デュピクセントを始めとする次世代型アトピー性皮膚炎の治療が開始されて4年目に入りました。
オルミエント、リンヴォック、サイバインコ、ミチーガと薬の種類も増え、使用中の患者さんも増えてきています。
それに伴い進学転居などの社会的変化に伴い転院されるかたも増えてきました。
その方にはもちろん転居先で治療を継続するようにお話をし、紹介状を記載しています。
紹介状にはいくつか記入が必要な事項もあるのですが、紹介状にそれが抜けていることを経験したために今回記事にします。
いや、だってこれが書いていないとおくすりを処方できないんですもの。
アトピー性皮膚炎の治療薬は非常に高価です。窓口で支払う金額でも十分に高価なのですが、それ以外の7割(から9割)の金額は実は保険者から出ています。
そのお金はもとをたどると毎月給与から引かれている保険料および税金となっています。
医療機関は毎月保険者にレセプトという名前の書類を提出し、その金額を請求することになっているのですが、そのレセプトには必ずいくつかの事項を記載しなければなりません。
特にアトピー性皮膚炎の場合には上記の写真にあるIGA、EASI、BSAというデータを記載する必要があり、そのデータがある数字以上でないと処方できないルールになっております。
で、問題になるのが治療中に転院した場合。調子が良くなって転院すると、転院先の病院でとった数字ではクリアできなくなる可能性があるんです。
この数字は患者さんがある時点でクリアしていることが証明できればいいので、一番合理的なのが全身治療を行う前の調子が悪い段階でのデータを使用することなんです。
なので、転院前の病院が持っているそのデータが一番大事なのですが、その数字が書いていない。となると転院先の病院は途方にくれてしまうのです。
もちろん、一番悪いときのデータを見ることでもともとその患者さんがどのくらい重症なアトピーだったのか、ひいてはどれだけしっかりと治療を行うべきなのかを知ることも大事なのですが。
なので、転院前の病院にお願いです。このIGA、EASI、BSAのデータはかならず紹介状に記載してください。処方薬のデータは患者さんのお薬手帳を見ればある程度確認できるのですが、この3点だけは紹介状に記載が無いと全く判断ができません。
あとは患者さんも可能であればこの3つの数字は教えてもらってお薬手帳などにメモしておくと良いかもしれません。実際に起こりうる話ですが、洪水で・地震でクリニックのデータが全部なくなってしまうことも理論的にはありますから。しっかりと自己防衛することも大事ですよね。
転居するときには紹介状をしっかりと書いてもらいましょうね。