わる年(2019年10月)

今年の秋は一体どこに行ったのでしょうか?

 

まだ暑いです。30度に近い日が連日続くとげんなりしてしまいます。

だって10月ですよ?!

 

そして、もう一気に冬がやってきそうな気配があります。

湿度を見ているとしっかりと下がってきましたね。

 

もういい加減にあせもも終わるかと思えばまだぼちぼちの発生がみられますし、

とびひもまだまだ出てきます。

しかしスネのあたりを見ていると皮膚の乾燥も少しずつ進んできました。

 

ということで秋ののんびりとした気配はなく、夏が冬に一気に変わってくる

印象があります。

 

もう日本も夏と冬しかなくなってしまうのでしょうか?

そんな予感がする今日このごろです。

 

まだシャワーはしたほうが良さそうですが、

そのとなりで加湿器の準備も始めたほうが良さそうです。

 

そんな10月の始まりになりました。

 

 

梅雨だから「とびひ」に注意です(2019年7月)

本当に今年の梅雨は雨が多いですねえ。

気温もあまり上がらない毎日です。

昨年の今頃を考えたらまだ過ごしやすいと言えるのでしょうか?

 

さて、こんな気温の上がらない梅雨の毎日ですが、

想定よりも多く受診している病気があります。

それはとびひです。

 

とびひ、正式な名称は伝染性膿痂疹ですが、

こちらは細菌により発生する感染症です。

細菌ということで気温が上がれば発生確率が上がる疾患ではありますが、

もう一つ、湿度という要因があることは知られていません。

尤も、日本の夏は気温と湿度が並行して上がりますからねえ。

 

しかし、今のような気温は低いけど湿度の高い季節も

とびひの発生確率は上がることが知られています。

どうしても汗をかいてしまうこと。

そして油断してシャワーが少なくなることがその要因と考えられます。

 

この時期、少し寒くても朝にしっかりとシャワーをして

皮膚の表面の汗を流すことは皮膚の病気を抑えていく上では

非常に大切なことになっていくのです。

 

シャワーはしっかりとしましょうね。

秋のとびひが増えています(2018年9月)

どうもここのところとびひの患者さんが増えているような印象があります。

秋なのに・・・

と思っていたのですが、よくよく考えるとまだとびひの季節なんですね。

 

例年と異なり、今年のこの季節は雨が多いのが特徴です。

なんとなくいつもジメジメしている。

そうです、その環境こそがとびひを呼んでいるのです。

 

とびひは細菌による感染症です。

つまり、高温・多湿の環境で爆発的に増殖します。

 

ではこの高温環境とはどのくらいの温度か?

概ね最高気温で25度以上です。今までの経験からするとこれ以上で

一気にとびひの患者さんが増えてきます。

実はまだ気温の条件はとびひにとって「高温」な環境だったりするのです。

では多湿とは?雨の降っている日の湿度は十分に多湿環境になっています。

 

そして、もう一つ。スキンケアの問題があります。

「秋になったので」シャワーを止めてしまう子が多いのがこの季節の特徴です。

シャワーは細菌の増殖を抑える効果がありますので、

シャワーをやめることで結果的に細菌を増殖させる手助けをしてしまうのです。

 

そのため、この季節にかえってとびひの患者さんが増えてしまうという

不思議なことになるのです。

 

まだまだとびひには注意が必要な日が続きますね。

とびひには創傷被覆材とカットバンは使わないようにしましょう

あまり推奨はしていません。

そのココロは悪化するから。

 

まずとびひはなぜ起きるのかを考えてみましょう。

原因は細菌です。

細菌の出す毒素が皮膚の細胞の接着を溶かしてしまい、

結果的に皮膚が溶けて剥がれてしまう症状が出てしまうのです。

 

ですので、皮膚の表面の剥がれや剥けに対して

創傷被覆材を使用することで逆に温暖・湿潤環境が

形成されてしまい、逆に細菌の増殖が起こってしまうという

問題が出てしまうのです。

(被覆材の使用説明書にも同様の記載があるかと思います)

 

同様にカットバンもあまりおすすめはできません。

問題になるのは粘着剤の部分です。

この部分に細菌の感染が起こり症状の拡大が進んでしまうという

事態になるのです

 

したがって、とびひに感染したときには「蒸らさない」「ふやかさない」が

鉄則となります。

とびひの症状の部分はあえて隠す必要はないのですが、

隠したい場合にはガーゼを貼って紙テープで留めてあげる

というのはベストの対応の用に思えます。

隠すときには通気性は保つこと。ですね。