よく、「食物アレルギーの最初の症状は皮膚に現れる」とされますが、
一部は本当で、一部は誤解もあるようです。
食物アレルギーの皮膚症状は多くは蕁麻疹という形で現れます。
湿疹の出現、悪化という形で出ることもありますが、
頻度としては、蕁麻疹よりも明らかに少ない印象があります。
また、顔の湿疹と食物アレルギーの関連についてはあてにならない印象です。
食物アレルギーと皮膚の関係性については、大雑把に言うと、
1)アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)に接触すると悪くなる。
2)除去すると良くなる。
の2つを確認しない限り、関係性があるとは言えないのです。
まず、最初の症状の蕁麻疹ですが、これはアレルゲン摂取したらすぐに始まります。
場所はまず唇、ほほ、あごからはじまり、顔面全体、頸部に広がっていきます。
更に時間がたつと全身に蕁麻疹が出ることがあります。
これはアレルゲンが最初に口の粘膜に接触し、アレルギーの症状を引き起こすからです。
これに対して、湿疹の反応は数時間を経過してからのことが多いです。
原因はアレルゲン自体の場合もありますし、
全身の免疫・アレルギー反応が強くなり、結果としてもとから存在している湿疹が悪化した
と考えられることがあります。
このことから分かる通り、時間が経過しているので、直接的な因果関係がわかりにくいこと。
また、再現性が少ないこと。
から、湿疹と食物アレルギーを明確に区別するのが大変になってしまいます。
診察をしていても、塗り薬やスキンケアをきちんとしているのに症状が落ち着かないことから
食物アレルギーを疑うという流れになります。
そのため、食物アレルギーを診断するまで数週間はかかってしまいます。
しかし、顔の湿疹と食物アレルギーはあまり関係なさそうです。
その理由は顔の湿疹の子があまりにも多いからです。
心配される方は、顔の湿疹が治らない⇒食物アレルギー
と考えるようですが、顔の湿疹が治らない理由は他にもたくさんあります。
まず、その他の原因をすべてなくして、湿疹そのものを落ち着けないと、
食物アレルギーの有無を見極めることはできません。
まず、しっかりとしたスキンケアをし、塗り薬で湿疹を落ち着ける。
その後、症状の変化と食事の関係を考える
という手順を取らねば、食物アレルギーか否かの判断はできないのです。