今週に入ってから毛虫が原因とかんがえられる湿疹が増加して来ました。
庭仕事をしたその日から翌日にかけて、強いかゆみを伴う湿疹がでてきた場合、
原因は毛虫であることが多いです。
放っておいても落ち着くまで時間がかかりますので、
早めに受診して下さい。
毛虫の詳しい話についてはまた今度。
今回は注意喚起のご報告です。
TEL050-3355-9592
〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F
3回続いた耳切れの話ですが、最後は成人編です。
大人の方でも耳切れに悩んでいる方は沢山います。
その方の診察をしていると、ひとつの共通点が浮かび上がってきます。
それは、洗っていないこと。
特に若い女性と中年以降の男性に多いのですが、
それぞれ洗わない理由には違いがあるようです。
若い女性の場合は、耳を洗うのが怖いこと。
中年以降の男性の場合は、耳を洗い忘れていること。
です。
特に男性の場合、皮脂の分泌がとても強いです。
そのため皮脂によって耳が赤くなり、耳切れもできてしまうのです。
いわゆる脂漏性湿疹が原因となり、耳切れが起こります。
また、洗わなければ皮脂や汚れが耳についてしまい、湿疹になります。
いわゆる、接触皮膚炎。かぶれた状態です。
今出ている症状を抑えるためにはステロイドをしっかりと塗ることが必要ですが、
今の症状を抑えるだけではすぐにぶり返してしまいます。
予防のためにはしっかりと洗うことが大事です。
石けんの泡をしっかりと付けてしっかりと洗い、しっかりと流すこと。
これを毎日きちんと行うだけで少なくともぶり返しにくくなります。
また、以前の記事に書いたとおり、顔や頭の湿疹が気になる方は
朝のシャワーもためしてみるといいかと思います。
ちょっとした毎日の生活習慣で症状を抑えることが可能です。
ぜひお試し下さい。
耳が赤くなり、じくじくする。いわゆる耳切れですが、
この症状を訴えるかたは沢山います。
しかし、この耳切れも、小さなことの積み重ねで抑えることができることを知っていましたか?
注:今回のお話の「耳」は外耳道は含んでいません。
赤ちゃんの耳切れ、多いですよね。
町を歩いていても赤ちゃんの耳が切れている子を見ることがあります。
それだけ出ている子が多いのでしょう。
また、アトピー性皮膚炎の症状の一つとして耳切れをあげる人もいるため、
不安になって話を聞きに来る人もたくさんいます。
果たして、耳切れ=アトピー性皮膚炎でしょうか?
私はその考え方に反対です。
理由は、簡単に症状を抑えることができるからです。
もちろん薬を使わずにですよ。
診察室に来る子で耳切れを見るのは早くて生後4週間から。
1歳くらいまではすべての年齢の子で見ることがあります。
ただ、その子達に共通する特徴があります。
ほっぺたもベトベトしていること、眉間がザラザラ、ベトベトしていることです。
赤みがある子や引っ掻いている子もいます。
なぜ、耳とほっぺたと眉間に同じような症状が出来るのか?
原因は同じだからです。
つまり、この3つの症状は「かぶれ」により起きたものとだと考えます。
では、何に大してかぶれたのか?これは汗、よだれ、涙、皮脂です。
耳は皆さんが考えているに汚れています。
例えば横を向いている時に泣いたら、高い確率で涙が耳に流れます。
よだれも同様です。
また、特に生後3ヶ月までは皮脂の分泌が多く、特に耳の皮脂の分泌はより多くなります。
そのため、耳は皮脂のベタベタと、涙や汗のベタベタが混在した状態になるのです。
その色々なまざりものに対してかぶれてしまい、耳は赤くなり、耳切れが生じるのです。
では、どうしたら良いのか?
かぶれの治療の原則はその原因を減らすこと。
かぶれの症状の強さは刺激の強さ×刺激の持続時間で決まります。
ですから、一つは刺激を弱くすること。
これは保湿をしっかりと行うことです。
また、過去から積み重なった刺激となるものを除去する必要があるのです。
つまり、石けんをしっかりと使って洗うことなのです。
石けんの量はそれぞれの耳をおおうようにポンプ1回分。
(余談ですが、赤ちゃんの石けんは泡で出るポンプ式液体石けんをおすすめします)
その泡が耳を覆うように載せます。
ついで泡を使って耳の表面をしっかりと洗います。耳の後ろも同様に荒れることが多いので、洗いましょう。
最後にシャワーで石けんの泡をきれいに洗い流します。
また、シャワーができない状況でも、汚れていると思った時には洗面所に連れて行って
流水で洗い流して下さい。
と、ここまで話すとほぼ全員に聞かれるのが、「耳の穴に水が入るのが心配」ということです。
これについてはお風呂場から出た後に、綿棒で耳の中を掃除して水をとってあげればそれで十分です。
赤ちゃんは生まれた時にすでに鼓膜は出来上がっています。
中耳炎でチューブを入れている子以外は外耳から入った水が耳の中に入ることはありません。
また、耳の中に入った石けんで湿疹になることもほとんどありません。
少なくとも石けんを使わない子が耳切れになるよりも確率は低いです。
もちろん、湿疹が強ければ、ステロイドの塗り薬を使って症状を抑えることもあります。
しかし、湿疹の原因が刺激によるかぶれである以上、それを予防しなければすぐに
ぶり返してしまうのです。
症状を抑えることも大事ですが、症状が出ないようにしっかりと予防することも大事。
しっかりと石けんをつけて洗うだけで症状が抑えられるのなら、そのほうがいいと
思うんですけどね。
もしも、詳しい話を聞きたいという方は一度受診してみてください。
よく、「食物アレルギーの最初の症状は皮膚に現れる」とされますが、
一部は本当で、一部は誤解もあるようです。
食物アレルギーの皮膚症状は多くは蕁麻疹という形で現れます。
湿疹の出現、悪化という形で出ることもありますが、
頻度としては、蕁麻疹よりも明らかに少ない印象があります。
また、顔の湿疹と食物アレルギーの関連についてはあてにならない印象です。
食物アレルギーと皮膚の関係性については、大雑把に言うと、
1)アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)に接触すると悪くなる。
2)除去すると良くなる。
の2つを確認しない限り、関係性があるとは言えないのです。
まず、最初の症状の蕁麻疹ですが、これはアレルゲン摂取したらすぐに始まります。
場所はまず唇、ほほ、あごからはじまり、顔面全体、頸部に広がっていきます。
更に時間がたつと全身に蕁麻疹が出ることがあります。
これはアレルゲンが最初に口の粘膜に接触し、アレルギーの症状を引き起こすからです。
これに対して、湿疹の反応は数時間を経過してからのことが多いです。
原因はアレルゲン自体の場合もありますし、
全身の免疫・アレルギー反応が強くなり、結果としてもとから存在している湿疹が悪化した
と考えられることがあります。
このことから分かる通り、時間が経過しているので、直接的な因果関係がわかりにくいこと。
また、再現性が少ないこと。
から、湿疹と食物アレルギーを明確に区別するのが大変になってしまいます。
診察をしていても、塗り薬やスキンケアをきちんとしているのに症状が落ち着かないことから
食物アレルギーを疑うという流れになります。
そのため、食物アレルギーを診断するまで数週間はかかってしまいます。
しかし、顔の湿疹と食物アレルギーはあまり関係なさそうです。
その理由は顔の湿疹の子があまりにも多いからです。
心配される方は、顔の湿疹が治らない⇒食物アレルギー
と考えるようですが、顔の湿疹が治らない理由は他にもたくさんあります。
まず、その他の原因をすべてなくして、湿疹そのものを落ち着けないと、
食物アレルギーの有無を見極めることはできません。
まず、しっかりとしたスキンケアをし、塗り薬で湿疹を落ち着ける。
その後、症状の変化と食事の関係を考える
という手順を取らねば、食物アレルギーか否かの判断はできないのです。
水いぼの診察をしていると、タイトルの通りの質問を受けることがあります。
実は決まった回答はありません。
生命に危険がないこと、自然に治癒する病気であることから、逆に方針を決めにくいのです。
そのために、それぞれの子に合わせて方針を決める必要があります。
では、家で水いぼを見つけた時に、どうすればよいか。
皮膚科医の目からみた、方針の決め方について説明したいと思います。
1)悪化しやすいか、悪化することで困ることがあるかを考える。
・アトピー性皮膚炎がある。または乾燥肌がある。もしくは免疫異常を伴う病気を持っている。(悪性腫瘍含む)
・ステロイドの塗り薬・飲み薬その他免疫抑制剤で治療をしている。
・兄弟や家族に病気があるため、もしくは薬を飲んでいるためにうつってほしくない。
という場合には積極的に取らないと、一気に増えてしまい、大変になってしまいます。
・学校や習い事、課外授業などに参加する際、水いぼがあると参加できない。それが困る。
という場合も取らなければいけませんよね。
・友達などに移った時に、人間関係で問題になることが心配
という場合も、取る方向で考えてみてもいいかと思います。
2)次に情報収集です。
・習い事、学校に、水いぼがある場合に何か不都合になることがないか確認する。
・小児科あるいは皮膚科を調べ、水いぼに対する治療方針を確認する。
この2つを確認する必要があります。
上の項目は1)のとおり、ダメな事があり、それで困るなら取るしか無いでしょう。
下の項目は以外に忘れてしまいます。
取らなければいけない事情があるのに、医師が取らない方針だった・・・では困ってしまいます。
一般に小児科は取らず、皮膚科は取ることが多いですが、その原則に合わない先生もいますので、確認したほうが良いでしょう。
3)水いぼを取る
取ることに方針を決めたら、あとは取るだけです。(放置するなた病院に行く理由はあまりないですしね。)
取るときには短期間のうちに一気にとってしまいましょう。特に最初が肝心です。
水いぼはウイルス感染症です。増えるときには加速度的に増えますので、
取るときも一気に取る必要があります。
数が減ってきたら一安心ですが、目に見えない小さな水いぼが残っていますので、
その後も要注意です。
最後の方になると、1個出てきたらすぐに取りに行く位がちょうど良いです。
治療終了の基準はありませんが、1ヶ月、1個も出て来なかったら終わりでしょうと考えています。
今までの経験では、初回水いぼの話をして、
取る人は7割、
取らない人は3割(2割は取りたくない人、1割は治りかけで、取る必要は無いと判断したひと)
と行ったところでしょうか。
また、取リたくないと言った2割の半数程度は最終的には取ることになりました。
参考まで。
5月も中頃を過ぎ、暑く感じる日も増えて来ました。
気温と足並みを揃えるように、水虫の患者さんが少しずつ受診するようになりました。
ゴールデンウイークのお出かけの影響もあるのでしょう。
水虫、よく見られるのは、赤いブツブツがあり、一部に皮膚が剥けたようみ見える部分があり、
とてもかゆいというのが相場でしょうか。
しかし、その症状がなくても水虫のことがあります。
赤くないから水虫ではない。痒くないから水虫ではない。
わけではありません。
水虫が痒いのは、自分の体が水虫を攻撃しているからです。
同時に赤くなったり、水ぶくれができるのも同じ理由。
厳密にはあの赤みは、水虫菌に対する「かぶれ」なのです。
ですから、糖尿病など、免疫が落ちる病気の方の水虫は痒くはありません。
また、長期にわたり水虫になっていると、反応が徐々に弱くなってしまい、
痒みが出てこないのです。
では、長期の水虫はどのようにして封じ込めるのか?
これは足の裏が厚くなることで封じ込めています。
つまり、痒みがなくなってきた→水虫が治ったわけではないのです。
「水虫」を心配して皮膚科を受診した患者さんの中で本当に水虫菌がいるのは、
その半分しかいないという報告もあります。
心配な方は一度皮膚科を受診してみて下さい。
あれは、医者になってから2年目の事だったと思います。
ゴールデンウイークが終わった後、医局人事の都合で何回か地方の病院に行くことになりました。
その病院は地域の中心の病院で沢山の患者さんが来ると脅かされ、ビクビクしながら行ったのですが、
外来はガラガラ。のんびりと診察が出来ました。
診察終了後、その土地名物の肉そばを食べながら、看護師さんにその話をすると、
笑われ、理由を教えてくれました。
その時期はさくらんぼの収穫時期だったのです。
聞くと、さくらんぼの収穫時期はてんやわんやです。
普段はのんびりしているおじいちゃんやおばあちゃん、小さな子どもまで狩りだされ、
収穫、梱包、出荷と夜が明ける前から深夜まで、大忙しなのです。
当然、大きな病院にのんびりと受信している余裕はなく、病院側は閑古鳥が鳴く事になるのです。
なんでも、癌の手術ですら延期されることもあるとか。
逆に、その季節が終わると帯状疱疹の患者さんが増えるのです。
先のエントリーの通り、気が抜けてしまうのでしょう。
それを病院のスタッフは「さくらんぼ帯状疱疹」
と呼んでいました。
病は気からとはよく言ったものです。
帯状疱疹。
名前は良く知っているかと思います。
一説によるとお岩さんも帯状疱疹にかかっていたのだとか………
帯状疱疹の原因はみずぼうそうのウイルスです。
このウイルスは、水痘を引き起こした後、その人の神経の中に潜んでおり、
その人の体調が悪くなった時に再度、帯状疱疹という形で現れます。
したがって、季節との関係は無いはずですが、なぜか今の時期によく見かけるような気がします。
先に説明のとおり、帯状疱疹はその人の体調が悪いと出てきます。
今は、5月のしかもゴールデンウイークが終わった後です。
きっと、4月に環境が変わった方も多く、気が抜けてくるのでしょう。
5月病という言葉もありますしね。
あるいは、ゴールデンウイークにおもいっきり遊んだ後に
気が抜けるのでしょうか?
以前の病院に務めていた時にも、
新しく入った研修医や看護師さんがこの時期に帯状疱疹になっていました。
皆様、お気をつけ下さいませ。
なんとなく、ぴりりとした翌日以降に赤いぶつぶつが出てきたら、
それは帯状疱疹かもしれませんね。
早めに受診ください。
たまには真面目に論文の話でもしましょうか。今回はイボのお話です。
タイトルは
Warts Transmitted in Families and Schools:A Prospective Cohort
です。雑誌は(小児科の専門雑誌ですよ)
PEDIATRICS2013;131;928
です。
ここで英語の時間です。
Wartは世間一般で使われる用語で「イボ」です。水いぼはWater Wartです。水の付き方は日本と一緒ですね。
Prospective Cohortとは研究の方法です。
ある集団をいちからずっと観察し続ける、非常に手間のかかる方法です。逆に信頼性は高い研究方法です。
この論文ではオランダの3つの小学校を1年から1年半観察し、イボ保有率と、その悪化原因を観察しています。
対象者数は約1000人です。
さて、結果ですが、
イボの保有率は約30%です。結構高いですねえ。
この論文では、色々な因子により、イボの保有率がどのように変わるのかを観察しています。
ざらっと紹介しますと、イボにあらたにかかる可能性は、
男の子では1.1倍(95%の可能性で0.8-1.3倍←人数があまり多くないので、95%の可能性でこの範囲内に入るということを意味します)
白人では1.9倍(1.4-2.7倍)
過去にイボにかかっていると1.5倍(1.2-1.9倍)
となっています。
なぜ白人のみがこんなに可能性が高いのでしょうか?
遺伝?生活習慣?謎です。
さて、生活習慣とイボのかかりやすさですが、
個人との親密度から幾つかグループに分けてみると、
<家族>
家族にイボ持ちがいると2.1倍(1.5-2.9倍)
<教室>
そのクラスのイボ保有率が40%を超えていると1.5倍(1.2-1.9倍)
→イボ保有率が10%増えることに1.2倍(1.1-1.3倍)
親友がイボ保有者だと0.9倍(0.7-1.2倍)←その子は本当に親友ですか そんなことは言っちゃ行けません。
<社会・公共>
公共のプールを使っていると1.4倍(1.0-2.0倍)
裸足のスポーツをしていると1.1倍(0.9-1.6倍)
公共のシャワーを使っていると1.0倍(0.7-1.4倍)
となります。
当然密接に関係する人間のイボ保有率がダイレクトに影響しているわけですね。
しかし、プールであまり上がらないというのも正直意外でした。
最も、プールに入っている時間や期間については詳しい調査がされていないので、
その部分がはっきりしないと関連性も言えないとおもいますが。
ただし、ここからわかることは
家族にイボがいると移りやすい
ということでしょう。当然といえば、当然ですが、家族に移さないこともしっかり考えないといけませんね。
最後に、私が簡単にまとめた図です。
確かに、接触の強さとリスクが揃っていますね。
朝シャン、懐かしい言葉です。最近は聞かないですね。
調べてみるとバブル期の言葉です。
そういえば、日本で再び「ティモテ」を販売するようですね。
あのCMソングを聞くと懐かしく思う人もいるかもしれません。
私はいつも言っているのですが、夏こそ、成人男性は朝シャンをするべきと
考えています。
男性は皮脂分泌量が多く、また、汗も大量にかきます。
その皮脂や汗を皮膚表面に存在している細菌やカビが食べて、それを代謝し、
結果として起きるものが脂漏性湿疹やワキガとなるのです。
また、アセモにつおても同様のことが言われています。
また、汗や皮脂そのものにも種々の化学物質が存在し、それが嫌な匂いの元となります。
細菌や真菌がその原因となるので、それを薬で叩いてしまえば、
脂漏性湿疹やワキガ、アセモや匂いは良くなるのですが、あまりスマートな対応ではありませんよね。
むしろ、朝に一度シャワーをすることによりそれらの症状が匂いを抑えたほうが良いでしょう。
(石けんは頭部、顔面、ワキ、股間部などに使うだけで構いません)
実際に自分でも朝にシャワーをすると、その日1日さっぱりとした気分で過ごせます。
また、特別な石けんを使うことで、小鼻の赤みもなくなりました。
(この石けんには脂漏性湿疹の原因となるカビを抑える成分が入っています)
暖かくなってきた時こそ、いかがでしょうか。