わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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病気の話

グルーによるヤケドは治るのに時間がかかります

新年1回めの記事はヤケドについてです。

 

年末年始の飾り付け、最近のDIYブームに乗って、グルーガンという機器の名前を頻繁に耳にするようになりました。

・・・正式にはホットメルト接着剤なの?よくわかりませんが(Wiki

要するに接着剤や樹脂を温めて液状にして、加工しやすくしましょうね。

というお話のようですが、先日このグルーガンの使用に伴うヤケドの治療を経験しました。

まあ、いろいろあって治癒したのですが・・・

 

結論。

グルーガンの使用によるヤケドはなめたらアカン。

ワカメ並に気をつけろ。

ということですね。

 

え?え?ワカメ?と思ったかたも多いかと思いますが、

これは、ヤケドのメカニズムによるものです。

 

ヤケドとは、熱を原因とする皮膚の損傷です。

つまり、どのくらいの温度の物が、どれだけの時間、どこに付いたかで傷の深さ(=傷跡の出来やすさおよび治療にかかる時間でもあります)

が決まります。

 

ということは、

温度が高いものが

長時間

皮膚の薄いところに

付けば、それだけ治り難いヤケドになるのです。

 

そして、このグルーガンで使用しているグルーですが、一つの特徴があります。

それは粘性が高いということ。

これがまた厄介なものでして、液体の様に流れ落ちない。

そして、個体の様に振り払うことができない。

ということです。

結果的に皮膚に長時間付着することになり、

より、傷を深くしてしまうのです。

 

良く似たケースとして

味噌汁によるヤケドがあります。

このヤケドは具材によって、症状がちがうのです。

ちょうど具材が付いた部分だけ治りにくくなってしまうんですね。

お汁はすぐに流れ落ちてしまうのですが、具材がくっついている。

特に一番面倒なのはワカメ。

皮膚に張り付いてしまい、長時間皮膚に接触してしまいます。

結果としてヤケドは重症になってしまう。

というわけなんですね。

 

 

結論

グルーガンのヤケドは気を付けろ。

です。

しもやけは遺伝します

以外に知られていませんが、実際の診察をしていると、非常に高率であてはまる法則です。

 

しもやけとは何か?

あまり良くわかってはいませんが、一つ言えるのは、

寒いのにもかかわらず、毛細血管が広くなっており、そのために炎症が起きるということです・

この通常とは異なる反応ですが、遺伝すると言われています。

遺伝形式は優性遺伝。

両親のどちらかにその性質がある場合、子に受け継がれる確率は1/2です。

なので、保因者は多いと考えられます。

 

12月に入ってしもやけの子がぽつりぽつりと受診するようになりました。

しもやけの診断を聞いたお母さんは、概ね納得しています。

意外だという反応はあまり多くはありません。

そしてより詳しく話を聞いてみると、お母さんも子供の時にしもやけになっていたと。

 

と、このようにしもやけは遺伝をします。

お父さん、お母さんにしもやけがあった人はこれからの季節要注意ですね。

 

ちなみに、私もしもやけ持ちでしたので、子供にも50%の確率で遺伝しているというわけです。

 

年末には「おでき」に注意を

払いましょうというお話です。

 

年末年始にかけて、よく目にする病気と言うものがあります。

一般には疲れると出てくる病気ですね。

 

一つは帯状疱疹。

まあでもこちらはどちらかと言えば年始によく目にします。

どうも、年末のストレスがたまった後に、お正月で気が抜けて発症するみたいですね。

 

そして、もう一つは「おでき」です。

おできは何かを考えると結構難しいのですが、

皮膚の出来物、あるいはそれに感染が追加された状態と考えるのが良さそうです。

こちらは純粋にストレスが発生の誘因となります。

ある日突然腫れて痛くなるのですが、多くの場合は忙しい時に腫れます。

そうですよね。ストレスが原因ですからね。

で、我慢して悪化すると。

もう一つ、我慢すると時間の余裕が無くなります。そうです、医療機関が正月休みに入ってしまうのです。

 

そして、ぎりぎりまで我慢したおできがどうなるか?というと、

だんだん大きくなってきて、中途半端に破裂します。

そうすると、膿が出てきて大変なことになります。

そして、病院に毎日のように受診して治療を受けなければいけないのです。

でも、年末年始ですよ?

というのが問題です。

 

医療機関としてもなんとかしてあげたいのはやまやまなんですが、

休みに入ってしまうとどうにもならないのです。

大きな病院であれば、お休みの日も受診して処置ができるのですが、

開業医ではそうも行きません。

結果として大きな病院に行ってもらうか、家で我慢してもらうかとなってしまうのです。

 

このおできですが、早めに受診して貰えればある程度の選択肢がでます。

薬を使って散らすこともできますし、

逆に小さなウチにおできを取ることもできます。

そうすれば痛みも辛さも破裂するよりは少なく済みます。

 

ということで、年末には気になるおできは早めに受診して治療を開始すること。

これ、大事です。

 

11月でも”とびひ”は起きる

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だいぶ寒くなりました。

薄着ではもう外には出られませんね。

でも、こんな時期にも意外にとびひは有るんです。

 

とびひの原因は黄色ブドウ球菌や溶連菌といった細菌です。

それが皮膚の表面で増殖し、とびひという形を取るのです。

当然、気温が上がれば細菌の増殖は増える。

逆に言えば気温が下がれは落ち着くはずなのですが、

11月になって、とびひで受診する子が意外に多くいます。

その理由は乾燥と汗です。

 

冬に入ると空気の乾燥が一層進みます。特に今年は乾燥がより強い印象を受けます。

そのために皮膚も乾燥し、ヒビ割れます。

そのひび割れた乾燥した皮膚には細菌が住み着きやすく成るのです。

そのためにとびひがよく発生するようになります。

まず、これが第一の理由。

 

もう一つの理由は汗です。

汗をかいた部分にはとびひは広がりやすい状態になっています。

一般に上から下にとびひの症状が広がっていくのはこのためでもあります。

冬になって、気温が下がると、洋服の枚数が増えます。

そして、この寒い状況に慣れていないために逆に厚着をさせすぎてしまいます。

また、室内でも着たままだったりします。

そのため、汗を沢山かいてしまい、結果的にとびひを増やしてしまうのです。

 

11月に意外に多く出てくるとびひ。

環境の変化とそれに合わせようとしてうまく合わせきれない着衣習慣の2つが

隠れた原因となるのです。

 

ステロイドの塗り始めは「かゆくなって」から

寒くなって、乾燥も強くなってきました。

みんな乾燥から湿疹が出てきて受診しています。

薬を使えば良くなるのですが、では、いつを以って保湿剤からステロイドに切り替えれば良いのか?

 

それは痒みが出るかです。

 

痒くなったら保湿剤では効きません。

というのも、引っ掻くことにより、湿疹が悪化するためです。

そして、保湿剤には痒みを止める力が非常に弱いからなのです。

 

湿疹は引っ掻く行動により、加速度的に悪化します。

そのために引っ掻きを止めるイコール痒みを停めなければいけません。

それがうまくいき、かゆくなくなってきたらまた保湿剤に戻してあげれば良いのです。

 

ステロイドの塗り薬には保湿効果は有りません。

保湿剤には痒みを止める効果は有りません。

この2種類の薬を上手に使用することによって、

皮膚の乾燥と痒みを上手に抑えてあげましょう。

指しゃぶりからしもやけができる!?

寒くなりました。もう既に木枯らしも吹いたようですね。

町はそろそろクリスマスモードに入りつつあるようです。

今回は赤ちゃんのしもやけのお話です。

 

赤ちゃんはもともとしもやけは出来やすいのです。

一番多いのは足の指。次いで耳。

そしてその次に出来るのは手の指です。

特に指しゃぶりをしている子では指にしもやけが出来ることが多いので

注意が必要です。

 

実はしもやけの原因はまだ良くわかっていません。

でも、悪化因子はよくわかっています。濡れることなんです。

子どもに最も多い足のしもやけは雨が降った後によく見られます。

同じように赤ちゃんの指しゃぶりの後にはしもやけができやすくなるのです。

また、ミトンをしていると、ミトン全体が涎で塗れてしまい、

指全体にしもやけはできてしまうことになるために逆効果だったりもするのです。

 

対応はよく観察し、濡れていたらこまめに拭くこと。

特に外出中には観察がうまくできなくなることがありますので、

意識して指先が濡れていないかチェックして上げるといいですよ。

赤ちゃんの服に石鹸や洗剤、柔軟剤は使っても大丈夫です。

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今日は洋服のお話です。

洗濯についても、お母さんの相談に乗ることが結構あります。

どんな洗剤を使えばいいのか?とはよく聞く質問ですが、

どうも、あまり気にする必要は無さそうです。

 

洋服を洗うときに液体洗剤を使用するか固形石鹸を使用するか。

色々な考えがあるようです。

でも、洗えば石鹸とは落ちるものであり、すすいで脱水してしまえばほとんど残ることが有りません。

したがって、刺激はそんなに多いものでは有りません。

ほとんど洗剤で負けた赤ちゃんを見たことは無いんです。

洋服用の柔軟剤も然り。負けることは無いと考えて良いでしょう。

 

ただし、「ほとんど」と書いたのには理由があります。

たった1回だけ、石鹸でかぶれた赤ちゃんを見たことがあります。

それは、海外産の石鹸です。

大きな倉庫型の店舗で購入した石鹸でかぶれたあかちゃんを1回だけ見ました。

・・・やっぱり石鹸や洗剤は日本のものを使ったほうが良さそうです。

ちなみに、柔軟剤でかぶれた赤ちゃんは見たことが有りません。

 

石鹸でかぶれたと言って受診する赤ちゃんはまず、原因は異なります。

誤ったスキンケアに依るもの、アトピーや乾燥性湿疹が原因となるもの、

汗疹などの一時的な刺激によるもの

と原因は様々ですが、いずれも石鹸とは明らかに異なるものでした。

 

では、逆に使わないとどうなるでしょうか?

石鹸に関してはあまり問題に成ることは有りません。

むしろ、問題に成ることがあるのは柔軟剤。

布が明らかに固くなります。

そのために布で擦れてしまい、逆にこすれによる湿疹を作ってしまうことがあるのです。

それで赤くなっている子もいます。

 

赤ちゃんの洋服を洗うときには石鹸や洗剤、柔軟剤に付いては世間で言われるほど気を付ける必要は有りません。

しっかりと使って、綺麗で柔らかい布にしてあげて、赤ちゃんを守ってくださいね。

ペットを飼う前にはまず「お試し期間」をつくろう

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今回はペットのお話です。

アトピー性皮膚炎その他のアレルギーを持つ子どものいる家庭でペットを飼いたい。

というお話は外来でも良く受けるのですが、結局、飼ってみないとわからない点がいっぱいあるので、

こちらからすると返事が難しいのです。

 

なぜか?

アトピーがペットによってどのように変化するのか読めないからなんですね。

飼うことでそのペットから出るタンパク質が環境内に放出されて

湿疹が悪くなることも十分に考えられますし、

逆にそれで体が馴化して、湿疹が改善することもあります。

当然ストレスが増す子もいるでしょうし、減る子だっているでしょう。

 

したがって、どのように変わるかは医者の側もはっきりとはわかりません。

結果、「飼ってみないと分からないよね」となるのです。

 

でも、問題はいざペットを飼ってみて、アレルギーが出てしまった場合です。

その時に、ペットはどうするの?というお話が必ず出てきます。

・・・どうしよう。

実家に預けたり、友人に譲ったりなどの対応をとっている方を見たことがありますが、

最後までなんとなくモヤモヤとした印象を受けてしまいました。

 

 

つまり、わからない。

ならば、前もって、一時的に一緒に生活してもらう。

方が良いのでは無いかと思うのです。

 

できれば種類まで全く同じ動物をお試しで数日間から数週間飼ってみる。

そして、アレルギーの問題が出ないか試してみる。

という段階を経て、大丈夫ならしっかりと飼う。

というようにすれば、少しは悲劇が減るのかな。

と思うのです。

 

まずは、同居から。

そして問題なければ長期間一緒に暮らす。

その方が問題は少なくなるかなと思います。

・・・・人間同士もあてはまるのかな?

鼻をかんだら保湿剤を塗ろう

木枯らしが吹いてきたようですね。
もう冬が始まるのでしょうか。

 

それに伴い、風邪を引いている子も増えてきたようです。
風邪を引くと、どうなるのか?
最も目立つのは鼻の下。
その部分が湿疹と鼻水でそりゃあひどいことになって来ます。
では、その鼻の下をどういう風にケアしてあげたら皮膚のトラブルを最小限に
食い止めることが出来るでしょうか。

 

鼻の下が荒れるのは一つは鼻水。もう一つはこすることによる刺激です。
でも、鼻水はどうしようも有りませんので、皮膚を抑えるにはこすり刺激をどうするかが
問題になってきます。

ではなぜ赤くなるか?
これはこすれるからです。
こすれるのを減らすにはどうするか?
最も簡単なのは鼻をこする回数を減らすことですが、これはつまり、
鼻水を拭かないことですね。流石にできません。

次に出来ることは、刺激を減らすことです。
一般的なティッシュよりも、ローションティッシュの方が刺激にはなりません。
また、タオルで拭いてあげてもいいでしょう。
使う布の素材を選ぶことで刺激を最小限にすることができます。

鼻をかむ時、かませるときにはその後、その前にも気を使ってあげましょう。

1年前と比べてみよう

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今回のタイトルは自己啓発本みたいですが、もちろん治療の話ですよ。

 

秋になって、乾燥がみんな悪くなってきました。

そして、よく聞かれるのは「良くなっていますか?」

そりゃあ、ここ1週間だけを見れば落ち着いていないかもしれませんが、

比較するのは1週前の症状ではございません。

1年前です。

 

なぜでしょうか?それは乾燥の原因によります。

湿疹の出来る原因は様々です。体質つまり遺伝に就いては1年前も今も当然同じでしょう。

アレルギーの強さは昨年よりも強くなっているかもしれません。

でも、もう一つ大きな原因である乾燥は年間を通して変わるものです。

ですので、1週間前とは乾燥の状態が異なります。

そのために、比較することが出来ないのです。大きな前提条件が異なりますからね。

では、どの時期と比較するのが良いのか?それが1年前です。

1年前の同様の気象条件と比較してみれば、乾燥の影響を除外することが出来ます。

そして、それ以外の条件のみ揃えて比較すれば良いのです。

 

では実際に比較してみたらいかがでしょう?

皮膚の状態でも構いません。薬の使用量でも構いませんし、下地の使用回数でも構いません。

どうですか?

多分多くの子どもたちは昨年の同時期よりも皮膚の状態は良く、薬の使用量や下地の回数が

きっと減少していると思います。

 

それが、乾燥肌の多くは「年齢とともによくなる」ということなのです。

毎日の状況は良くなったり悪くなったりかもしれません。

でも。長い範囲のなかで、条件を揃えてみることで長期の流れが見えてくるのです。

 

いかがですか?良くなっていますか?悪くなっていますか?