さて、最後は治療のお話をしていきましょう。
シラミの診断がされました。卵も見つけました。
では、どうするか?
スミスリンと言う薬が有ります。
でも、あくまでも薬は補助療法なのです。
なぜか?
最近薬の効かないシラミが増えているからなのです。
ですので、あまり頼りすぎても行けない。
では、どうするのか?
髪の毛を切ってしまいましょう。
極端に言えば、まるこめにすることでしらみは確実にいなくなるのです。
つまり、しらみの成虫は髪の毛の中に隠れます。
卵は髪の毛に植えつけます。
したがって、その髪の毛がなくなってしまえば、シラミの生活する場所も、産卵する場所もなくなってしまうのです。
これって、非常に合理的な治療だと思いません?
まあ、でも、外来では男の子はともかく女の子は丸坊主には出来ません。
次に行うことは髪の毛をかき分けかき分け、卵を探すことです。
卵を見つけたらその卵が付いている髪の毛をぱちりと根本から切り取ってください。
切った髪の毛はトイレットペーパーにくるんでトイレにポイしてください。
髪の毛についた卵は放置する先生もいますが、
私は取るべきと考えています。
それは、新しく植えつけた卵があるかどうかが治療効果の目安になるからです。
髪の毛についた卵を放置しておくと、それが新たに植え付けられたものか否かを判断できませんので、
治療の効果も判定できません。
なので、中に虫がいるかいないかわからなくても毎日卵が有るか確認し、
必要なら髪の毛を切ってあげたほうが良いでしょう。
髪の毛を切りたくない人は目の細かいクシを使って髪の毛を空いてあげてください。
もしもクシの歯に卵が引っかかったら髪の毛をゆっくりとひっぱり、卵を取り除いてください。
じつは、これは昔から有るクシの方が向いています。
最近のクシは目が荒いので、卵をうまく捕まえることが出来ないのです。
スミスリンシャンプーにもクシはついています。可愛くないですが。
薬は現在はスミスリンしかありません。
少し前までγBHCという物もありましたが、環境ホルモンに当たるということで
現在は使用が禁止されています。
ワセリンをベッタリと髪の毛につけ、シラミの成虫を呼吸不可能にする方法もあるようですが、
ベタベタしますしね・・・
こうしてみると、昔の人の生活にもある面では非常に合理的だという気もします。
子どもは丸坊主。
大人の女の人はクシで髪をすき、
大人の男の人はまげを結う時に沢山の油を使う。
実はこれは合理的なシラミ対策なのでしょう。
ボサボサ頭の浪人が頭をぼりぼり引っ掻いている時には
その頭にはシラミがきっと付いているのでしょう。
そのように考えると、時代劇を見るのもなんだか楽しくなってきますよね。