わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

やけど

おうち花火のときは足元にも注意しましょう

今回は花火のお話です。

 

 

夏になると花火でやけどをした方が受診されます。

特徴的なのは部位が大きく2つに分かれること。

一つは手から指にかけて、もう一つは足です。

少なくとも後者はちょっとしたことで防げますよというお話です。

 

まず簡単に2つのでき方を考えましょう。

手や指のやけどは花火の火花が飛び散ったとか、ろうそくに触れたとか、

熱いものを掴んでしまったとかそういうものですね。

足のやけどは花火の火が足に飛び散ってしまったというのはほとんどです。

自分から触りに行くことが無いというのは足の特徴になります。

つまり受け身なんですよ。

 

自分で触りに行く指のやけどとは異なり、足のやけどについてはシンプルで有効な対処法があります。

それは布で覆うこと。

つまり、露出させないということですね。

花火の火というのは点で飛んで来ることがほとんどです。持っている熱量はそこまで大きくないのですが、

それが一点に集中するので、皮膚が熱に耐えられないのですね。

なので、まず皮膚の上に布で膜を貼ってあげればいいのです。

火がついてもまずその繊維を熱するのにエネルギーが使用されます。

また繊維が拡散しますので、逆に通過して皮膚に到達するリスクを下げることができます。

当然繊維は焼け焦げますが、皮膚が焼け焦げるよりは良いかと思うのです。

 

守り方もシンプルに、長ズボンを履くこと、靴下を履くこと、サンダルではなくスニーカーを履くこと。

です。これなら簡単にできてしっかりとやけどを予防できますよね。

 

楽しい花火の時間をやけどでつまらない思い出に変えたくはないですよね。

ちょっとしたコツでしっかりと予防できますので、対応してあげてくださいね。

やけどの初期治療に冷却ジェルシートは推奨しません

というお話です。

たまに使われている方がいるのですよ。

 

動画で確認したい方はこちら。

 

 

 

やけどで受診された方にはどのような初期対応をしていたのかを外来で確認しているのですが、

ほとんどの方は氷で冷やしているのです。しかし、冷却ジェルシートを目にしたりして…

 

まず大前提として冷却ジェルシートは皮膚のトラブルが有るところには使ってはいけません

メーカーにより記載は少し異なりますが、

ライオンの冷え◯タ

小林製薬の熱◯まシート

の記載事項です。

どちらのメーカーもやけどには使えませんと明記していますね。

ということでメーカーも非推奨だったりします。

 

あとは実際に使ったときにはどうなのかという問題があります。

それぞれ見ていきましょう。

比較対象は一般的な保冷剤、つまり氷です。

 

1)熱を取る力は強いのか?

まずは最も大事なこの点についてです。

そもそもやけどというのは熱により皮膚のタンパク質が変性し、

壊れてしまうために生じるわけですから、

どのくらいの熱量を取ることができるのかが大事になります。

でも…資料がない

冷却ジェルシート全般についての資料は見当たらないのです。

小林製薬はこのように書いていますが。

ただし、気をつけるべきは実際にそのようなデータの詳細です。

どのような使い方をしたのか、どのように測定したのか。

有効成分の入っていない冷却ジェルシートとの比較はどうだったのか。

こちらについての資料が一切見られません。

あとは氷と比較してどうなのか?も不明です。

同量の氷と比較してどうなのか?わからないとしか言えないのです。

つまり、冷却ジェルシートの温度低下作用が氷より高いとは言いにくいようですね。

なお、解熱作用についてもないとする報告があるようです。参考までに。

 

2)皮膚が一緒に剥がれてしまう可能性

ジェルシートというだけ有り、皮膚との接触部分にジェルがあり、

皮膚に密着するようになっています。

つまり剥がすときには一緒に皮膚を持って行ってしまう可能性があります。

特にやけどは症状は強くなると水ぶくれを作ります。

つまり、シートを剥がすときに水ぶくれを剥いてしまう可能性があるのですよね。

これは皮膚科医に取っては嬉しい状況では有りません。

やけどの水疱を剥がすことによるデメリットもあるからです。

・水疱のお水の中には傷を早く治す成分が入っている

・剥けた面が露出するのでこすれや痛みの刺激が強く出てしまう

・剥けた面に二次感染を起こす確率が出てくる

と良いことなしです。

氷を当てるだけの場合は上記のリスクは当然有りません。

 

3)成分にかぶれるリスク

冷却ジェルシートのジェルを作るには色々な成分を必要とします。

理論的にはその成分のどれに対してもアレルギーを起こし、かぶれるリスクはあります。

もちろんその可能性は高いものではないのですが、ここで注意したいのは

やけどの部位に使うということ。

皮膚に異常があるところにある物質を接触させたとき、

その成分に対してアレルギーを起こす確率は正常な皮膚に接触するよりも高くなる

ことがわかっているのです。

つまりやけどの皮膚に対しても同様のことが起こる可能性がある。

氷つまり水でかぶれる可能性はないので、これについては

冷却ジェルシートのみに存在するリスクとなります。

 

まとめましょう

1)熱を取る力

優劣不明だが氷のほうがよさそう(私見)

2)皮膚を剥がす可能性

冷却ジェルシートのみ

3)かぶれるリスク

冷却ジェルシートのみ

となります。

このように考えると、やけどの部分に対してあえて冷却ジェルシートを使う理由は

ないですよねえ…

 

 

 

炊飯器は床置きしないで

秋も深くなり、やけどで受診される患者さんが少し増えてきた印象があります。

そのやけどでときに受診する原因は炊飯器。

その上記でやけどする子が来るのです。

 

一般的に1歳から2歳位の男の子が多い印象にあります。

理由は好奇心。

炊飯器から蒸気が吹き出すのが面白く、また不思議で手をかざしてしまい

やけどができてしまうのです。

 

もう一つ、やけどができる原因があります。

炊飯器の位置です。

炊飯器を床においているのです。

 

だから、子供が蒸気に手をかざすことができてしまう。

そのためにやけどができてしまうのです。

 

まず炊飯器を子供の手の届かないところに置くことから

やけどの予防が始まるのです。

お気をつけください。

光と熱が分離する

不思議な事が起きているように見えました。

連続して白熱電球に触ってやけどをした子がきたんですね。

それも、それなりの年令になっている子どもたちです。

何でだろう。

といろいろと考えていました。

我が家の娘の行動も踏まえて考えていた時に、

思ったことが有るんです。

 

今の子たちはきっと、「光=熱」では無いんだろう。

と思ってしまったんですね。

 

古来、光とは熱でありました。

洞窟の中に住んでいた頃から、光を取るには熱が伴いました。

焚き火から始まり、灯籠やカンテラ、ろうそくなど、様々な明かりがありましたが、

それはいずれも火焔を伴うもの。つまり熱を伴うものでした。

少し前までの日本の家屋も同様に光=熱の図式が伴います。

しかし、第二次世界大戦後にその図式に変化が出てきました。

蛍光灯の登場です。

蛍光灯は、電子の流れと衝突からの放射光がその原理です。

この時、初めて熱=光の図式が崩れました。

でも、まだ蛍光灯は熱かったんですけどね。

 

そして、最新のLEDの登場です。

消費電力が蛍光灯よりも遥かに低いこの発光体は逆に言うと熱となるエネルギーも少ないということ。

したがって、消費エネルギーと発光体の温度が一気に変わりました。

エネルギー消費に比べて発光体の温度が特に低くなったのです。

流石に室内を照らすものでは温度がそれなりなりますが、白熱電球よりも遥かに低くなったのも事実です。

 

そして、その生活に慣れた日本の子どもたち。

そうなんです。明るいものは熱いものという刷り込みは徐々に薄れてきたんですね。

室内でLED、蛍光灯のみの環境に慣れた子達は、旅行先の白熱電球に物怖じせずに触ってしまう。

何ていうこともあるかもしれませんね。

 

世の中の変化に伴い、病気の内容も変化していくものなんです。

というお話でした。

 

男性の日焼け止め、胸にもしっかりと塗って下さい。

むう、ぬかったわぁ。

というわけではありませんが、週末に思いっきり日焼けをしてしまいました。

 

頭部は帽子でカバー。首も帽子から垂れる首覆いでカバーしました。

旧日本兵とバカにされましたが・・・

(Amazonで買えるのね・・・びっくりですが)

ちなみに購入したのはこっちです。

 

いやあ、しっかりと日焼けどめを塗っていたのですが、

胸元は盲点でした。

 

考えてみたら、世の中で出回っている日焼けどめを使うべき部位の絵ですが、

女性対応なんですね。

女性は胸元が大きく開く状態では外には出ませんものね。

 

というわけで、男性の方は胸までしっかりと日焼け止めを塗りましょうね。

 

グルーによるヤケドは治るのに時間がかかります

新年1回めの記事はヤケドについてです。

 

年末年始の飾り付け、最近のDIYブームに乗って、グルーガンという機器の名前を頻繁に耳にするようになりました。

・・・正式にはホットメルト接着剤なの?よくわかりませんが(Wiki

要するに接着剤や樹脂を温めて液状にして、加工しやすくしましょうね。

というお話のようですが、先日このグルーガンの使用に伴うヤケドの治療を経験しました。

まあ、いろいろあって治癒したのですが・・・

 

結論。

グルーガンの使用によるヤケドはなめたらアカン。

ワカメ並に気をつけろ。

ということですね。

 

え?え?ワカメ?と思ったかたも多いかと思いますが、

これは、ヤケドのメカニズムによるものです。

 

ヤケドとは、熱を原因とする皮膚の損傷です。

つまり、どのくらいの温度の物が、どれだけの時間、どこに付いたかで傷の深さ(=傷跡の出来やすさおよび治療にかかる時間でもあります)

が決まります。

 

ということは、

温度が高いものが

長時間

皮膚の薄いところに

付けば、それだけ治り難いヤケドになるのです。

 

そして、このグルーガンで使用しているグルーですが、一つの特徴があります。

それは粘性が高いということ。

これがまた厄介なものでして、液体の様に流れ落ちない。

そして、個体の様に振り払うことができない。

ということです。

結果的に皮膚に長時間付着することになり、

より、傷を深くしてしまうのです。

 

良く似たケースとして

味噌汁によるヤケドがあります。

このヤケドは具材によって、症状がちがうのです。

ちょうど具材が付いた部分だけ治りにくくなってしまうんですね。

お汁はすぐに流れ落ちてしまうのですが、具材がくっついている。

特に一番面倒なのはワカメ。

皮膚に張り付いてしまい、長時間皮膚に接触してしまいます。

結果としてヤケドは重症になってしまう。

というわけなんですね。

 

 

結論

グルーガンのヤケドは気を付けろ。

です。

湯たんぽによる低温やけどにご注意ください

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寒い日が続きます。

最近、手足の冷えが気になるようになってきました。

年でしょうか・・・

 

さて、歳が明けてから、一気に増えてきた印象があるのがやけどです。

特に低温熱傷。特に湯たんぽを原因とする低温熱傷です。

問診票で女性の下肢から足のやけどと記載された場合、かなりの確率で湯たんぽによるやけどでした。

 

なぜ増加しているのか、理由はよくわかりません。

昨年よりも当クリニックの認知度が上がっているからかもしれませんが、

実際に使っている人も増えているのかもしれません。

特に東日本大震災以降の節電意識といったものも関係しているのかもしれません。

 

さて、湯たんぽの注意点です。

湯たんぽには必ず布を巻き、テープや紐で固縛してください、

湯たんぽに付属している巻布が薄くて、やけどしたケースがありました

また、巻布の固定が悪く、布の端から湯たんぽ本体が顔を出して、

ヤケドになってしまった話を聞きました。

 

湯たんぽの使い方にも問題を感じる時がありました。

湯たんぽを最も使うべき時は、寝る前です。

寝る前に湯たんぽを用意しておき布団の中を予め暖かくしておく。

そして、湯たんぽは入ってからは外しておくことが大事です。

また、布団の中にずっと湯たんぽを入れておきたい人は、寝る前は湯たんぽに巻く布は薄く、

寝てからは厚く巻くようにしたほうがよいでしょう。

 

低温熱傷になった後は大変です。

水ぶくれになり、壊死になり、最終的に瘢痕になってしまうことが非常に多いのです。

ヤケドはそもそも受傷当日には深さはわかりません。

普通のヤケドでは、2,3日すれば深さはある程度読める。結果として治療期間や治癒後の状況もある程度読めるのですが、

特に低温熱傷では1週間してもはっきりとわからないことがあります。

一般的に深いヤケドになる低温熱傷では、治療にかかる期間も数週間以上になってしまうのです。

数ヶ月かかることもよくあります。

また、気をつけて欲しいのが糖尿病の方です。

特に感覚が鈍くなっている方ではヤケドが特に深くなってしまい、最終的に手足の切断に至る方もいるのです。

要注意ですね。

 

さて、治療についてですが、当院では密封療法を行っています。

密封療法とは、柔らかな樹脂で出来た創傷被覆材を皮膚に密着させ、ヤケドを治す治療法です。

一般の薬剤や軟膏とガーゼを使用する治療法に比べて、痛みも少なく、治療期間も短く済む治療法です。

ただ、場合によっては手術や皮膚移植も考えたほうが良い場合もあります。

皮膚科や外科、形成外科の先生に相談してみてくださいね。

 

「大」やけどの治し方

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やけどの話、最後は大やけどについてです。

前の話にも書きましたが、大やけどと小やけどの区別は難しい物があります。

今回は入院が必要なやけどのお話だと思って下さい。

 

全身の数十%を超える大きなやけどの治療はとても大変です。

なぜか?ここまで大きなやけどになると、皮膚だけではなく、全身の問題になってしまうからなのです。

 

大きなやけどを受傷した場合、全身はショック状態になります。

この状態になってしまうと、血管から皮膚の下に全身の水分が移行してしまいます。

そうすると困るのは腎臓です。腎臓に流れる血液が減ると腎臓がおかしくなってしまうので、

腎臓からでるおしっこの量で治療を決めていく必要があります。

つまり、おしっこが出てこないと血液の量が少なく、危険というわけです。

そのために一生懸命水分を外から与えなければ行けません。

同様にタンパク質も血管から逃げ出してしまうので、輸血を一杯しなければいけないのです。

 

さて、そうしているうちに腎臓からおしっこが出てきました。

今度は皮膚の下の水分が一気に血管に戻ってきてしまいます。

こうなるとおしっこ、つまり腎臓の問題は落ち着いてくるのですが、今度は心臓と肺の問題が出てきます。

肺の中に水が溜まってきてしまうと呼吸がうまくいかなくなってしまうのです。

かといって、水を外から与えないと、やけどの皮膚から水が漏れてしまうので、水分が足りなくなってしまいます。

こうして、体の水分が多すぎても少なすぎてもいけないという、綱渡りの状態が続いていきます。

 

数日立ってくると、今度はバイキンの問題が出てきます。

死んだ皮膚をエサとして、バイキンが増殖してきます。

そのバイキンはそのままにしておくと血液を通して全身に広がっていきます。

そうなると大変なことになりますから抗生剤を使わなければいけません。

でも、今度はその抗生剤に抵抗力のあるバイキンが増えてくるので、抗生剤の種類を替えて・・・

とイタチごっこが始まります。

やけどから数日たったあとに急に調子が悪くなる場合があるのは、主にこのバイキンの問題が有るのです。

 

また、この頃からは皮膚の問題が出てきます。

多くは深い部分までやけどを追っていますので、その部分の皮膚はなくなります。

そうすると、他の場所から皮膚を持ってきて、移植してあげる必要があります。

同時に死んだ皮膚も取り除かないと、皮膚の移植は上手に進みません。

この手術も大変なものです。またそのためには麻酔をしなければいけませんが、

その麻酔の影響も当然考えなければいけません。

また、大量に出血しますので(皮膚を削り取るので仕方が無いのですが)

輸血も大量にする必要があります。

 

したがって、治療を続けるに当たり、元々の本人の体力も非常に重要なものとなります。

また、栄養失調になると、傷の治りにも影響するので、食事や栄養管理も大事になります。

 

大きなやけどの治療をするためにはこのようなポイントに気をつけながら、進めていく必要があるのです。

やけどのニュースを目にするたびに、本人と医療スタッフのがんばりに想いをはせるのです。

「子」やけどの治し方

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さて、今度は「子」やけどの治し方についてです。

・・・え、「小」の間違いでしょ?いえいえ、それは前回お話をしたので、

今回は子どものやけどについてお話をしたいと思います。

 

子どものやけどと大人のやけどそのものには大きな違いはありません。

でも、子どもには独特なところがあります。

 

まず、こちらのいうことを聞いてくれないこと。

親御さんはいうことを聞いてくれるのですが、肝心の本人は

やけどのそんざいなど、どこ吹く風です。

したがって、どんな生活習慣にも耐えられる治療法を選ぶ必要があります。

また、痛みには我慢できないので、処置中、自宅では極力痛みを伴わない治療を選ぶ必要があります。

逆に子どもであることが有利に働くこともあります。

やけどの傷が早く治ることです。

若いって、いいねぇ・・・と思いながら治療していますよ。

 

さて、痛くない治療法ですが、来れば断然シートの方が良いです。

昔ながらのガーゼと塗り薬だと、ガーゼが傷口にガッチリとくっついてしまい、

剥がす時に痛くなってしまいます。

シートを剥がすほうが痛みは少ないのです。

また、交換の頻度はシートの方が少なくて住みますし、

周りに「つゆ」(浸出液といいます)が漏れることも少ないです。

当然ニオイも少ないです。

 

子どもがやけどになった時には

ぜひ近くのシート治療(閉鎖療法、密封療法、湿潤療法などともいいます)を行っている

医療機関を探してみてくださいね。

もちろん、当院でも治療を行っていますよ。

「小」やけどの治し方

 

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さて、今回は小さなやけどの治し方についてお話をしたいと思います。

「小さな」「大きな」というのはやけどに関してはあくまでも便宜上の区別です。

しかし、体表面積の10%を超えると、場合によっては入院が必要となることもありますので、

治療の方向性が大きく変わることもあります。

今回は、クリニックに通院して治療することができる、それ以下の面積のやけどの話をしたいと思います。

 

さて、やけどとは一体何でしょうか。

体の中ではなにが起きているのでしょうか。

 

やけどは人体に熱を加えると発生します。

温度は50度以上なら起きると言われています。子どもはもっと小さい温度でも起きることがあります。

やけどの正体は熱により皮膚のタンパク質が壊されること。

それにより、皮膚の機能が果たせなくなることが問題なのです。

よく、やけどのあと、水ぶくれになることがありますが、これはあくまでも表面に見える症状です。

その周囲には役目を果たすことの出来ない皮膚が広がっている可能性があります。

また、その影響は時間が立ってから初めて見えることもあるので、油断できません。

一般に数日経過して初めて皮膚の影響がはっきりわかるのです。

(低温熱傷は例外。もっと外まで影響が広がっていることがあります)

 

皮膚に影響した熱の強さにより、皮膚の変化は様々に変わっていきます。

弱い時にはただ赤くなる。そして、ヒリヒリします。

更に強くなった時には水ぶくれになり、

更に強い時にはその部分が焼けたり、こげたりして死んでしまいます。

痛みはあったりなかったり。

でも、実は痛みが無い方が症状は悪いのです。

なぜなら痛みを感じる神経が死んでしまうために痛みすら感じなくなるのです。

なので、痛みが無いときには要注意です。

 

治療ですが、また症状によって変わります。

皮膚が赤くなった時には細胞はまだ生き残っているので、

炎症をステロイドで抑えることで落ち着くこともあります。

 

逆に皮膚の表面が死んでしまった場合はその死んだ皮膚を剥がして、

新しい皮膚を生やして上げる必要があります。

必要があれば皮膚を移植する手術も行うかもしれません。

 

一番、治療の選択にバリエーションが有るのは水ぶくれが見られるときです。

水ぶくれを剥がすべきか残すべきか。

薬を使うか、シートで覆うか。

これは人によりかなり方針が異なります。

当院では破れていない水ぶくれはそのままにし、

上からシートで覆うような治療法を行っています。

これは、水ぶくれの中にはバイキンがいないということ。

中の水には傷を早く治す成分が沢山入っていること。

という事実を基に選択する治療法です。

もちろん、薬が早いと思えば薬を使うこともありますが、大部分は

シートを使います。

あと、シートの利点はもう一つ。

痛みやひりひり感はシートを使ったほうが痛くないのです。

 

なので、当院では8割以上の患者さんにシートを使っています。

軟膏とシートの併用も含めるとほとんどすべての患者さんにシートを使った治療を行っています。

(なお、このシートを使った治療は閉鎖療法や密封療法,湿潤療法と呼ばれています。)