わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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アレルギー

食物アレルギーの子の「許容量」と「許諾量」のお話

今回は食物アレルギーのお話です。

といっても専門家と言には詳しくはないのでざっくりとしたお話になるのですが、

家族や周りの食物アレルギーを持っている子やその保護者と接するうえで

知っているとお互い楽になるお話をしようかと思います。

 

食物アレルギーとはある食品を食べると極微量でアレルギー反応が起きて

困ってしまう病気と考えてよいかと思います。

こちらアレルギーなのでざっくりと微量で症状が出るのですが、その量というのは個人によって異なります。

つまり、それぞれの食物に対する「許容量」があるんですね。

これを超えると症状が出る。だからダメ。

という制限量になります。

これは医学的なものであり、かなり厳密なものです。ちょっとでも超えるとダメなこともあります。

 

ただ、人間は機械ではありませんので、そんなにはっきりくっきりと区別出来るわけではありません。

この許容量も状況によって多少変化します。

例えば、風邪を引いているとき。

例えば、疲れているとき。

例えば、喘息など他のアレルギー症状が出ているとき。

そういった時にはこの許容量が下がることが起こります。

つまり、「いつもは大丈夫だったのに今回は…」というパターンですね。

 

また食品側の問題もありますね。

旬の季節にはタンパク質の量や濃度が増える。そのためにタンパク量では変化がなくても、

それを含んだ食品の許容量が変わるということもあります。

同じ食品でも銘柄や産地が変われば、その成分量も変わる可能性もありますよね。

 

このように一般的には固定された数字と思われる「許容量」も状況によってブレてきます。

そうなんです、これは決まった数字のよう見えるけど、ある程度の幅が実生活上では出てしまうものなのです。

 

 

 

このような状況によってブレる「許容量」を見ている保護者の方はその時の状況によって食物摂取量に制限を更にかけるのです。

つまり予防的に数値を変えることにより、食物アレルギーの発症を抑えようとするわけですね。

実に合理的な方法だと思います。

この保護者により安全率を加えて出された量を今回は便宜上「許諾量」としましょう。

なので、この「許諾量」は完全に社会的な数値になります。

まあ一般的に考えて「許諾量」は「許容量」と同値か、それ以下になるわけですね。

 

そして、この食物アレルギーの「許諾量」は「許容量」以上にダイナミックに変化する数値でもあります。

では何によって変化するのか?

保護者の主観的な考え方で変わります。

例えば周囲の医療状況。

病院はそばにある?救急車はすぐに来る?知っている先生に見てもらえる?

という条件を確認し、問題があるなら「許諾量」を下げることにより食物アレルギーの発生を予防しようとするわけですね。

極端なことを言えば、朝昼と夜とで「許諾量」を変えることもあります。病院が空いているか否かというのは大事ですから。

同様に周囲の環境によっても変わります。

保護者が近くにいるかいないか。医療従事者がすぐに対応できる環境にあるか?でも「許諾量」は変わりますよね。

実際に保育園幼稚園小学校でも、一応食べられるけど、対応リスクはあるので食事は制限しますというお話もよくあったりするのです。

例えばキャンプに行って誰も対応できないのに食物アレルギーが出たら…いかがですか?

危ない橋はわたりたくないですよね。

 

というのが保護者の主観的・社会的な「許諾量」の考え方になるのです。

つまり、

食べられる=食べさせる

ではないということは普通に起こりうることなのです。

食べられる。けど、状況を考えて食べさせない選択をする

ということもあって当たり前なのです。

 

食物アレルギーについて全くわからない。

ということは今ではだいぶ減りました。

根性や気合で乗り切れるものではないということも理解していただけるようになったなと思います。

ただ、今まで大丈夫だったから今回も大丈夫。

では無いということ。食べられるけど食べさせないという選択をすることもあるんだということ。

これは理解してほしい事柄かなあと思います。

 

ちょうどお盆の帰省で帰省先の両親・義両親との間で板挟みになっている

食物アレルギーの子持ちのお母さんの声が聞こえたので、

簡単に解説してみました。

 

まず保護者の意見を聞いてからにしてくださいね。

本当に怖いそばアレルギーのお話(2022年12月)

一部ネットでも話題になっているようですが、

お蕎麦のアレルギーって本当に怖いんですよ。

 

少なくともそばアレルギーがあってお蕎麦食べたことのない人に

お蕎麦及びそば関連の食品を食べさせることが絶対にやめてくださいね。

 

Yahooで堀向先生がその理由についてお話されています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20221201-00326491

堀向先生とは以前に同じ病院で一緒に働いていました。

少なくとも成育時代にはそばアレルギーの有無についてはアレルギー科にすぐに

お願いしていましたし、現在もアレルギーに強い先生に紹介状を書いています。

それだけ蕎麦アレルギーの検査は難しいものがあります。

 

記事にもある通り、蕎麦を使用しないでの検査の信頼性が低いこと。

アレルギーを起こす閾値が極めて低いために

(高校時代の先輩は、そばがらの枕が置かれているお部屋に入っただけで

アレルギー症状を起こした話をしていたのを覚えています。)

ほんのすこしの量でも症状を出しかねないこと。

そしてその症状がかなり激しいこと。

 

以上を考えると開業医レベルでは対応しないほうが良さそうだという結論になるのです。

大きな病院で入院して、アレルギーの専門家がそばにいて何かあったときにすぐに対応できる。

そのような状況で初めて精密検査を行うべきと考えています。

 

食物アレルギーについては対象となる食物によって症状の出方、治療の進め方がかなり変わります。

お家で少しずつ食べてみることが可能な食材もありますし、全く不可能な食材もあります。

お蕎麦については完全に後者の食材となりますので、ご注意ください。

食物アレルギーについての相談も当院ではお受けしておりますし、合併された方の治療も

軽症でしたら行っております。

一度ご相談いただき、専門医につなぐこともできます。

小児でしたら近隣の専門の先生に直接紹介状を記入しますし、

成人の方はアレルギーセンターを併設して総合的に対応してくれる病院に紹介いたします。

 

食物アレルギーの方はくれぐれもお家で自己判断のもとにチャレンジするのではなく、

一度医師に相談してみてくださいね。

 

11月の虫刺されは悪くなる!?(2022年11月)

んじゃないかな?というお話です。

 

11月の虫刺されが悪化する患者さんを立て続けに何人か診察しました。

まあ11月も中旬になってから虫に刺されることなんてあまりないので、今まではスルーしていたのですが、今年はなぜか症状の悪化が多い。

なぜかと考えていたのですが、これも虫刺され経験値で説明ができそうな気がします。

つまり、しばらくぶりの虫刺されは反応が強くなるの法則ですね。

 

こちら、一般的には5月6月の虫刺されの最初期に見られることが多いです。

体の免疫反応がより強く出てくるのでしょうね。きっと。

まあ、こちらの反応は合理的ではあります。久しぶりのアレルギー反応なので、最初は強めに反応しておく。

そして頻繁に反応するようであれば徐々に弱くしていく。

異物に生体が侵食されないように、逆に反応を強いままにしないように程々に調整をしていく。

と考えるとわかりやすいのではないかと思います。言わゆる馴化ですね。

 

ただ、夏に虫に刺され、秋になって刺されなくなった。そして晩秋にまた刺された。

ということでアレルギー反応はしばらくぶりの反応ということで強めに出た。

と考えることができそうです。

 

11月の虫刺され、意外に侮れませんね・・・

 

スギ舌下免疫療法を始めるのは今がベストシーズンです

やっと花粉症も落ち着いてきましたね。

ヒノキももうちょっとでしょうか?

 

当院ではゴールデンウイーク明けから新規スギ舌下免疫療法の処方を開始しております。

どうしてもアレルギーを体内に入れるという治療法である以上、

花粉が飛んでる時期には開始できなかったわけですね。

 

舌下免疫療法で皆さんビックリされるのは治療期間です。

基本3年が必要です。

ただ、翌年から花粉症の反応は弱くなるかたがほとんどです。ご心配なく。

治療法の特性上、治療期間が長くなればそれだけアレルギー反応は抑制されますからね。

つまり、来年の花粉症の時期に反応を弱くしたいのであれば

理論的な治療開始時期は、今年のスギのシーズンが終わった直後ということになります。

つまり、今。がベストという結論になるわけです。

 

ことしスギ花粉症に悩まされた皆さん、治療を開始するのは今からがいいですよ。

ぜひご検討くださいね。

花粉症が悪化してきました?

あくまでも個人的な体験及び外来診察での印象なのですが・・・

 

3月5日の先週末から全体的に皆さんの花粉症が悪化したような印象を受けます。

当然花粉アレルギーにより発生するわけですから花粉の量が増えてきたんでしょうね。

思い返してみるとその時から一段と暖かさがましたような気もします。

つまり、冬は終わり春がやってきたということなのでしょう。

 

これから花粉症の本番を迎えるわけですが、しっかりとお薬を飲んで迎え撃つ体制は

出来上がっているでしょうか?

 

あとはお家に帰ったらしっかりと顔を洗うこと。

余裕があったらシャワーをして花粉を洗い流すだけでも随分楽になると思います。

お試しあれ。

花粉症の始まりと目の周りの湿疹と

2021年春の花粉症のシーズンが始まりました。

今回は花粉症の話です。

 

花粉症の始まりの季節に多いのですが、

目の周りの湿疹が多く見られます。

まあ、目の周りと言っても、上まぶたの縁、下まぶたの縁、目尻、

眉間、頬部などと人によって異なるのですが、

目の近傍に湿疹ができることがあります。

 

これは俗に言う花粉かぶれの症状です。

原因は一つは花粉そのもの。そのものがアレルギー反応を起こす可能性があります。

こちらは目のフチによく見られるでしょうね。

 

もう一つはひっかきもしくは、こすることによる症状です。

ひっかくことにより皮膚が荒れて湿疹が出てきてしまうのです。

 

このように春先の目の周りの湿疹が花粉症の方には頻繁に生じることがわかっています。

逆に花粉症の一つの症状でもあったりするので、

花粉症デビューの最初に湿疹からというパターンもあるんですね。

 

春先に天気の良い日に悪化する目の周りの湿疹があったら

花粉かぶれの可能性も考えて皮膚科を受診してみるのもありですよ。

シダトレンの処方は来年3月をもって終了となります。

今回は薬剤のお話です。

当院で処方を行っております花粉症の舌下免疫療法の治療薬である、

シダトレン

の販売終了のアナウンスがなされました。

2021年3月末をもって終了となります。

 

終了となる理由は後継薬の存在です。

シダキュア

が現在同様の目的で処方されておりますので、シダトレンがなくなったとしても

薬剤の変更があれば影響は少ないためです。

 

なお当院では本年に入ってからシダトレンの処方履歴はありませんが、

ご無沙汰処方の可能性もありますので、アナウンスさせていただきます。

 

シダトレン使用中の方はおいおい切り替えが必要になりますね。

子どもの顔、手足の発疹症が増加しています(2020年2月)

ここ1週間位の話でしょうか。

 

子どもの顔と手、足に赤いぶつぶつができて受診する患者さんが増加しているようです。

・・・手足口病ではありませんよ。

 

症状の出る順番は様々ですが、

顔面特に頬部

耳たぶ

腕の外側、手のひら

スネの外側、足の裏

に赤い発疹が出てくることが多いようです。

またみみたぶ、手のひら、足の裏は全体的に赤くなることもあるようです。

 

痒みはあったりなかったりです。

無いことも結構あるのが特徴です。

 

また特徴的なのは分布です。

左右対称性に出ていることが基本となります。

 

逆に左右対称性、体の一番遠い場所に同じような発疹が出ていることが

体の中から起きている炎症であることの証明にもなるわけです。

 

 

原因はウイルスかと考えれます。

然し、全身にウイルスがいるわけではなく、アレルギー的な反応かと考えられます。

というのも、そういった患者さんの中には

上気道炎や胃腸炎などの全身の感染所見が無いことも往々にしてあるからです。

つまり、ウイルスが皮膚に居て暴れているような水疱瘡などと異なり、

ウイルスはおらず、ウイルスに対するアレルギー的な反応になります。

したがって、発疹が出ている子から発疹が直接感染することはありません。

(間接的にその他の感染症が他の子に移り、アレルギー性の発疹ができることも

可能性としてはありますが、非常にまれなことかと考えられます)

 

治療法はアレルギーの治療に準じて行うことになります。

ステロイドの塗り薬、抗ヒスタミン剤などの飲み薬を使います。

治療期間は1ヶ月弱です。徐々に改善してくることがほとんどですが、

2,3ヶ月の間は少し茶色い色素沈着は残存しているようです。

 

以上、今回発生しているウイルス性発疹症のお話でした。

 

今年の花粉はだいぶ少ないようですね。(2020年1月)

花粉症の季節も始まってきましたが、最新の予報も出てきたようです。

 

2020年春の花粉飛散予測第3報

 

昨秋の予報と同様、関東地方の花粉の飛散は例年と比べて少ないようですね。

ただし、あくまでも少ないだけで花粉は舞います。

 

また、アレルギーの反応は極微量から始まることもありますので、

例年に比べて症状が少なくなるかというとなかなかそのように言い切ることはできません。

軽くなる人もいるかな?くらいに受け止めるほうが精神的にもいいかもしれません。

期待しすぎると失望に変わることもありますしね・・・

 

でも、今年の花粉症。少なくなりそうと考えてもいいかもしれません。

例年通りの治療をしっかりとしていけば、かなりの確率で症状の悪化が防げる可能性があります。

また舌下免疫療法を行っている方の場合、明らかに昨年よりも症状が改善したことが

わかるかとも思います。

 

そろそろ花粉症本番ですが、しっかりと対処をしていきましょう。

虫刺され、とびひは秋の病気なのか?

今回のお話は気候の変動が病気の出現頻度に影響してくるのかな?

というお話です。

 

今年の夏にきがついたのですが、虫刺されを夏に見なくなってたような気がします。

 

なんでかな?と少し考えてみたのですが、いくつかそれらしい理由が見えてきたような気がします。

 

一つ。外に出なくなった。

いや、とても暑くなったではありませんか。

自分が子供の頃はこんなに暑かったかな?と思うくらいの気温の変化があるように思えます。

そのために、外出が減ってしまった。だから虫刺されが減った。

というのも一つの理由になるかと思います。

 

もう一つ。虫も暑くて出てこれない。

というのもあるのでしょうかねえ。

 

とびひも同様の傾向があるように思えます。

まあ、こちらは温度というよりもむしろ湿度が影響するので

台風や多雨の影響かと思うのですが今年も夏よりも秋に多く診察をしている印象を受けます。

 

環境が変われば病気の出方も変わるもの。

特に虫刺されととびひは、虫や細菌といった相手のある病気なので、それが如実に現れるんでしょうね、きっと。