あまり、知られていないことですが、血液の流れと、リンパの流れは違います。
虫刺されのあとや、蜂窩織炎(皮膚の下にバイキンが入る病気です)のあとに、
腫れた部分から体の中心に向かって、赤くなった皮膚が帯のように広がっていくことを
診察時に目にすることがあります。
これが、リンパの流れです。
正確にはリンパ管の流れということになるでしょう。
かぶれや虫さされ等のアレルギー反応や細菌などの感染症が起きた時には
このリンパ管の中をリンパ球が通ります。
そのリンパ球はリンパ節にいたり、そこで、「敵の襲来を告げる」=炎症反応を起こすように司令を出すのです。
もちろん、リンパ管に沿って、その反応は伝わりますから、リンパ管周囲には赤く腫れた部分が出来上がります。
当然リンパ節もぐりぐりに腫れることになります。
実は、この反応はアレルギーや感染症だけで起きるわけではありません。
他にも悪性腫瘍の時にも同じような原理で、免疫反応が起きると考えられます。
また、転移をするときにはこのリンパ管を経由して起きることがあります。
悪性腫瘍があった部分からリンパ管を経由して、最初に出会うリンパ節のことを
センチネルリンパ節と呼びます。
センチネルとは見張りの意味ですね。
ですので、悪性腫瘍がリンパ管を通して転移するときにはまずこのセンチネルリンパ節を経由することになります。
逆にこの原理を逆手に取り、まずセンチネルリンパ節をとってみれば転移が有るかを判断することが出来ます。
この方法をセンチネルリンパ節生検と呼びます。
ここに腫瘍細胞が入るかいないかで転移の有無をある程度判断することが出来るわけですね。
では、なぜ、こんなお話をしているのか?
じつは、先日蚊に刺された時にキレイにリンパ管の流れに沿って、赤みが広がってきたんですね。
感心して、思わず写真をとってしまいました。
↓ 毛深いのはご容赦下さい。