診察をしていると、虫さされについて相談を受けることがよく有ります。
特に、屋内でのダニ・ノミ刺症を心配して相談を受けることが有ります。
相談を受ける側から、「こんな風にしてくれると嬉しいな」についてお話したいと思います。
まず、屋内での虫刺されで考えられることについてお話していきましょう。
屋内で虫に刺されるにはまず、屋内にいなければいけません。
今さらなにを。と思われるかもしれませんが、これは重要な事です。
つまり、虫刺されの症状の強さは、その屋内に居る時間に関係してきます。
つまり、家族の発生状況をしる必要があるのです。
誰に、いつから出来たのか。
発疹の数はどのくらいか。痒いか、痒くないか。
を確認することが、診断の上で重要になります。
そのため、同居している家族全員を一緒に診察することが大事なのです。
多くは普段から家にいる子ども、母親、高齢者の順に出ることが多いです。
(父親に症状が出ることは少ないのが現状です)
また、特に高齢者では病気を持っていたり、飲み薬を飲んでいる方も多いのですが、
それが、虫さされの反応を歪めることが有りますので、
基礎疾患と内服薬の種類と量を確認する必要があるのです。
もう一つは虫の種類です。
多くの虫は「家に」もしくは「部屋に」憑きます。
しかし、一つだけ気を付けなければいけない虫がいます。
それが、疥癬です。この病気は「ヒゼンダニ」というダニの1種が原因で起きる病気ですが、
このダニは「人に憑きます」ので、別途考える必要があるのです。
ヒゼンダニの見つけ方ですが、疑わしい人の皮膚を削ってみて顕微鏡で確認します。
そして、顕微鏡の画面の中に虫がいれば確定です。
もう一つの見つけ方はステロイドを塗ることです。
ステロイドの作用として、湿疹を始めとするアレルギー反応を抑えることが有ります。
しかし、微生物は増やしてしまいます。
そのため、
部屋や家に憑く虫・・・ステロイドを塗ると症状はよくなるが、新たに症状が出てくる
(虫さされによるアレルギー反応は抑える。しかし、虫は退治できていないので、新しく刺される)
人に憑く虫・・・ステロイドを塗っても症状は良くならない。新たに症状が出てくる
(虫さされの反応は抑えているが、ヒゼンダニも増えてしまい結果的に症状が落ち着かない)
と違いが見えるのです。
(と書いていますが、厳密に区別をすることは大変です。皮膚科医に経過は見てもらってください)
診断と治療を同時にしていきましょう。というお話ですね。
次に、媒介する動物を考える必要があります。
いくつかの虫は普段は有る動物に憑いていて、時に人の血を吸うという生活をしているものもいます。
ですので、まず、ペットを確認する必要があります。ペットを飼育している人の場合は、
ペットの種類、年齢、持病、異常な行動の有無について確認する必要があります。
但し、ペットも高齢になると免疫が弱くなり、虫が憑いていても痒みを感じないことも有りますので、要注意です。
疑わしい場合はペットを獣医さんに診察してもらうことも必要です。虫が憑いていない証明があると、大分診断は楽になります。
また、野良ネコ、ハトが家のそばまで来ていないか注意が必要です。
同様にネズミも家にいませんか?ハクビシンということも有りましたが、野生の動物が家に住み着いていないか確認することも大事です。
最後にヒトです。野良のヒトはまずいないかと思いますが、
特に疥癬では注意が必要です。家族に介護や看護職の人がいないか。デイケアなどの高齢者が集まる施設に行くことがないか。
については必ず情報を確認する必要があるでしょう。
最後に、もしも虫がいれば、捕まえるか写真を撮ってきてください。
それが出来なくとも、目撃情報でも構いません。(信用度は物証が無いため少し落ちますが)
もしも捕まえた虫がいれば、顕微鏡で確定診断を行うことが出来ます。
私が虫さされの診断を行うときには以上の情報を集めてから診断を行います。
虫が心配な方は上記の情報を持ってきてもらうと、診断を素早く行うことが出来ます。
診察前の参考にしてくださいね。