よく言われることですが、
漢方薬には薬のアレルギーが出ない。
あ、それ、都市伝説ですから。
副作用の報告もいろいろありますよ。
今回はそんなお話です。
私も漢方薬を処方することは多くは無いのですが、そのなかに独特の副作用があります。
それが「腸間膜静脈硬化症」です。
え?聞いたことない?
それもそのはず、漢方薬の中でも、特定の成分を長い間飲み続けて始めて起きる副作用ですから。
原因や発生するメカニズムは良くはわかっていません。
でも、発症した人に共通している成分がありました。
それが、「サンシシ」です。
これはクチナシの果実のことです。
このクチナシの実の中にはゲニポシドという成分が含まれています。
それが体内で分解され、ペニピンという分子に変わります。
で、これがさらに体のタンパク質と反応して青い色素になり、体内に沈着。
特に吸収されてすぐの腸からの静脈にてその反応が起きるために
腸間膜静脈のみ侵されるという理屈のようです。
そして、厄介なのは、自覚症状はあまり出ないこと。
そして長期間内服を続けて始めて出ることです。
数年ではなく、数十年して始めてでることもあり、要注意なんです。
非常に珍しいものではありますが、薬を飲む事を続けていると、
ある日思わぬ副作用が出てしまうことがあるんですね。
気をつけましょう。