わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

接触皮膚炎

赤ちゃんの顔の湿疹をそのままにしてはいけないという話

最近、食物アレルギーの原因についての話が変わってきています。

 

今までは食物アレルギーはアレルゲンがお腹の中に入って症状は起きるというものでした。

発生するのも口を通してアレルゲンは入るからとされています。

 

しかし、最近では食物アレルギー発生の原因はむしろ皮膚にあるのでは無いかというお話が出てきました。

具体的にはほっぺたの湿疹から食品のアレルゲンが入り、アレルギー反応をきたしてしまうということなのです。

最初にくっつくのは食材でもいいですし、お母さんのミルクに含まれている成分かもしれません。

また湿疹があるのはほっぺたかも知れませんし、指かもしれません。

しかし、大事なのは皮膚からアレルゲンがが入り食物アレルギーを誘発する可能性があるということです。

 

実際のところ診察室でははっきりしたことはわかりません

でも、これだけは言えるでしょう。

赤ちゃんのほっぺたの湿疹やガサガサ、乾燥は放置してはいけない。

ということなのでしょう。

 

赤ちゃんのほっぺたの湿疹やガサガサが心配であれば、一度皮膚科に相談してみてください。

もちろん、当クリニックでも診察していますよ。

また、もしも興味がありましたら勉強会にも参加してみてくださいね。

茶のしずく石鹸による小麦アレルギー発生事故の経過のお話2014

今回のお話もその勉強会でのものです。

茶のしずく石鹸により、小麦アレルギーが誘発されてしまうという事故

2010年頃から発生し、翌2011年には茶のしずく石鹸の全面回収という結果に至りました。

 

現在マスコミなどの報道はもっぱら集団訴訟とその展開が中心となっていますが、

アレルギーの診察をする人間としてはその患者さん達についてのまとまった情報を知りたいと思っていました。

今回、医療者側で中心となって調査を行っていた、藤田保健衛生大学皮膚科の松永教授の講演がありましたので、

簡単にまとめてみたいと思います。

 

なお、本項目は筆者のメモを中心にまとめたものであり、公式見解ではありません。

誤記や勘違いによるデータの間違いが含まれる可能性があります。

正確な情報を知りたい方は正式な文献や研究者に確認を取るようにしてください。

なお、この問題については近い将来にまとめたものについて一般のかたを対象にした発表の機会があるかもしれない

とのことでした。

 

最初の患者さんの人数についてです。

今年の冬の時点で患者さんの数は約2000人強。全国に存在します。

多くは成人の女性が中心です。女性の発生が95%以上を占めるとのことです。

しかし、子どもの患者さんも数十名おり、子どもでは男女差が無いとのことでした。

まあ、普通男性は石鹸をわざわざ取り寄せることなどありませんからね。自らを省みてもそう思います。

子どもに関してはお母さんがきっと使ってあげたのでしょう。

まあ、普通子どもは石鹸をわざわざ(以下略)

 

なお、石鹸の販売数は4000万個以上、使用者はメーカーが把握しているだけで400万人以上いるとのことです。

成人女性の10人に1名が使用していると考えてもいいでしょう。

しかし、アレルギー症状が発生したのは使用者2800名に1名程度とのことでした。

大体1万分の4くらいの確率でしょうか。

・・・わかりにくいですね。サイコロを5回振った時に全部1の目が出来る確率よりも少し低いくらいです。

 

ただし、アトピー性皮膚炎では明らかにアレルギー症状が出やすいことがわかっているようです。

 

これはなぜか?

アレルギーの反応が最初に皮膚で起きたと考えられるからです。

石鹸ですから、毎日毎日顔の皮膚に接触します。

もともと顔面あ皮膚が薄いためにアレルゲンの吸収は体に比べて起こりやすいのです。

また、石鹸の界面活性剤で皮脂の減少が起き、皮膚のバリアが傷害される。

アトピー性皮膚炎のように湿疹になっている皮膚からはよりアレルゲンが入りやすくなる。

また、瞼の粘膜は皮膚よりもアレルゲンの吸収が良い。

ということで最初の症状は目のむくみで始まり、ついで顔の皮膚のトラブルとなっていったと考えられます。

 

次になぜ全身に症状が進展するようになったのかのお話です。

今回の茶のしずく石鹸のアレルゲンはグルパール19Sと呼ばれる蛋白質でした。

これは小麦を加水分解する事により出現する蛋白質ですが、

逆に言えば、小麦の中にも必ず含まれていることになります。

このグルパール19Sを顔から吸収し、アレルゲンと認識してしまうと、

お腹から入ってきた小麦に対してアレルギー反応を起こしてしまい、

腹痛や下痢などの腹部症状、ひいてはアナフィラキシーショックを起こしてしまうのです。

 

少し話が長くなったので診断、治療の話は次にしましょうか。

花粉症の時の目の周りのかゆみと湿疹対策

さて、今回も花粉症と皮膚の話をしていきましょう。

前回は鼻の話をしたので、今回は目の話です。

 

花粉症で目の周りの皮膚に湿疹を作る方も多くいますが、その原因はいくつかに分けることができます。

それに応じて治療法も考えていきましょう。

 

まず、最も多いものは結膜炎による皮膚のかゆみです。

結膜とはそもそも瞼の裏側に位置しています。

したがって、瞼の表側にも同様の炎症が起きることもよくあります。

そのために痒くなってしまうのです。

 

また、花粉症そのもので痒くなることもあります。

花粉皮膚炎と呼ばれることもありますが、花粉そのもので負けてしまい、皮膚が赤くなってしまいます。

 

もうひとつ忘れては行けないのが、擦る事による湿疹です。

前項でもお話しましたが、擦ることにより湿疹が悪化することはよくあるのです。

目が痒いので目の周りを擦ってしまう。

そのために湿疹ができてしまう。そして、目が痒くなる。

そんな悪循環を作ってしまうことにも注意が必要です。

 

この3つが花粉症に伴う瞼の湿疹の原因となります。

したがって、対策もそれぞれ考える必要があります。

 

まず結膜炎の影響。

これは結膜炎を何とかする必要があります。

目薬や飲み薬で瞼の湿疹を抑えることができるのです。

間接的ですけどね。

ついで花粉皮膚炎。

こちらはこまめに洗顔を行い、花粉そのものを落として上げる必要があります。

最後に擦れによる湿疹。

こちらも前項と同じ。保護と、湿疹対策ということになります。

 

湿疹対策にはステロイドの塗り薬がよく効きます。

しかし、ここにも気をつけるポイントが幾つかあります。

 

このお話は次回進めていきましょうか。

 

鼻をかみすぎた時のヒリヒリ対策をどうするか?

花粉症の時期になってきました。

けっこう辛いんですよね。外出が億劫になってしまうのも困りモノです。

せっかく暖かくなってきたのに・・・

 

ということで、今回は花粉症にともなう皮膚症状のお話をしていきたいと思います。

特に鼻の下のひりひりについてお話を進めていきましょう。

 

この鼻の下がヒリヒリした状態ですが、特に鼻をかみすぎると起きるのはご承知のことかと思います。

別に花粉症だけでなく、風邪を引いた時も同じですよね。

では、このヒリヒリした状態ですが、その皮膚には一体何が起きているのでしょうか。

 

専門的にはこのヒリヒリは「擦過性湿疹」の状態とかんがえることができます。

つまり、こすり過ぎることにより、湿疹が起きてしまうということです。

皮膚は一般に想像されているよりも弱いものです。

たまたま、症状としてはっきりと現れないので、見逃されているのです。

 

このヒリヒリした皮膚を取ってみて顕微鏡で観察すると湿疹の状態になっているでしょう。

(こんなことをした人はいないのではっきりとしたことは言えませんが・・・)

 

とすると、治療法も湿疹に対するものと同じになります。

 

まず、症状を抑えること。

これにはステロイドの塗り薬が有効です。

1回塗るだけでも劇的に楽になりますよー。

 

しかし、それよりも大切なのは予防です。

まず、鼻をかむモノの素材に拘ってみてください。

ティッシュよりはローションティッシュのほうが皮膚にはやさしいです。

本当はタオルで鼻をかめると良いのですが、これは難しいでしょう。

 

もう一つの予防策は保護すること。

皮膚の表面に軟膏の膜を作れば皮膚表面の刺激は弱くなりますからね。

市販のもので構いません。保湿剤を少し厚めに塗ること。

これだけでも、ずいぶん症状を抑えることができます。

そして、可能であれば鼻をかんだらすぐに保湿してください。

 

鼻の下のヒリヒリは予防である程度抑えこむことが可能です。

一手間増えてしまいますが、頑張ってやってみてくださいね。

 

 

追記

この鼻の下のヒリヒリですが、赤ちゃんについても言えるのです。

赤ちゃんのお肌は丁度大人の鼻の下の皮膚と同じような状況です。

つまり、大人が、「鼻の下ヒリヒリ」な行為と同じことを赤ちゃんにすれば・・・

赤ちゃんの肌も「鼻の下ヒリヒリ」になってしまうのです。

外来では、赤ちゃんにティッシュ使うなー。とか、ガーゼ使うなー。

なんてお話をしているのはそういうわけなのです。

大人が鼻をかんだ時にヒリヒリするようなことは

赤ちゃんにはしない。

というのも大事なことです。

花粉症と花粉かぶれ

花粉症の季節が始まりました。

毎日花粉情報を確認していますが、東京でも少しずつ花粉が増えてきましたね。

 

さて、花粉症で眼や鼻に症状が来るのと同時に皮膚にも花粉により症状が出ることがあります。

あまり知られていないこの「花粉かぶれ」とは一体どのようなものでしょうか。

 

花粉かぶれというくらいですから、発生時期は花粉症の発生時期に一致します。

多くは女性です。

目の周りから頬部にかけて、ひりひりする、しみるといった症状が出てきます。

診察してもはっきりした皮膚の変化がない場合もありますが、

多くは皮膚の表面にざらつきがでたり、少し赤みが出たりすることがあります。

 

原因については完全にわかっているわけではありませんが、

花粉の蛋白質にたいするアレルギー性のかぶれと考えられています。

 

女性に多いのはもともと皮脂も少なく乾燥しやすいこと。

化粧によりわずかなかぶれがもともと存在していること

気にして擦ったり触ったりしていることなど考えられますが、はっきりしません。

当然ながら眼を擦ったり鼻を噛んだりし、その影響は出てきているとも考えられます。

 

治療するまでもなく、花粉の時期が終われば症状はなくなりますが、

症状があり、辛い場合は治療も行います。

一番マイルドな治療は保湿剤や保護剤です。

荒れやすい皮膚や乾燥した皮膚を抑えることで湿疹を減らそうとするのが保湿剤の考え方。

逆に保護剤は皮膚の表面に油を塗ることで、皮膚表面にアレルゲンがつかないようにしようという考えです。

ついで使われるのはステロイド。

湿疹の反応を抑えようという考えです。

また、プロトピックという塗り薬を使うこともあります。

 

あとはスキンケア。

花粉症そのものの対策、つまり洗うことや流すことを徹底する。

これは顔の症状を抑えることにもつながりますし、

水で洗うことで皮膚の温度が下がり、症状を弱くすることにもなります。

(ただし、水洗いの後は乾燥予防に保湿剤を塗ってくださいね。)

 

という形で花粉かぶれの治療を行うこともできます。

もしも花粉症がある方で顔のひりひりや赤みが気になるという方は一度皮膚科に相談ください。

また、花粉症の目薬や鼻薬、飲み薬を処方することもできますので、一緒に相談してはいかがでしょうか。

現在おむつかぶれの調査中です。

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現在、当クリニックではおむつかぶれの調査を行っております。

 

以前から時に目にすることがあるのですが、

元気でトラブルや病気のない子が、おむつを変えただけで、おむつかぶれを発症することがありました。

 

そもそも、おむつかぶれにはいくつかの原因があります。

まず、カビの一種のカンジダの感染によるもの。

ついで、うんちやオシッコによるかぶれ。

最後の一つがおむつによる擦れ刺激です。

 

以前の布おむつでは擦れによるおむつかぶれが多かったのですが、

最近の紙おむつではだいぶ減少しました。

 

でも、紙おむつのメーカーを変えることで擦れによるおむつかぶれができることを

たまーに目にします。

 

外来で気がついた時にはメモをとっているのですが、インターネットでも聞いてみたいと思います。

もし、「おむつのメーカーを変えただけなのに、元気な赤ちゃんがおむつかぶれになった」

ことがあるようでしたら、コメント欄から「変更前メーカー→変更後メーカー」と記入していただけますでしょうか。

 

のんびり調査したいと思いますので、興味のある方はコメントください。

お待ちしております。

(ある程度の結果がまとまるまで、コメント欄は非公開とさせていただきます。)

手荒れを治すにはまず乾燥のコントロールからです。

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だいぶ水も冷たくなりました。

洗い物をする時に水からお湯に変えた方も多いかと思います。

そして、手荒れが悪くなった方も多いのではないでしょうか。

 

最近、手荒れの患者さんが来院することが多くなりました。

当然、時期ですから当たり前です。

中には以前に他の病院を受診された方もいらっしゃいます。

その時に気になることが一つあります。

意外に皆さん、保湿剤を処方されていないんですね。

また、意外に皆さん保湿剤を使っていないんです。

 

手荒れの対策はまずは保湿です。

ついで、湿疹に対する治療を行います。

この優先順位を間違えては行けないのです。

 

手荒れから湿疹になる理由ですが、

まず、乾燥により、皮膚に小さなキズが出来ます。

そのキズから様々な成分が体内に入り、アレルギーとしての反応を起こし、

湿疹を作るのです。

大雑把に考えると、かぶれの一種なのです。

それに、乾燥による皮膚の割れが加わった状態です。

 

ですので、対処はまず、皮膚をしっかりと作ることです。

ステロイドを処方されることが非常に多いのですが、

この薬はあくまでも炎症を抑えるだけ。

皮膚をしっかりと作るには自然にできるのを待つしかないのです。

ステロイドはその部分には効果ありません。

ですので、皮膚がしっかりと作られるまで保湿剤を使い、皮膚を守る必要があります。

 

なので、まず、保湿。

これをいかにしっかりと行うかがとにかく大切になるのです。

大事、大事。