最近のTwitterなどで流れているようですが、
花粉症にワセリンを使用することの是非について、
耳鼻科医では有りませんが、ある程度アレルギーの知識のある医者として考えてみました。
なにより、皮膚科医が一番ワセリンを処方していますからね。
ワセリンとは何か?
物質的な云々を除いて、体に塗ることを目的として考えた場合、
その目的は皮膚の保護です。
実際に何に処方しているかというと、一番多いのは赤ちゃんの顔。
いわゆるよだれカブレ防止のための保護膜としての作用です。
逆に保湿剤としての作用はあまり期待しては処方しません。
今回、花粉症にワセリンをいう考え方の基本となるのは、
皮膚及び粘膜の保護が一番でしょう。
つまり、花粉が直接皮膚や粘膜に接触しないようにワセリンを塗るということ。
そのために粘膜の刺激が起きず、炎症が起きない。
というのが使用の目的になります。
もう一つの目的としては炎症の抑制及び乾燥やひりつき感の軽減が考えられます。
表面を覆うことにより、刺激が多少なりとも減少しますから
炎症はある程度は抑制できるでしょう。
また、特に皮膚では炎症やそれに伴う掻破行動のために皮膚の表面が荒れ、
それが更に炎症を悪化させるという悪循環になっています。
また皮膚の表面が露出していると神経が刺激され、皮膚のひりつきが多くなりますので、
予防としてワセリンを使用することも大事でしょう。
と考えてみると、意外や意外。ワセリンを使うというのはあまり悪い選択では無さそうです。
少なくともリスクとメリットの割合は良さそうですね。
ただし、気をつけることがいくつかあります。
まず、この方法はあくまでも予防ですから、症状が出る前に行ったほうが効果は高いでしょう。
症状が出現し、炎症が出てしまうと、その炎症自体を取り除かないかぎりなかなか落ち着きません。
ですので、炎症出現後の効果は出現前に使用するよりも低くなると考えられます。
次に、きちんとしたものを使用すること。
具体的には精製された、純度の高いものを使用することです。
病院ではプロペトという名前で純度の高いワセリンを処方することができます。
また、市販品ではサンホワイトが純度の高いワセリンを使用しています。これですね。
なぜ純度の高いものを使用すべきか?それはカブレのリスクです。
純度の低いものはかぶれやすい。
また、いろいろなものが入っていればそれだけ、かぶれるリスクが高くなります。
特に荒れた皮膚や粘膜の場合は更にリスクが高くなりますので、
純度の高い製品を使用したほうが良いでしょうね。
次に、保護剤の性質上、剥がれたら効果は無くなってしまいます。
そのために頻回に使用すること。
顔を拭いた、鼻をはんだ、目を拭ったら効果がなくなるので、
そのたびに塗ること。
が大事になります。一回あたりの厚さよりも回数を重視して塗ったほうが良いでしょう。
最後に、マスクやメガネその他の保護具も併用することです。
それぞれの器具で少しずつ花粉をストップしていくことが大事ですので、
後2ヶ月、しっかりと花粉をブロックしていきましょうね。