わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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アタマジラミ

しらみの月別データを確認してみた

小児皮膚科医を長い間しているのですが、考えてみたらシラミのデータはほとんど見たことが有りません。

一般的な病気であり、難しいものではないこと、治療法もある程度確立されたものが有ることから

あまり統計データが表に出てこないのでしょう。

 

実際に、以前に勤務していた成育医療センターでのデータも眺めてみたのですが、

数年間で数例しかデータが有りません。

とても季節の傾向がわかるものでは無いです。

思い返してみても診断をしたのは他の診療科に入院した子にできていました。

という状況が多かったです。

まあ、専門病院ですから、わざわざシラミで皮膚科を受診する子もいませんし、

予約から診察まで数週が経過しているうちに終息しますよね。

 

ということで開業してからのデータをひっくり返してみました。

スクリーンショット (2)

 

開業してから2年とちょっとですので、2,30例くらいのデータです。

秋に多いかなあ・・・

意外にもGWから梅雨にかけてもかなりの診断例があることが分かりました。

もう少しデータが増えればなんとなくですが、傾向は見えてくるかもしれませんね。

 

今年もしらみが増えているようです

シラミ

 

といっていますが、毎年、秋には流行していますよ。

幼稚園児や小学生がほとんどなので、あまり知られていないのですが。

また、局地的な流行なので、周りに出ていなければ全く知られることは無いのですが。

 

しらみは夏に感染します。

どうしても、プールや遊んでいる時に直接虫が乗り移るので仕方がない面も有るのですが。

そして、潜伏期が数週間あるということで、

秋のこの季節に多く発生するように見えるのです。

 

治療ですが、まず、薬は効かないものと考えて、治療を行うべきです。

スミスリンシャンプーが治療の中心に成るかと思いますが、

耐性率は30%を超えているはずです。

1/3が効かないのと、薬だけに頼ると結果的に治療期間が長くなるので、

あまりお勧めはしていません。

大事なのはとにかく髪を切ること、短くすること。

以前にも記事にしましたが、物理的に虫卵を取る事が大事になるのです。

男の子であれば丸刈りにするだけでしらみの駆除が出来るのですから

是非検討してみてください。

女の子でも髪の毛を短くすることは大切です。

 

怪しいと思ったらまず皮膚科を受診しましょう。

しらみの話を聞いたらまず髪の毛を確認し、見慣れないものが髪の毛についていないか確認しましょう。

またわからない時には家族も一緒に皮膚科を受診しましょうね。

シラミの卵

 

あたまじらみの治し方

さて、最後は治療のお話をしていきましょう。

 

シラミの診断がされました。卵も見つけました。

では、どうするか?

スミスリンと言う薬が有ります。

でも、あくまでも薬は補助療法なのです。

 

なぜか?

最近薬の効かないシラミが増えているからなのです。

ですので、あまり頼りすぎても行けない。

では、どうするのか?

髪の毛を切ってしまいましょう。

極端に言えば、まるこめにすることでしらみは確実にいなくなるのです。

つまり、しらみの成虫は髪の毛の中に隠れます。

卵は髪の毛に植えつけます。

したがって、その髪の毛がなくなってしまえば、シラミの生活する場所も、産卵する場所もなくなってしまうのです。

これって、非常に合理的な治療だと思いません?

 

まあ、でも、外来では男の子はともかく女の子は丸坊主には出来ません。

次に行うことは髪の毛をかき分けかき分け、卵を探すことです。

卵を見つけたらその卵が付いている髪の毛をぱちりと根本から切り取ってください。

切った髪の毛はトイレットペーパーにくるんでトイレにポイしてください。

 

髪の毛についた卵は放置する先生もいますが、

私は取るべきと考えています。

それは、新しく植えつけた卵があるかどうかが治療効果の目安になるからです。

髪の毛についた卵を放置しておくと、それが新たに植え付けられたものか否かを判断できませんので、

治療の効果も判定できません。

なので、中に虫がいるかいないかわからなくても毎日卵が有るか確認し、

必要なら髪の毛を切ってあげたほうが良いでしょう。

 

髪の毛を切りたくない人は目の細かいクシを使って髪の毛を空いてあげてください。

もしもクシの歯に卵が引っかかったら髪の毛をゆっくりとひっぱり、卵を取り除いてください。

じつは、これは昔から有るクシの方が向いています。

最近のクシは目が荒いので、卵をうまく捕まえることが出来ないのです。

スミスリンシャンプーにもクシはついています。可愛くないですが。

 

薬は現在はスミスリンしかありません。

少し前までγBHCという物もありましたが、環境ホルモンに当たるということで

現在は使用が禁止されています。

ワセリンをベッタリと髪の毛につけ、シラミの成虫を呼吸不可能にする方法もあるようですが、

ベタベタしますしね・・・

 

こうしてみると、昔の人の生活にもある面では非常に合理的だという気もします。

子どもは丸坊主。

大人の女の人はクシで髪をすき、

大人の男の人はまげを結う時に沢山の油を使う。

実はこれは合理的なシラミ対策なのでしょう。

 

ボサボサ頭の浪人が頭をぼりぼり引っ掻いている時には

その頭にはシラミがきっと付いているのでしょう。

そのように考えると、時代劇を見るのもなんだか楽しくなってきますよね。

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あたまじらみの見つけ方

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アタマジラミの話を続けましょう。

 

アタマジラミを見つけるにはどうするか?

これはまず疑って頭を見るところから始まります。

かゆみはしらみはしばらく血を吸わないと出てきません。

これは、痒みの原因はシラミが血を吸う時に吐き出す唾液の成分に対するアレルギーだからです。

何度も言うように、かゆいのとシラミがいるのはイコールではありません。

シラミがいてもしばらくは痒くないですし、

逆に薬を塗っても同じく痒くなくなります。

 

さて、話がずれました。

シラミの見つけ方ですが、虫そのものは非常に見えにくいです。

たまに虫を捕まえて持ってくる豪の者もいますが・・・

見つけるのは卵です。

 

シラミの卵は半透明です。

正確には中に虫が言えれば茶色っぽく見えますが、

遠目には半透明から銀色にみえます。

また、キラキラして見えることも有ります。

場所は後頭部から側頭部に多いです。

前の方にはあまりいません。何故かはよくわかっていませんが。

 

もう少し近づいてみると、シラミの卵の特徴が見えてきます。

それは、髪の毛の片側にへばりついていることです。

なので、髪の毛と卵とのバランスが悪く見えます。

このことは他の原因と区別する上で非常に重要です。

紛らわしい物にフケとヘアーキャストがあります。

フケはそれこそ、吹けば飛ぶので区別はすぐに付きますが、

ヘアーキャストは吹いても飛びません。

そもそも、ヘアーキャストもフケの一種なのですが、

毛穴1周分のフケがひとかたまりになっているので、髪の毛を輪のように取り囲んでいるのです。

なので、吹いても飛ばないのです。

でも、シラミの卵は髪の毛の片側。ヘアーキャストは髪の毛全周なので、

区別出来るのです。

 

シラミの卵の見分け方の最後は、引っ張ってみることです。

フケもヘアーキャストも引っ張ると抜けてきます。

しかし、シラミの卵は髪の毛にこびりついているので、軽く引っ張ったくらいでは取れません。

なので、最後に引っ張ってみるのです。

 

肉眼であたりをつけたら、次に拡大鏡でチェックします。

虫眼鏡でも構いません。クリニックではダーモスコープを使っています。

すると、卵がしっかりと見えるのです。

本当に区別するときには顕微鏡で確認することも有ります。

 

これで、診断は終了。次はシラミの治療の話をしていきましょう。

最初の写真は何かって?シラミの卵はこんなふうに張り付いていますよという絵なのですが、

わかりにくい?・・・ごめん。

2013年 あたまじらみ始まりました

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台風が近くなると風が強くなりますね。

道路の看板が倒れないか心配な日が続きます。

 

今週に入り、今年はじめてのあたまじらみの患者さんが受診されました。

まあ、夏休みにもらって、痒くなるのに数週間かかりますので、そろそろかとは思っていましたが。

 

皆様、アタマジラミについてのイメージはどのようにお持ちでしょうか。

私が最初に思い出すのは歴史の教科書です。

敗戦直後の写真だと思いますが、

子どもが頭からDDTの粉をふりかけられている写真が最初に浮かんできます。

また、実は、小学校の頃にシラミの精密検査を受けるように言われたことも有りました。

その時は実家にて、父親に(父親の皮膚科医なんですよ)、髪の毛を見てもらい、

しらみではないと言われた記憶がなんとなくあります。

 

さて、実はこのイメージは間違っています。

昔はたしかにしらみは栄養が悪い子や不潔な子に起きるとされていました。

どうしても貧困とイメージが結びついているのはそのためかと思います。

でも、現在は違います。

普通の子が普通にあたましらみにかかるのです。

一説にはヨーロッパでは全児童の数%にも及ぶとか・・・

また、月に1回は頭のシラミをチェックする日があるとか・・・

 

多分日本はそこまで多くは無いと思いますが、多分数百人に一人くらいの割合で

患者さんは発生していると思われます。

で、原因はむしろスポーツや合宿でしょうね。

水泳はハイリスクと考えられます。

 

要は頭をくっつけていれば、シラミの虫が「ぴょん」と飛び移る。

ということです。

 

だから、シラミは誰にでも起こりうるものです。

シラミを理由にしていじめるなんて、もってのほかですよ。