わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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湿疹

おむつをいつ外すべきかは子ども自身が知っています。

暖かくなって来ました。

夜も、そろそろ寝苦しくなるくらい。

大人が寝苦しくなり、朝にシャワーを浴びたくなる頃はおむつを外すには調度良い季節です。

では、子どものおむつを外すべきサインはどのような物があるでしょうか。

皮膚科医編おむつはずしサインの確認の仕方です。

 

当然、子ども自身に聞いてもよくわからないでしょう。

しかし、その子のひふを見ると、「外そうよ」のサインがすでに出ていることがあります。

 

診察をしていると、2歳を過ぎてからは赤ちゃんの時と比べて

おむつトラブルの場所が変わって来ることに気が付きます。

赤ちゃんの時は以前の記事のとおり、外性器から肛門のまわりにかけて最もよく見られます。

しかし、2歳を過ぎると、おしりと(特に腰の)おむつギャザーの部分のトラブルが増えるようです。

また、形態も単純なかぶれと言うよりもアセモに近いような状態になるようです。

 

これは何を意味するのか?

一つ目は動きが活発になってきたためにおむつギャザー部分で皮膚がこすれてしまうのです。

そのため腰やふともものおむつのギャザー部分に痒みが出てしまい、

「手を入れてもぞもぞ」という行動が出てきます。

二つ目は、年齢があがることでおむつの中の体積も増え、同時におむつの吸収体の体積も増えますので、

ちょっとおしっこをしただけでは、おしっこが漏れる事がなくなります。

しかし、おむつの中はおしっこを1回するだけで湿度は100%になってしまい、

その湿度を原因としてアセモのような湿疹を作ってしまいます。

おもに腰のギャザーの部分から殿丘(おしりのほっぺ)部分にできることになります。

 

具体的に検証したわけではありませんが、二歳を過ぎるとこのような湿疹が増えるようです。

そうしたら外そうねのサインだと私は考えます。

しっかりとトイレに生き、おしっこやうんちをすること。

そして、おむつをしっかりと外すこと。

これは親としてのお仕事ですね。

大きくなってもずっとおむつでは居られませんから。

赤ちゃん、子どもの虫さされ

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今年は梅雨に入るのは早かったのですが、今のところは空梅雨です。

雨の降らない梅雨になってから、増えてきたのは虫さされです。

この虫さされ、症状の出方は年齢によって違うという話は聞いたことがありますか?

 

診察室でよく聞くのが、いつ刺されたのかわからないという話。

これは、大人と子供の虫さされに対する反応の出方が異なるから。そのために見当がつかなくなるのです。

大雑把に言って、

子供の反応は遅い。およそ半日から1日経過して症状が出てくる。しかし、反応は強く、時には水ぶくれになることもある。

大人の反応は早い。刺された後数分で症状が出るが、数時間で症状が引く。また、反応は弱く、刺されたところのみ赤くなるだけのことも多い。

参考までに

老人の反応はない。

どうも、この話は皆さん新鮮らしく、簡単に喩え話を交えてお話をすると、ウケることが多いです。

子供はけらけらと笑ってくれます。

 

では、なぜ、このような反応が起きるのか?

これは体の免疫の経験値によるものなのです。

本当はこの反応は年齢によって決まるのではなく、刺された回数によって決まります。

また、刺す虫の種類ごとにそれぞれ決まっているです。

したがって、真夏にアラスカにいたりすると、1年でまったく蚊刺症への反応が出なくなることもありますし、

引越しをしたら、すごく腫れてしまう(多分、その地域に住む種類の蚊に刺され慣れていなかったのでしょう)

などということも起こりうるわけです。

 

なので、刺された記憶が無いのも当然です。

診察中にその話をすると、大体「症状が出た前日」に虫に刺されるような行動を取っていたことが判明するのです。

子供の虫さされに気がついたら、昨日の行動を思い返す。

これが鉄則です。

 

あかちゃんのほっぺたの湿疹のなおしかた

テレビを見ていると、ついつい赤ちゃんが出ているシーンを見入ってしまいます。

職業病ですね。

雑誌や本でも赤ちゃんに目が行きます。

では、赤ちゃんのどこを見ているのか?実はほっぺたです。

 

赤ちゃんのほっぺたはもちもちつるつるしている。

これは意外とウソなのです。

いや、本当はもちもちしていますよ。理論的にも、もちもちしているはずなんです。

でも、実際に赤ちゃんをみてみると。結構な確率でほっぺたは荒れているのです。

テレビを見ていても・・・・・・ほら、ほんの少し赤いでしょ。

 

さて、このほっぺたの荒れはどこから来るのか?

大部分は乾燥と汚れからです。

乾燥についてはわかりますよね。冬にはみんな、肌が乾きますから、

汚れの原因はよだれ、汗、涙、ミルクや離乳食など。

皮膚に何かがつけばそれが汚れの原因になり、湿疹の原因になります。

いわゆる乳児湿疹やアトピー性皮膚炎の症状でもありますが、

その本態は汚れによる反応が大いにあると考えます。

 

したがって、対策はそれに応じたものになります。

ひっかきがある場合は湿疹の治療が必要になります。

しかし、ひっかきがない場合は、保湿剤/保護剤のみで症状が落ち着くことも大いにあります。

ただし、気をつけることは回数。

1日2回、3回では症状は落ち着きません。

回数の目標は1日20回です。

 

( ゚д゚) ・・・

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚) ・・・

(つд⊂)ゴシゴシゴシ

(;゚ Д゚) …!?

 

 

そんなん無理じゃん。

というツッコミが聞こえてきそうですが、よーく考えてみると、実はなんとかなってしまう回数です。

起きている時間には1時間に1回。

汚れるのがわかっている時、

授乳の前、離乳食の前、お出かけの前と後にそれぞれ1回ずつ。

これで20回になります。

 

つまり、高校生の時を思い出してくださいと。

高校の時に休み時間のたびにリップを塗っていた。

この行動を子供のためにしてあげて下さい。

こう考えたら、大丈夫そうになってきませんか?

 

回数は頻繁に。では1回あたりの塗る量はどうしたら良いのか?

これは薄くて構わないでしょう。

つまり、汚れるのがわかっているので、薄く塗る。

その代わり、ほっぺたを拭いたらすぐに塗り直す。

これをしっかりと繰り返すことが大事です。

逆に厚塗しても洋服についてしまうだけですからね。

 

実際に診察をしていても、ほっぺたのぬる回数と

ほっぺたの乾燥具合や湿疹の出方には関係があるようです。

もちろん、塗る回数が多ければ、出にくいようですよ。

 

ウチの子のほっぺたの乾燥が気になると方はぜひ試してみてくださいね。

 

耳切れのなおしかた 成人編

3回続いた耳切れの話ですが、最後は成人編です。

 

大人の方でも耳切れに悩んでいる方は沢山います。

その方の診察をしていると、ひとつの共通点が浮かび上がってきます。

それは、洗っていないこと。

特に若い女性と中年以降の男性に多いのですが、

それぞれ洗わない理由には違いがあるようです。

 

若い女性の場合は、耳を洗うのが怖いこと。

中年以降の男性の場合は、耳を洗い忘れていること。

です。

 

特に男性の場合、皮脂の分泌がとても強いです。

そのため皮脂によって耳が赤くなり、耳切れもできてしまうのです。

いわゆる脂漏性湿疹が原因となり、耳切れが起こります。

また、洗わなければ皮脂や汚れが耳についてしまい、湿疹になります。

いわゆる、接触皮膚炎。かぶれた状態です。

 

今出ている症状を抑えるためにはステロイドをしっかりと塗ることが必要ですが、

今の症状を抑えるだけではすぐにぶり返してしまいます。

予防のためにはしっかりと洗うことが大事です。

石けんの泡をしっかりと付けてしっかりと洗い、しっかりと流すこと。

これを毎日きちんと行うだけで少なくともぶり返しにくくなります。

また、以前の記事に書いたとおり、顔や頭の湿疹が気になる方は

朝のシャワーもためしてみるといいかと思います。

 

ちょっとした毎日の生活習慣で症状を抑えることが可能です。

ぜひお試し下さい。

 

耳切れのなおしかた 小児編

次は小児編です。

 

耳切れは1歳、2歳児に見ることは少なく、逆に幼稚園から小学生に見ることが多くなります。

また、その時期の耳切れは男の子の方が明らかに多くなります。

 

これもまた、耳切れの出来る原因が密接に関係しています。

 

この時期の耳切れの原因はこすれと汚れです。

では耳はなぜ洋服とこすれるのか。

これは洋服を脱がせるときにこすれてしまうのです。

男の子の方が乱暴に洋服を脱いで/脱がせてしまう。

2枚、3枚同時に脱いで/脱がせてしまう。

そのために耳タブが引き伸ばされ、耳が切れてしまうのです。

また、女の子の方が前開きの洋服をボタンで着せていることが多いようです。

これがひとつ目の理由です。

 

では汚れはなぜか。

当然外で遊べば全身が汚れます。

男の子の方が汚れが強いのが一つ。

その汚れでかぶれてしまうのは前の記事と一緒です。

もう一つは入浴です。

大きくなって一人で入浴するようになる。

その時、女の子の方がしっかりと洗う。しっかりと石けんをつける。

そのため、汚れが落ちやすいのです。

これが2つ目の理由です。

また、男の子に症状が多い理由でもあります。

 

 

対策はどうするか。

これも毎日の生活、スキンケアの話が大事なります。

 

まず、しっかりと洗うこと、しっかりと流すこと。

これは前の記事と同じです。

もう一つ、洋服に気を配ること。

可能なら前開きの服にする。つまりトレーナーのような、頭からかぶる洋服を止め、

シャツのようにボタンで止めるようにすること。

また、2枚以上まとめて脱がすことをやめる。

 

これだけでみんな良くなることがあります。

もちろん、落ち着かないときにはステロイドも使いますけどね。

 

次は成人編です。

 

耳切れのなおしかた 乳児編

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耳が赤くなり、じくじくする。いわゆる耳切れですが、

この症状を訴えるかたは沢山います。

しかし、この耳切れも、小さなことの積み重ねで抑えることができることを知っていましたか?

注:今回のお話の「耳」は外耳道は含んでいません。

 

赤ちゃんの耳切れ、多いですよね。

町を歩いていても赤ちゃんの耳が切れている子を見ることがあります。

それだけ出ている子が多いのでしょう。

また、アトピー性皮膚炎の症状の一つとして耳切れをあげる人もいるため、

不安になって話を聞きに来る人もたくさんいます。

果たして、耳切れ=アトピー性皮膚炎でしょうか?

 

私はその考え方に反対です。

理由は、簡単に症状を抑えることができるからです。

もちろん薬を使わずにですよ。

 

診察室に来る子で耳切れを見るのは早くて生後4週間から。

1歳くらいまではすべての年齢の子で見ることがあります。

ただ、その子達に共通する特徴があります。

ほっぺたもベトベトしていること、眉間がザラザラ、ベトベトしていることです。

赤みがある子や引っ掻いている子もいます。

 

なぜ、耳とほっぺたと眉間に同じような症状が出来るのか?

原因は同じだからです。

つまり、この3つの症状は「かぶれ」により起きたものとだと考えます。

では、何に大してかぶれたのか?これは汗、よだれ、涙、皮脂です。

 

耳は皆さんが考えているに汚れています。

例えば横を向いている時に泣いたら、高い確率で涙が耳に流れます。

よだれも同様です。

また、特に生後3ヶ月までは皮脂の分泌が多く、特に耳の皮脂の分泌はより多くなります。

そのため、耳は皮脂のベタベタと、涙や汗のベタベタが混在した状態になるのです。

その色々なまざりものに対してかぶれてしまい、耳は赤くなり、耳切れが生じるのです。

 

では、どうしたら良いのか?

かぶれの治療の原則はその原因を減らすこと。

かぶれの症状の強さは刺激の強さ×刺激の持続時間で決まります。

ですから、一つは刺激を弱くすること。

これは保湿をしっかりと行うことです。

また、過去から積み重なった刺激となるものを除去する必要があるのです。

つまり、石けんをしっかりと使って洗うことなのです。

石けんの量はそれぞれの耳をおおうようにポンプ1回分。

(余談ですが、赤ちゃんの石けんは泡で出るポンプ式液体石けんをおすすめします)

その泡が耳を覆うように載せます。

ついで泡を使って耳の表面をしっかりと洗います。耳の後ろも同様に荒れることが多いので、洗いましょう。

最後にシャワーで石けんの泡をきれいに洗い流します。

また、シャワーができない状況でも、汚れていると思った時には洗面所に連れて行って

流水で洗い流して下さい。

 

 

と、ここまで話すとほぼ全員に聞かれるのが、「耳の穴に水が入るのが心配」ということです。

これについてはお風呂場から出た後に、綿棒で耳の中を掃除して水をとってあげればそれで十分です。

赤ちゃんは生まれた時にすでに鼓膜は出来上がっています。

中耳炎でチューブを入れている子以外は外耳から入った水が耳の中に入ることはありません。

また、耳の中に入った石けんで湿疹になることもほとんどありません。

少なくとも石けんを使わない子が耳切れになるよりも確率は低いです。

 

もちろん、湿疹が強ければ、ステロイドの塗り薬を使って症状を抑えることもあります。

しかし、湿疹の原因が刺激によるかぶれである以上、それを予防しなければすぐに

ぶり返してしまうのです。

症状を抑えることも大事ですが、症状が出ないようにしっかりと予防することも大事。

しっかりと石けんをつけて洗うだけで症状が抑えられるのなら、そのほうがいいと

思うんですけどね。

 

もしも、詳しい話を聞きたいという方は一度受診してみてください。

皮膚科医が食物アレルギーの最初の症状について考えてみた

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よく、「食物アレルギーの最初の症状は皮膚に現れる」とされますが、

一部は本当で、一部は誤解もあるようです。

 

食物アレルギーの皮膚症状は多くは蕁麻疹という形で現れます。

湿疹の出現、悪化という形で出ることもありますが、

頻度としては、蕁麻疹よりも明らかに少ない印象があります。

また、顔の湿疹と食物アレルギーの関連についてはあてにならない印象です。

 

食物アレルギーと皮膚の関係性については、大雑把に言うと、

1)アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)に接触すると悪くなる。

2)除去すると良くなる。

の2つを確認しない限り、関係性があるとは言えないのです。

 

まず、最初の症状の蕁麻疹ですが、これはアレルゲン摂取したらすぐに始まります。

場所はまず唇、ほほ、あごからはじまり、顔面全体、頸部に広がっていきます。

更に時間がたつと全身に蕁麻疹が出ることがあります。

これはアレルゲンが最初に口の粘膜に接触し、アレルギーの症状を引き起こすからです。

 

これに対して、湿疹の反応は数時間を経過してからのことが多いです。

原因はアレルゲン自体の場合もありますし、

全身の免疫・アレルギー反応が強くなり、結果としてもとから存在している湿疹が悪化した

と考えられることがあります。

このことから分かる通り、時間が経過しているので、直接的な因果関係がわかりにくいこと。

また、再現性が少ないこと。

から、湿疹と食物アレルギーを明確に区別するのが大変になってしまいます。

診察をしていても、塗り薬やスキンケアをきちんとしているのに症状が落ち着かないことから

食物アレルギーを疑うという流れになります。

そのため、食物アレルギーを診断するまで数週間はかかってしまいます。

 

しかし、顔の湿疹と食物アレルギーはあまり関係なさそうです。

その理由は顔の湿疹の子があまりにも多いからです。

心配される方は、顔の湿疹が治らない⇒食物アレルギー

と考えるようですが、顔の湿疹が治らない理由は他にもたくさんあります。

まず、その他の原因をすべてなくして、湿疹そのものを落ち着けないと、

食物アレルギーの有無を見極めることはできません。

まず、しっかりとしたスキンケアをし、塗り薬で湿疹を落ち着ける。

その後、症状の変化と食事の関係を考える

という手順を取らねば、食物アレルギーか否かの判断はできないのです。