わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

アザの話

水虫の薬でいちごが消える?

ネットのデータを漁っていたらこんな話はありました。

 

抗真菌剤つまり水虫の薬である、イトリコナゾールの投与でいちご状血管腫が改善する可能性が

あるとのことです。

 

いやいや、そんなと思いましたが、まあ、薬には思いも寄らない効果的なものがあるかもしれませんね。

なにせ高血圧の薬がいちご状血管腫に効果的な事がわかって、内服薬として一般的に使われるようになった世の中ですから。しかもここ10年の出来事ですから驚きはしませんが。

 

ただし、すぐに薬が登場するというわけではなさそうです。

あくまでも細胞レベルでの話であり、人間に投与した場合のお話ではありません。

ましてやいちご状血管腫の患者さんは0才児ですから、なおさら慎重に投与する必要があります。

また、その抗真菌剤自体も肝臓に影響を及ぼすことは往々にしてありますので、

軽々しく投与はできないのは当然のことです。

 

まあ、今すぐにということではありませんので、今後の進捗を見ていきたいところではありますね。

 

参考までに文献について記しておきます。

今後読み込んで見たいところですね。

J Invest Dermatol. 2019 Jul139(7):1574-1582. doi: 10.1016/j.jid.2018.12.028. Epub 2019 Jan 25. PMID: 30690033

アザの子は検診まで待ってよいのか?

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(アザにも色々ありまして・・・)

 

この質問、時々聞かれることがあります。

検診の時に相談すれば良いのか。ということですね。

 

結論から言いましょう。

極力早く連れてきてくださいね。

可能であればウチに来て欲しいところです。

 

周囲の先生との摩擦も有るのであまり強く主張することができませんが、

アザについては検診だけでは不十分な事が多いのです。

 

というのもいくつかの理由があります。

 

まずひとつは検診の先生のスキルの問題。

アザの診断自体は難しくないのですが、

治療法に着いての知識には先生毎に大きな差があります。

皮膚科で専門の先生と遜色ないレベルの先生もいれば、

数十年前のお話をまだしているのね。という先生もいます。

こればっかりはなんとも言えないのです。

あざの治療はレーザーの導入により大きく変わりましたが、

導入当初と近年ではその状況や副作用の出方も大きく変わっています。

そのために適応状況も変化しているのです。

検診の先生の知識のレベルがどの年代のものなのか?

それによりお話の内容が変わってしまう可能性があるのです。

 

もう一つは時間の問題。

検診ですから短い時間に多くの赤ちゃんを診察しなければいけません。

どうしてもアザを見つけてもそのお話は短時間で切り上げることになってしまいます。

したがって、十分な説明を受けられない可能性もあります。

疑問を持ってもそれを質問することができず、

もやもやしたまま帰ってしまう。

そして、治療のタイミングを逃してしまう。

というのも問題なんですね。

 

アザの症状が気になる場合は検診まで待たずに、

早めに皮膚科を受診し、どうすれば良いのか相談をしたほうが良いでしょう。

 

いちご状血管腫の内服治療が開始されました。

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少し前の話になりますが、いちご状血管腫に対する内服治療を行うことが出来るようになりました。

 

今まで何度かこのブログでも取り上げていますが、

プロプラノロールという本来は高血圧に使うべき薬がいちご状血管腫に効果があることが

数年前にたまたま発見されました。

まだ56年しか経過していませんが、とうとう正式に薬として処方できるようになったのです。

 

この使用可能になるまでの速さは画期的ですが、どうしても本来の薬の性質上

避けて通ることのできない問題がありました。

 

そうです、血圧の変化です。

血圧を下げる薬である以上仕方のない話では有るのですが、

これが問題になってしまい、一般のクリニックでは処方できない薬と

なってしまいました。

 

つまり大きな病院でスタッフが細かく監視が行える環境が必要になるので、

デイケアの様な一日滞在できる施設か、もう一つは入院と言う形になります。

 

そして、もう一つの問題は診療科の問題です。

いちご状血管腫の治療を行っていたのは皮膚科及び形成外科でした。

そこに小児科が関与してくる。

というわけで、病院の内部の体制を色々と替えていかなければなりません。

システムづくりにも時間かかりますからね。

 

というわけで、薬が採用になりましたが、その使用についてはまだまだ制約があるようです。

 

最後の問題はそのバタバタが外から見えないことですね。

紹介しようにもどこに紹介すれば良いのかわからないということになってしまいます。

誰にどのようなルートで紹介すれば良いのか?

外から見るとさっぱりわかりません。

どうしたもんでしょうかねえ。

となってしまいます。

 

なお、近隣の多摩地区から都区西半分についてはある程度の情報が手元にありますので、

もしも相談したい。内服してみたいと言う方は一度相談に来てくださいね。

内服という武器が増えた反面、使い分けも大きく変わる時期になっていますので、

なかなかややこしい事態になっていますが、極力ご希望に添えるように致します。

ネルソン小児科学 第19版の翻訳を担当しました

ネルソン小児科学 原著第19版

ネルソン小児科学 第19版

 

先日めでたく発売開始になった、ネルソン小児科学第19版の

一部翻訳を担当いたしました。

 

担当した部分は、小児皮膚科の領域の

血管腫、母斑の部分です。

 

そうです、実は私、血管腫や母斑といった、

「あざ」の専門家でもあるのです。

知ってた?

 

まあ、ブログではあまりアザの話をしていませんでしたからね。

というのも、受診する患者さんの中ではアザの患者さんはあまり多くはないこと、

治療も当院ではできず専門施設に紹介しなければいけないこと。

などから、あまりブログの記事にはしていませんでした。

 

丁度教科書も発売開始になったことですし、少しずつアザの話もしていきたいと思います。