さて、前回、天気予報の信頼性についてお話をしていきましたが、
今回は病院での診断の正確さについてのお話をしていきたいと思います。
さて、質問です。
どうして、しっかりとした診断をつける必要があるのでしょうか。
答えは、
今後のことをより深く知るため
です。
診断というものは、将来を知るためのものです。
つまり、これからどうなっていくのか。
症状はどのように変わっていくのか。痕や後遺症は残るのか。
遺伝するのか。するとしたらどのくらいの確率で遺伝するものなのか。
もう一つ。
治療はどうすれがいいのか?何が効くのか?
治療出来なくても、病気の進行を食い止める方法はあるのか?抑える方法はあるのか?
ということを知るために「診断」を行う必要があるのです。
もちろん、診断の重要性については病気の程度である程度変わってきます。
ただのカブレ
遺伝性の病気
癌
では、重要性は全然変わってくるでしょう。
カブレであれば、
かっちりと診断を付けなくても治療していけば良くなるでしょう。
何が原因かはあまり追求しなくてもよいでしょう。
「繰り返したら、原因を考えましょう」と私も良く言っていますが、
それは、慌てる必要は無いからです。
では、遺伝性の病気についてはどうでしょうか?
遺伝する病気にはいろいろな種類が有ります。
ざっくりとしたお話になりますが、(詳しいお話はいろいろな本に出ているので省略)
人間は同じ遺伝子を2本持っています。
その2本の遺伝子のうち、
1本に問題があれば出る病気と
2本両方に問題がないと出ない病気が有ります。
それぞれ、遺伝の形式はちがうわけです。
メンデルのえんどう豆の実験を思い出してもらうといいかもしれません。
1本で出る病気は子どもに半分の確率で遺伝します。
2本の病気はそもそも発症する可能性はあまり高くないものがほとんどですが、
重い症状で出る病気が多いのです。
また、性を決める遺伝子に異常があるかどうか。
異常の有る子の中で症状が出る子はどこくらい居るのか。
など、もっともっと難しい話にもつながっていきます。
つまり、診断をして、遺伝の形式を知ることは、血のつながりという面からは
非常に大事なことになります。
最後に癌の話です。
癌の診断とは、がん細胞がどのような細胞なのか、
由来はどこかを考えることが主体になります。
人間の体にはいろいろな細胞が有ります。
そのほとんどすべての細胞が癌になるわけですが、
元々の細胞の性質を持っていることが有ります。
そのため治療方法も変わってくることが有ります。
放射線が効きやすいか効きにくいか。
抗癌剤はどのような物が効果あるのか。
手術の時に、見た目の癌の範囲から更にどのくらい細胞が散らばっているか。
などは、がん細胞の種類によって変わってきます。
また、転移はし易いかどうか。
転移するとしたらどこに転移するのか。
についても癌ごとにクセが有ります。
そのクセを知り、早め早めに対処するために診断をしっかりとしなければいけないのです。
診断の信頼性が低いこと。
言い換えれば大雑把な診断しかしないことについてはこれだけのリスクが有るのです。
したがって、大学病院などの大きな病院では
大勢のスタッフが集まり、診断を正確に下すために検討会をしっかりと行うのです。
また、必要があれば、他の診療科の先生や他の病院の先生に相談することも有るのです。
このように、診断をしっかりと行うことは未来を知ることと同義語になるのです。