わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

TEL050-3355-9592


〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

病気の話

引っ越しをすると虫刺されはわるくなる。

夏になり、虫刺されの患者さんがたくさん受診されるようになりました。

多くの患者さんを診察していて気になることが一つありました。

概ね虫さされの症状は刺された回数により決まります。

したがって、同じくらいの年齢の患者さんでは、みな症状の強さは似通ってくるのですが、

一部の人では年齢に比べて非常に強い症状を示す方がいました。

 

どんな人がそのような反応を示すのだろうか。

 

と考えて観察していると、ある一つの傾向が見えてきました。

 

どうも、このような人は引っ越しをしているんですね。

しかも、引っ越しをしてからの年数と症状の強さが関係しているみたいです。

 

不思議な話でしょ。なぜでしょうか?

 

どうも、刺す虫に対するアレルギーの強さが違うのではないか。

と考えられます。

 

虫さされのアレルギーの強さは虫の種類ごとに異なります。

つまり、

イエカのアレルギーの強さと、ヤブカのアレルギーの強さは全く別個のものなのです。

 

それをもっと考えてみると、

関東のイエカのアレルギーのつよさと東北のイエカのアレルギーの強さ、

九州のイエカのアレルギーの強さは全く別個のものかもしれません。

 

いままで、イエカはイエカ。アレルギーの強さは一律でしょ。

と考えていたのですが、ひょっとすると地域によりイエカはイエカでも微妙に違い、

刺された時に体内に入ってくる成分も微妙に違い、

アレルギー反応も微妙に違う。

ということがあるのかもしれませんね。

 

なので、引っ越しをした後には虫さされの反応が非常に強くなってしまう。

ということもあるかもしれません。

 

 

では、どこからどこに引っ越ししたら反応が強くなるのか?

これはまだよくわかりません。

どうも別の地方(例えば東北から関東)レベルでは強くなるようです。

もちろん隣町レベルでは強くなりません。

そのあいだのどこかにあるんでしょうね。

これは今後の課題としましょうか。

妊婦さんが飲める薬、飲めない薬

前のお話で、妊婦さんと薬の話を長々とさせていただきました。

問題問題といっているけど、じゃあどうすればいいのさ。

という声があがるもの尤もですので、今回は対策についてお話をしていきましょう。

 

妊婦さんがその薬を飲めるのか否か。

実は薬の説明書だけを鵜呑みにするわけには行きません。

というのも、先日の記事に記載した通りあくまでもこれは公式なものに過ぎず、

製薬会社が試験を行っていなければ何も記載できないのです。

(まとめたサイトはこちら。PMDA

まあ、家電やパソコンなどの説明書とお考えください。

 

しかし、あくまでもこれは日本国内のお話です。

アメリカなど、他の国では妊婦さんに対する使用が許可されているものもたくさんあります。

というのも、日本の薬は日本人を対象に試験を行わなければいけないからなんですね。

 

また、実際の問題として妊婦さんに飲んでもらったことがある。

という薬ももっとたくさんあるのです。

先日ドラマで放送されていましたが、妊婦さんが乳がんになり、抗癌剤の投与をしなければいけない。

しかし赤ちゃんへの影響がわからない・・・

というお話も海外での使用報告を確認することにより、飲めるか否かの判断をできるのです。

 

では、実際に妊婦さんが飲んでも大丈夫という海外からの報告をまとめたページは無いのかというと、

実はあるのです。

私が以前に勤務していた国立成育医療研究センターでは「妊娠と薬情報センター」として

このような情報をまとめ、一覧にして配布をしています。

ページはこちらです。

 

但しあくまでもこのページはダイジェストであり、正式なものではありません。

正式な物を確認したいというのであれば専門家向けですがこんな本があります。

薬物治療コンサルテーション妊娠と授乳

専門家向けの本ですが、もしも心配な方でしたら、

読んでみてもいいかもしれませんね。

 

もうちょっと簡単な本もあるようです。まだ読んでいませんが・・・

妊娠・授乳と薬の知識―飲んで大丈夫?やめて大丈夫?

 

成育医療研究センターは子供だけのための病院ではありません

今回は、私が以前に務めていた成育医療研究センターのお話をしていきましょう。

まあ、昔話と思ってお付き合いください。

 

成育と私はいつも略して読んでいますが、正式名称は

独立行政法人 国立成育医療研究センター

です。

 

成育と言うのは聞き慣れない単語ですよね。

この意味を病院ホームページから拾ってきました。わかりやすい図があったので貼っておきます。

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とまあ、このように、子供が大人になって、その子を産んでいく。

その円環を医療の面からお手伝いするのが成育医療というわけです。

 

いままでの小児医療と異なるのは、小児のみならず、妊娠・出産というイベントも含めているところに特徴があります。

時には不妊、不育(妊娠するも出産できない)にも関与するわけですね。

 

つまり、成育医療研究センターでは小児だけでなく、妊娠・出産にも力を入れているんですね。

コレ、意外に誤解されがちです。

 

スタッフもそれに合わせて多種多様な専門家が揃っています。

小児科はもちろん、麻酔科、救急。

また妊婦さんを相手にしますので、産科。婦人科も少しあります。

また、不妊。不育科などど言うものも有りますね。

 

もう一つ、スタッフは妊婦さんに対しても治療を行えるように教育されています。

小児科の先生はまあ、関係ありませんが、

マイナー科と呼ばれる、眼科、耳鼻科、整形外科も妊婦さんに対応することができます。

当然私達皮膚科でも妊婦さんの対応を行うことがあります。

 

実は、成育、妊婦さんの治療も得意なんですよ。

私も結構得意だったりします。

 

この話はまた後日にしていきましょう。

 

虫刺されの症状がひどくなる場所

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さて昨日に続き虫刺されのはなしです。

 

時に聞かれるのですが、虫刺されの症状がひどくなるのはどこでしょうか?

 

まず考えられるのは、皮膚の柔らかいところです。

柔らかいとは読んで字のごとく。ぐにょーんと伸びやすいところです。

専門的に言えば。皮下の繊維の少ないところです。

 

目立つのは顔面でしょう。耳タブも結構柔らかいですよね。

手足で言えば、外側よりも内側の方が柔らかいですよね。

 

これ全部正解。

この場所は虫に刺された時には激しく腫れる場所です。

その中でも最も激しいのはまぶた。うわまぶたです。

ここを刺されると目が開かないくらい腫れてしまいますもんね。

 

 

他には無いかなーと思って診察していたら、思いもかけない場所が腫れている子がいました。

ちなみに男子限定です。

さて、どこでしょうか。

 

 

・・・おちんちん?まあ、ここも腫れますが、そもそも虫に刺されませんね。

意外や意外、男の子の足はおもいっきり腫れるのです。

あれ、さっきの原則とは違うではないか?と思った方は鋭いですね。

では、なぜこの部位が激しくなるのか?なぜ男の子だけなのか?

正解は運動でしょう。きっと。

 

虫刺されの反応は、虫によって体内に入った毒や唾液の成分に対する

アレルギーの反応と、毒そのものの化学反応です。

体を動かせはその毒は広がっていきます。

そのため、アレルギーの反応もそれに応じて広がっていきます。

そのため、足の症状は悪くなってしまうのです。

特に男の子は虫刺されなんぞ気にせずに走り回っていますので、

余計に虫刺されの症状が悪化してしまうのです。

 

ということで男の子限定ですが、虫に刺された後には足も症状は激しくなりますよ。

というお話でした。

虫刺されに性差は有るのだろうか?

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今回は夏らしく虫の話をしていきましょう。

 

虫さされ、男女に差があるのかどうか考えてみましょう。

 

 

まず、家の中の虫です。

ダニとかノミとか、ナンキンムシとかですね。

うーん、これらの虫はあまり男女を区別して刺すことはなさそうです。

むしろ、家族中に発生していることがひとつの目安となるので、

明らかな男女差はないように思えますね。

 

ついで家の外の虫です。

蚊とか毛虫ですね。

これも、来院患者さんの割合を見る限り、男性と女性では差はなさそうですね。

でも、診察をしていて気がついたこと。

それは刺された数です。

明らかに男の子の方が多く、症状も激しいです。

女の子は逆に数は少なめだったりします。

 

つまり、こういうふうに考えられるかもしれません。

外で虫に刺されるのは男の子の方が多い。

しかし、病院に来る確率は女の子の方が多いので、

結果として男女差はない。

しかし、症状は男の子が悪い。

 

とかんがえると、辻褄が合うかなあ。

 

 

とかなんとか考えながら仕事をしています。

考えることはたくさんあり、非常に面白いですよ。

お薬手帳の是非を考えてみる 皮膚科医の立場から おまけ

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昨日までお薬手帳のお話をしてきました。

今回はそのおまけ。番外編です。

 

情報は薬だけほしいのか。

実はそれだけではありません。

薬疹とは言いますが、その原因として市販薬や健康食品やサプリメントも有るのです。

できればお薬手帳には市販薬や健康食品やサプリメントについても記載してください。

 

どのような情報がほしいのか?

まず、薬の種類が大事です。正式な名前をフルネームで書いてください。

最近はジェネリック医薬品が増えていますが、その場合は面倒くさくても会社名まで書いてください。

というのも、会社によって本来の成分以外の添加剤が異なることも有り、

可能性は低いのですが、その添加剤に対してアレルギーを起こすことも有るのです。

そのためジェネリックA社でアレルギーが出てもB社では出ないということがあります。

市販薬も正式な名称をフルネームで書く必要があります。

特に市販薬では同じブランドネームでも使われている成分がぜんぜん違うために

コレを違えると、原因不明となってしまうことまで有るのです。

 

一例をあげましょう。誰もが知っているバファリンですが、

バファリンプレミアムでは有効成分はイブプロフェンとアセトアミノフェン。

バファリンAはアスピリン(アセチルサリチル酸)。

でも。小児用バファリンでは有効成分がアセトアミノフェンです。

一文字書き忘れるだけで、全然違ったものになってしまうのです。

コレ、怖いんです。診察する側にしてみると。

 

最後に、容量も書いておいてください。(何mgというものですね。)

次に大切なのが、飲み薬を開始した日。既に飲み終えた薬では飲み終えた日も記載してください。

飲み薬に対するアレルギー反応はその化学成分が血液の中からなくなれば弱くなります。

症状の強弱と飲み始め、飲み終わりに関係があれば、その薬が犯人の可能性がグッと高くなります。

 

最低限これだけの情報があれば対処しやすくなるんですね。

また、可能であれば病名と処方した先生の名前も確認しておきたいところです。

必要があれば直接電話して連絡を取ることもできますので。

 

 

最後に私はどうしているかですが、

サプリメントや健康食品は一切飲まず、市販薬も時にバファリンを飲むのみです。

処方薬も沢山飲むわけではないので、クスリ手帳は持っていません。

でも、自分で何を飲んでいるか言えるので問題は無いのです。

でも、コレ、あまり参考にはならないですよね・・・

お薬手帳の是非を考えてみる 皮膚科医の立場から その2

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今回は昨日の続きです。

 

前回はお薬手帳が無いと困るお話をしていきました。

でも、よく考えると、別に薬局からもらうお薬手帳でなくても良いのです。

自分の手持ちの手帳にしっかりと書き付けていてもいいのです。

但し、医療関係者が見てもわかるように一覧になっているものがいいですね。

 

また、外来ではこんなことも有りました。

お薬手帳を持ってきたお母さん。いくつかのページには薬局のシールが張ってありますが、

いくつかのページには手書きで記載がされています。

・・素晴らしい!

 

実は私達が知りたいのはお薬手帳ではありません。

いつから、どんな薬を、どのような飲み方をしているのか。

だけです。

したがって、手書きのメモでも、その情報がしっかりと記載されていることが大事なのです。

 

最初の質問に戻しましょう。

お薬手帳は必要なのか?

答え。

自分が飲んでいる薬を完全に把握出来ている。記載出来るのであれば必要ではありません。

でも、それが出来ない場合はお薬手帳があれば、便利ですよ。

ということになります。

お薬手帳の是非を考えてみる 皮膚科医の立場から

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最近、ネット界隈ではお薬手帳の有無について何かと話題になっているようです。

確かに手帳をもらわないと少し値段は安くなるのは事実ですが、

それでよいのか?を皮膚科医の立場で考えてみました。

 

「なんだい、皮膚科医なんて塗り薬しか出していないじゃん」

と言われますが、それはそのとおりです。

特に私はあまり出さない方ですので、何種類も飲み薬を飲んでいる患者さんは数えるほどしかいません。

 

では、なぜ皮膚科と飲み薬に関係があるのか?

それは薬剤アレルギーの話です。

皮膚にも薬剤でアレルギー反応が起きることがあります。

「薬疹」と皮膚科医が呼ぶ病気です。

つまり、体の中に入った薬の成分に対してアレルギー反応が起きるわけですね。

 

この薬疹ですが、本当にピンキリです。

薬をやめたら数日ですぐに引いてしまうものがほとんどですが、

(アレルギーの原因となる薬をやめるのが唯一の治療です)

重症になると本当に命に関わる病気も中にはあるのです。

スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症、薬剤性過敏症症候群といったものがあります。

 

この診断は唯一つ。

原因となる薬剤を突き止めることです。

ここで必要になるのが内服歴あるいは服用歴と言われるものです。

 

実はこの内服歴を確認するのがとても大変なのです。

何を飲んでいるのか?

それを調べるために数日必要となることも往々にしてあります。

(皆さん、現在飲んでいる薬の名前を全種類、ソラで言えますか?)

 

ここで活躍するのがお薬手帳です。

この手帳がひとつ有るだけで数日かかるものが10分で済んでしまうのです。

 

この違いは大きいですよ。

治療方針を立てるのが、格段に楽になります。

治療開始も早く出来る。

時には失われる命を救うことが出来るかもしれません。

 

たかが手帳、されど手帳です。

薬局の数十円節約するメリットとトラブルになった時の対処が変わるメリット。

そちらを取りますか?

小学生の太ももの湿疹と洋服との関係

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新学期になり、2ヶ月が過ぎました。

春の運動会シーズンも、もうおしまいですね。

今回はその運動に関係するお話を一つ。

 

小学生の診察をしていて気がつくことがあります。

特に男の子に多いのですが、太ももの内側に症状が強く現れる事があります。

年齢は年長さんから小学生にかけて。

もう少し大きくなると、太ももの前面に湿疹が多く出やすくなるようです。

 

この太ももの湿疹。どうも洋服と体型が関係しているみたいです。

太もも内側の湿疹が出来る子を見ていると、どうもぽっちゃり系の子が多いようです。

 

・・・ということは、

洋服で擦れているんですね。

ズボンの内ももの部分にこすれるために湿疹ができると考えていいのかもしれません。

 

もちろん薬を塗れば症状は落ち着きますが、一番の根本的な治療法はというと、

ダイエット

ということになるわけですね。

 

でも、ここで注意点が一つ。

子供のダイエットは十分に注意する必要があります。

大人のようにただ栄養素を削れば良いというものではありません。

成長するのに必要な栄養素を取りつつ、体重を減らす必要があるので、

綿密に計画をたてる必要があります。

専門家の指導の元に治療をする必要があるのです。

だから、脱ぎなさいと言ってるでしょうに。

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日に日に気温が上がっていきます。

でも、たまに温度が一気に下る日がありますね。

そんな、毎日の気温が落ち着かない時のお話です。

 

この時期のアトピー性皮膚炎はいまいち落ち着きません。

まあ、ゴールデンウイークの疲れがでて風邪を引いてしまったりということもあるでしょう。

もう一つの原因は気温の不安定性があります。

 

この時期は毎日の気温も大きく異なりますし、1日の中でも気温が大きく変わることもあります。

その日の最高気温だった時間が午前3時ってなによ・・・・

っていう日もあれば、1日の温度変化が15度を超える日もあるのがこの時期の特徴です。

また、雨が降ったりやんだりと、湿度も大きく変わります。

 

つまり、この時期の気候状況は短時間で大きく変わるのです。

この時期のアトピー性皮膚炎が落ち着かいのもこの気候状況によるものでしょう。

 

そして、見ていると非常に興味深いのは女の子に比べ、男の子の皮膚の状態が不安定になる傾向があります。

 

多分、この原因は脱がないから。

汗が悪さをしていると考えます。

 

男の子は面倒くさがりです。

というと、皆さん納得して頂けるでしょうか。

朝に洋服を着替えて学校や幼稚園に行きますよね。

特に男の子はその後、温度がどんなに変化しても、湿度がどんなに変化しても

洋服を脱いだり来たりしたいんですよね・・・

 

特に問題になるのは一気に温度が上がった日です。

逆に寒くなった日は震えて帰ってくるだけで済むのですが(いやいや、それで風邪を引いたりして大変だったりもするのですか)

特に暑くなった日は大汗をかいて帰ってきます。

そして、そのまま・・・

 

で、翌日には湿疹をひどくしてしまう。

というわけなんですよね。

 

 

対処法はというと、これの根本的な解決策は残念ながらありません。

だって洋服を脱いでくれないんだもの。

まあ、帰ってきたらその時の気象に合わせて洋服を変えてあげる。

帰ってきたらシャワーを浴びて、汗を取ってあげる。

位は出来るかと思いますが。

 

さて、今日はどんな天気になりますのやら。