わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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運動会の練習で湿疹が悪化する季節(2024年9月)

今回は湿疹のお話。

 

 

運動会の練習のお話が聞こえてくると、ああ、湿疹が悪化する季節になるのねというお話です。

 

秋の湿疹の悪化はいろいろな要因があるというお話をしてきましたが、

春秋の湿疹の悪化の要因の一つは運動会の練習もありそうですねえ。

 

運動会をすること自体は良いんじゃないと思うのですが、

練習の量がそれに比べて多すぎるよねというのは個人的な印象です。

 

まずホコリをたくさん浴びる、汗をたくさんかく、

紫外線をずっと浴びる。

これらはいずれも湿疹の悪化要素になります。

裸足で校庭を歩く。こちらはヤケドとイボのリスク。

 

と考えると皮膚科的にはリスクがまとめてやってくる学校行事に見えてくるのです。

現状のこのシステムでの運動会、本当に必要なんでしょうかねえ?

よくわからなくなってきました…

万能薬ってあるんですか?

答え、ありません。

 

 

時々外来で聞くのですが、海外からもらった/買った万能薬を使っていますというお話です。

いやあ、流石に何にでも効果のある薬というのは無いんですよねえ。残念ながら。

 

病気の種類た多種多様です。

ただざっくりと分けると、免疫が外部からの侵入に対して

「負けるために起きる病気」と

「勝ちすぎるために起きる病気」に分けることができます。

つまり。真逆なんですよね。

これ、大事なポイントです。

 

外部からの侵入に負けて発生するのは感染症ですね。

とびひだったり蜂窩織炎だったり、水虫だったり、みずぼうそうだったり。

こちらは自分の免疫力が押し負けているので、それに対抗するためには

外部からの侵入に対して抵抗力を追加する必要があります。

それが細菌に対する抗菌薬だったり、真菌に対する抗真菌薬だったり、

ウイルスに対する抗ウイルス薬だったりします。

それぞれ何に対抗するかによって薬の中身が変わります。

まずこの感染症に対して1種類の薬で対応できるということがありません。

 

逆に免疫力が強すぎて発生するのがいわゆるアレルギーというものです。

こちらは免疫力を抑える必要があるのですが、当然感染を起こしているわけではないので、

感染症用のおくすりを使っても意味がありません。

ステロイドなどで免疫を抑える必要があります。

 

ということを考えると、それぞれ全部別のおくすりで対応しなければいけないことがわかります。

 

ではなぜある1種類の薬が万能薬と言われていたのか?

それは時間軸の観点から説明ができます。

小さな感染症、アレルギーであれば時間が経過すれば自然に良くなるんですよね。

その経過を薬を塗っているから薬のせいと誤認する。

そのために薬が効いたと感じるわけです。

だからもしもそのおくすりを使わなかったとしてもその病気は治ってしまうんですね。

逆にいうと時間の経過で治らない病気は治らないということになるのです。

 

ただ人間は都合が良い生き物なので、効果が出たときはそのことをしっかりと覚えますが、

効果が出なかったときには簡単にわすれてしまいます。

その認知のゆがみも万能薬を生み出す理由でしょうねえ。

 

そういった理由でウチは万能薬と言われるとニコニコしてしまうのですよ。

 

 

 

さあ、今まではしっかりと解説をしましたが、ミもフタもないお話を少し

もしも万能薬があったなら?

→製薬会社が黙っていない。研究して処方箋用の医薬品として市販する。

というふうに考えられませんか?

だって何でも治るんですよ?みんな高いお金を出しても欲しがるに決まっているじゃないですか。

 

もしも万能薬があったなら?

→先天性の病気、遺伝にともなう病気もたちどころに治る

だったら大きな話題になりませんかねえ。

ただそのようなお話は聞こえてこないということは…

つまりはその病気には効果がない。

ということは万能薬ではない。

ですよね?

 

まああ万能薬と言われて海外のお土産物屋さんでその商品を見かけたときには

ニコニコしてその国のお土産として購入するのはありだとは思いますよ。

ただ他の方に何にでも効果があると言って推奨するのはあまりおすすめはしませんねえ…

水いぼ取りの優先順位

今回は水いぼのお話です

 

 

水いぼ、ウチで取る場合には麻酔のテープを渡されるかと思います。

1回につき12個分をお渡ししているのですが、こちら細分化は厳禁です。

逆に痛み止めの効果がなくなってしまいますので。

なので12箇所の水いぼに貼る形になるのですが、どれを優先して貼っていけばいいのか?

というのは質問をされるところであります。

今回はその回答をしていきたいと思います。

 

水いぼ取りの基本的な考え方は

「増やしそうなものから取る」というものです。

つまり、今後数を拡大させる可能性の高い水いぼを優先的に取る必要があります。

では今後数を増やしそう=子供を生みそうな水いぼはどんなのかというと、まず、

1)白いみずいぼ

です。

水いぼには白い水いぼと赤い水いぼがあります。

赤いのは炎症の赤。つまり炎症が起きているのと起きていないのはあります。

炎症が起きている赤い水いぼは実は今後なくなっていく水いぼです。

自分の身体の免疫が対応し始めていますからね。なので、優先順位は下がります。

最優先にするのは白の、自分の身体の免疫は反応していない水いぼになります。

なので、色で言うなら白→赤の順に取るようにしましょう。

もう一つの判断基準は

2)大きいもの

です。大きいということはつまりその中にある水いぼのウイルス量が多いということですね。

なので、今後周りに広げる可能性があるということには注意が必要です。

逆に小さいのはウイルス量が少ないと思われますから優先度は下がります。

 

以上を考えると、取る順番は決まってくるでしょう

最優先は

1)大きくて白いみずいぼ

ついで

2)小さくて白いみずいぼ

3)大きくて赤いみずいぼ

4)小さくて赤いみずいぼ

となります。

 

場所については優先度は高くないです。

どこからとっても良いです。

ただ上の原則のとおりのほうが治りは早い印象があります。

一つの場所をまとめてではなく、全身の水いぼの中で感染リスクの高いものから順番に取っていく

そのようにするとよいかと思われます。

秋の季節の変わり目が始まりました?(2024年9月)

今回はアトピー、乾燥肌のお話です。

 

 

今年の秋の乾燥肌の季節、始まったかもしれません。

というのもここ数日乾燥肌の悪化傾向を指が感じるからなのです。

 

今までの経験ではだいたい9月下旬くらいに目立ってくるのですが、

今年は早いですねえ。

ただ気がついていないだけだったと言われるとそうかも知れないのですが。

 

乾燥肌は一般的には湿度の低下とともに悪化していきます。

印象として「一日の最高湿度が50%を下回ったら」乾燥肌が悪化するという印象を持っていたのですが、

どうも「一日の最低湿度が50%を下回ったら」乾燥肌が悪化する子が出始めるというのも

今年の印象として受けるのです。

ここ数日朝夕の気候が良くなっていますがそれが乾燥肌の始まりかもしれません。

ただまだ夏の勢いも残っているでしょうから今後数週間は夏の秋のせめぎあいが有るのかもしれません。

紆余曲折はありそうですが、湿度にも注目して乾燥肌の治療を進めていくことにしましょう。

そして早めに受診して早めに治療をしたほうがかゆみは抑えられますよというお話でもありました。

院内の電話をAI化していきます。

今回は一般的なお知らせです。

 

 

今月から院内の電話をAIを利用した電話に切り替えています。

順次診察券の電話番号も切り替わりますので、情報の更新をお願いします。

 

電話ですが、便利な半面色々と問題が起きていました。

特性上仕方ないのですが、受付が忙しいときに無遠慮に電話がなり、

その対応をするので、更に人手がなくなるということもありました。

また回線が1本しか無いのでそれが何らかの理由で塞がってしまうと、

他の方が電話できないという問題もありました。

 

今回の電話対応はそれぞれの内容について振り分け、

必要に応じてSMSで情報提供を行う。

必要に応じて内容を録音していただき、こちらから折り返し電話をかける

という形になっております。

 

ご協力をお願いいたします。

気温が下がってあせもになる?(2024年9月)

今回もあせものお話。

 

 

9月に入って気温が下がってきましたね。

朝夕の環境がだいぶ快適になった気がします。

ただその快適な環境があせもを呼ぶというお話もありまして。

 

その原因は何かというとエアコンとの複合作用です。

今までは気温が高かったからエアコンをしっかりと夜間も使っていました。

ただこれから朝夕気温が下がるので、エアコンを止めました。

ということも起きると思います。

実はコレが良くなくてですね。

エアコンを一気に止めてしまうと夜間から深夜の室温が結構上がってしまいます。

そのために汗をかいてしまう

そしてあせもを作ってしまう。

という状況になってしまうのです。

 

この時期のエアコンの使い方は難しいのはわかるのですが、

一気に止めるということはしないで、徐々に弱くするというような使い方が大事かと思います。

 

極端に走るのは良くないんですよ…

 

今週あせもが多かった理由(2024年8月)

今日はあせものお話。

 

いやあ、今週はあせもが多かったですねえ。

ということでどうしてそのようなことになったのか簡単に解説します。

 

まず要因の1点目は台風ですね。

台風は南から湿った空気を連れてきます。

今回の台風10号でも東京にやってくる雨雲は常に南からでした。

そして雨を降らせたわけですが、もう一つの特徴として湿度もつれてきました。

常に、一日中、湿度100%です。まあ室内はまだましかとは思いますが、夏の晴れの日よりも明らかに湿度は高いです

ということは汗はずっと蒸発できずに皮膚の表面に滞留します。

そのためにあせもを生じる結果になりました。

 

要因の2点目は新学期です。

まあ、学期前からかもしれませんが、スキンケアのレベルがどうしても落ちてくるんですよねえ。

そして新学期が始まると一気に下がる。

という現象が発生します。

今日の外来でも「忙しくて朝のシャワーが出来ません」という声を何度聞いたことか。

当然汗を流すことができないので、汗が皮膚の表面に滞留する時間が長くなります。

そのためにあせもが生じる結果になりました。

 

 

あせもの要因は汗であることがご理解いただけるかと思います。

ではあせもの悪化する要因は何かというと、汗の量と汗の付着時間です。

 

それが今週は、台風で汗の量が増える。

そして忙しくてシャワーが出来なくて汗の滞留時間が増える。

結果として汗疹が一気に悪化するというケースが発生したようです。

 

一般に夏休みの後半はあせもの頻度が下がってくるものですが、

今週は気候的な要因と社会的な要因が悪い方に組み合わさった結果として

あせもの子が多く受診することになったようです。

 

ちょっとしたことで皮膚は大きく変化するんですよねえ…

実に興味深いのです。

アトピーの全身療法では転院時に必要な情報が有るのです

今回はアトピー性皮膚炎のお話です。

 

アトピー性皮膚炎の全身療法が始まって6年が経過しました。

現在では多くの方が治療を行っていると考えられます。

適応も生後6ヶ月まで広がっているので子どもたちでも治療中の子は多いです。

 

そこで問題になってくるのが引っ越しです。

引っ越しにより、医療機関を変える必要があるというのは仕方が内面では有るのですが、

そのときに、前の医療機関から情報を引き継ぐ必要があるんですね。

 

アトピー性皮膚炎の全身療法を行うにはいくつかの条件が実はついています。

湿疹の面積の広さ、症状の強さを数字にするのですが、それがいくつ以上という形で

条件設定がされています。

ただ、その数字って、調子が良くなると下回ってしまうことがほとんどの例で有るのです。

そうすると引越し先の医療機関で最初に皮膚を見ると該当しない。

という残念な結果になってしまうのです。

そこで大事になるのは前医のデータ。初診時つまり一番悪いときの

数値データが必要になるのです。

そのデータを使用して全身療法を継続することができるのです。

これ、大事なお話です。

 

なお、その数字がなにかに付いては処方している医師は把握していますので、

引っ越しのお話と同時にデータをほしいといえば、

紹介状にして記載してくれると思います。

できれば数日の余裕を持って、一度皮膚科に相談していただくとよいかと思います。

 

 

引っ越しのときの作業は膨大なものでは有るのですが、

アトピー性皮膚炎の紹介状に関しては、全身療法を行っている方は

必ず用意してもらってください。

スムーズな治療を継続するために最初に一手間かけるのが大事です。

0才児でも耳の中まで洗って良いんですよ

というお話です。

 

 

耳の湿疹は結構な頻度でめにします。

特に0才児に多いんですよね。

 

なぜ耳の湿疹ができるのか?

以前にもお話はしていますが、

生後3ヶ月までは皮脂の分泌が多いため、

それ以降はよだれや食べこぼし、ホコリなどの汚れのため。

に湿疹が発生します。

 

そして、もう一つの問題は耳を洗わないこと。

耳に石鹸をつけてはいけないと思われているようです。

 

実は耳に石鹸をつけるのはダメでも禁忌でも無いんですよねえ。

というのも、すでに耳の穴の中には赤ちゃんの段階で鼓膜ができています。

そのため、構造としては大人と同じです。

ただ、その情報をお母さん方は知らないので、

耳に水をかけてはいけないと思ってしまっているのです。

なので、外来でそのようなお話をするとびっくりされるのですよ…

 

耳のスキンケアの鉄則はしっかりと洗い、しっかりと流すことです。

回数のお話は別の機会にしますが、

耳たぶの中から、耳の穴の中に水が入っても構わないので、

しっかりと石鹸をつけること。

そして大量の水で洗い流すこと。

というスキンケアを徹底しましょう。

耳の穴の中には水は入っても頭の中には水は入りませんので、

それはご心配なく。

耳の穴の中の水については最後に綿棒でお掃除すれば大丈夫。

まああまり水が入ることはありませんけどね。

 

耳たぶとその中は意外に湿疹ができやすい場所でもあります。

毎日しっかりと洗って予防してあげてくださいね。

おうち花火のときは足元にも注意しましょう

今回は花火のお話です。

 

 

夏になると花火でやけどをした方が受診されます。

特徴的なのは部位が大きく2つに分かれること。

一つは手から指にかけて、もう一つは足です。

少なくとも後者はちょっとしたことで防げますよというお話です。

 

まず簡単に2つのでき方を考えましょう。

手や指のやけどは花火の火花が飛び散ったとか、ろうそくに触れたとか、

熱いものを掴んでしまったとかそういうものですね。

足のやけどは花火の火が足に飛び散ってしまったというのはほとんどです。

自分から触りに行くことが無いというのは足の特徴になります。

つまり受け身なんですよ。

 

自分で触りに行く指のやけどとは異なり、足のやけどについてはシンプルで有効な対処法があります。

それは布で覆うこと。

つまり、露出させないということですね。

花火の火というのは点で飛んで来ることがほとんどです。持っている熱量はそこまで大きくないのですが、

それが一点に集中するので、皮膚が熱に耐えられないのですね。

なので、まず皮膚の上に布で膜を貼ってあげればいいのです。

火がついてもまずその繊維を熱するのにエネルギーが使用されます。

また繊維が拡散しますので、逆に通過して皮膚に到達するリスクを下げることができます。

当然繊維は焼け焦げますが、皮膚が焼け焦げるよりは良いかと思うのです。

 

守り方もシンプルに、長ズボンを履くこと、靴下を履くこと、サンダルではなくスニーカーを履くこと。

です。これなら簡単にできてしっかりとやけどを予防できますよね。

 

楽しい花火の時間をやけどでつまらない思い出に変えたくはないですよね。

ちょっとしたコツでしっかりと予防できますので、対応してあげてくださいね。