わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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ブログ
わかばひふ科クリニック院長野崎誠(皮膚科医)及びスタッフのブログです。

医療の事、病気のことだけではなく、子どもに関する話や
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2017/3/14
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長期休みには眼科受診を

今日はアトピー性皮膚炎のお話です。

時間があるときには体をしっかりとメンテしましょうねというお話です。

 

アトピー性皮膚炎は一般的には皮膚だけの問題とされています。

もちろん別にアレルギーがあればそれはそこで治療をしっかりと行うべきですが、

アトピー性皮膚炎の子が皮膚科以外に受診をしたほうが良い科がありまして、

それが眼科なんですよね。

 

アトピーと目の関連、それはアレルギー性結膜炎だけではありません。

目の周りの湿疹、及びその湿疹治療薬のステロイドという問題があります。

 

特に目の周りの湿疹が強い子については、目を引っ掻いたり、叩いたりすることが往々にしてあります。

そのために目にも強く影響が出てきます。

まず起こり得るのは白内障。

こちらは目の周りをいじることだけではなく、アトピー素因がある場合がそもそも白内障になりやすいとされています。

もう一つは網膜剥離。

こちらはかゆみで目を叩くことが原因となります。

 

もう一つ、治療に伴い目で問題になるのは緑内障です。

こちらはステロイドの塗り薬に伴う副作用と考えられます。

どうしても眼圧が上がってしまうのですよね…

 

 

このようにアトピー性皮膚炎そのもの及び治療によって、目には様々な副作用が出てきます。

そこで問題になってくるのは目の症状の出方でして。

目の症状はかなり進行してから自覚症状は出てくることもあります。

その段階で対応しようとしても難しくなることが往々にしてあるのです。

つまり症状が出る前から定期的に症状を確認する必要があるのです。

そう。定期的に。

 

ということで夏休みの時間があるときには一度眼科の受診をすることを推奨します。

ただ、小さな子の目を診察するというのはある意味特殊技能ですので、

年齢によっては近くの眼科の先生では対応できないということもあるかもしれません。

その場合は声をかけていただければ少し離れたところにはなりますが、小児眼科専門の先生に紹介させていただきますね。

 

アトピー性皮膚炎の方は大人、子供を問わず、

年に最低1回。できれば2回は眼科で診察を受けてくださいね。

眼科の先生には、「アトピーがあるから目を診察してもらいなさいと皮膚科の先生に言われましたー」

と言えば、必要なポイントをしっかりと診察してくれますからね。

時間のあるときに、「症状が出ていない」ことをしっかりと確認していきましょうね。

保湿剤を卒業するというお話

今回は保湿剤のお話です。

保湿剤の卒業シーズンはいつか?と言われたらそれは「夏」なんですよ。

というお話。

 

夏も真っ盛りになりました。

そうすると、汗疹だったり虫刺されだったりで受診される子達も増えてきます。

その時の患者さんの名前をみて、「おっ」と思うこともときにあります。

そうなんですよ、赤ちゃんのときにアトピーとか乾燥肌で何回も受診されていた子が

久しぶりに来院したりするんですよ。半年ぶりとかに。

 

で、診察をするわけですね、虫刺されや汗疹などの。

その後処方の段階になったときに保護者の方に言われるのが

「保湿剤も一緒にください」という一言。

 

そこでもう一度全身の皮膚を触って確認するのですが、乾燥はだいぶ落ち着いています。なので、

「保湿剤は要らないですね」

「保湿剤はもう卒業していいと思いますよ」

というとびっくりされるのですが。だって夏ですし。

 

 

アトピー性皮膚炎や乾燥肌がなぜ起きるのか。

いろいろな理由はあるのですが、一つの原因に皮膚の生理的な乾燥があります。

生理的というのは誰にでもあること。

つまり、小さな子というのは年齢が低いがゆえに皮膚が乾燥しているのですね。

裏を返すと年齢が大きくなるにつれて皮膚の乾燥はなくなっていくものなのです。

これがアトピー性皮膚炎の一つのポイントになります。

子供のアトピーは年齢とともに良くなる子が多い。

でも大人のアトピーは年齢が上がったから良くなるわけではない。

という違いの理由ですね。

皮膚がしっかりしてくるので、湿疹ができにくくなるというわけです。

あとは季節。厳密には空気中の湿度によるのですが、

日本だと夏は高く冬は低いということになります。

皮膚というのは体の中と外つまり環境との境目に位置しますので、

環境の乾燥の影響を受けます。

そのために乾燥した冬は皮膚も乾燥方向に持っていかれるんですね。

つまり夏は乾燥しにくいわけです。

 

この年齢と季節の話を総合すると、

冬に乾燥し、夏に乾燥がなくなることを毎年繰り返しながら

年齢が上がるに従って乾燥しにくくなって大人の肌になっていく。

ということになるのです。

 

したがって夏は保湿剤が要らなくなってくるわけですね。

しかもしばらくぶりに受診をしたという子はそれまでの数カ月間は落ち着いているわけです。

だから、まず保湿剤は卒業してみる。

その後様子を見て、悪くならないならそのまま保湿剤は使う必要はないし、

乾燥が出てくるなら保湿剤は使用する。

その後、季節が冬になって乾燥するのなら保湿剤を使用する。

という流れにしたほうが良いと考えています。

そもそも保湿剤を使わなくても問題が起きないなら使う必要はありませんし、

保湿剤を塗るということが金銭的なコストだけではなく、時間とか手間という目に見えないコストも発生しているわけですから、

使わなくて済むなら使わないというのが合理的です。

 

(なお、症状が何もなくても保湿をしたいという考え方はある程度合理的だとは個人的には思いますが、

症状がないのに保湿をするというのはそれはもう医療ではなくお化粧品、美容の考え方なのですよ…

それには医療保険を使うことができません、薬局などで保湿剤を買ってくださいという話になるのです)

 

そんな理由があるので、夏は保湿剤を(とりあえず冬までは)卒業しましょうということが多いですし、

それは夏でないと言えないセリフだということをわかっていただけるとありがたいのです。

足の裏の多汗症の治療法について(2024年8月)

先日子供の足の裏の皮剥けについてお話をしました。

その原因の一つに多汗症を上げたのですが、今回はその足の多汗症についてのお話です。

なお2024年8月時点での状況になりますので、今後新規治療薬が出る可能性がありますので、

そちらはご注意ください。

 

足の裏の多汗、いわゆる足底多汗といいますが、悩んでる患者さんは結構多いのです。

統計によると、手のひらとワキについて3番目だとか・・・

 

ただ、まず外来で積極的に話を聞くことは少ないのが実情ですし、

汗をかくけど気にしていないという方も多そうで、実際の所どれだけの患者さんがいるのかというのは多分わからないです。

しかし、外来でイボや水虫の処置をしているときに足の裏の汗が多いなあと思う方も多くいるのが実情です。

 

多分いるけど、気にしていない方も多いので、実数はわからない。

というのは本当のところでしょう。

 

 

では、気になっている方の治療法にいいのはあるのか?

というと、実は心もとないのが現状です。

保険診療、いわゆる病院で処方できる塗り薬というのは実はゼロ。

というのが現在の状況です。

現在いくつかの薬剤の治験が行われているというお話もありますが、

まだ市販には至っていません。

あとは抗コリン薬の飲み薬というのもありますが、足の裏だけのために

飲み薬を飲むというのもねえ。と言われるとそのとおりですし、

実際に副作用も全身性のものが出る可能性があります。

また現在品薄でおくすりがないと薬局で言われたこともあったり…

あとは処置としてはイオントフォレーシスが一つの方法でしょう。

足の裏を水につけて軽く電流を流し、それにより汗の出が落ち着くという方法ですね。

こちら、一応医療機関でも行えることにはなっていますが、ほとんどの皮膚科では導入していません。

うちもまだ導入はしていないですね。

あとの問題は時間がかかること。数分以上は必要になるようです。

(だから医療機関では設置されていないという面もあります)

自宅でも出来るようですので、購入して自宅で試してみるというのも一つでしょう。

自費の治療といえば塩化アルミがあります。

こちらはどの部分にも使えるので当然足にも使用可能ですね。

ときに刺激が出たり、負けたりすることもありますが、確率はあまり高くはないです。

ただ、効果は処方薬に比べて落ちますし、何回も塗らなければいけないのでそういう意味では少し手間がかかります。

そういう欠点はありますが、現在では最も容易に手に入りますので、もしも気になっている方は

一度試してみても良いかもしれません。

 

治療法について簡単に説明しました。

結局のことろ、すぐに使える効果の出る治療法というのがないので、治療しない。

治療できないなら気にしても仕方ない。

気になっても方法がないなら諦める。

ということで悩んでる方は多いのかもしれませんが、現状では治療に繋がらないので諦めている

そのようなパターンに入り込んでいるのかなあと思っています。

 

しかし、今後は薬剤の開発も進むでしょう。

その時にはこちらのブログで情報提供をしていきたいと思います。

 

今回は多いけど諦められている?足の裏の多汗症のお話でした。

 

手足口病、爪の変化が出てきました(2024年8月)

今回も手足口病のお話です。

 

先月にも簡単に説明しましたが、手足口病の今年の流行は爪に影響が出るパターンのようです。

実際に外来でもそのようなケースに遭遇してきました。

 

手足口病はいくつかの種類のウイルスが原因となり発生します。

その中でもコクサッキーA6型を原因とする手足口病は、発生してしばらく立った後に

爪に影響が出ることが以前から知られていました。

またコクサッキーA6型手足口病はその他にもいくつかの特徴が知られています。

 

そして、今年の手足口病はどうもこのコクサッキーA6が原因ではないかと症状から考えられてきました。

そうすると一つのポイントとして爪の脱落が起きるのかということになります。

この反応は感染してからしばらく立って、概ね1ヶ月ぐらい経過して出現するのですが、

最近の外来でこのような変化が出た方が出現してきましたよ。というお話です。

 

つまり、予想の通りのウイルスの感染が原因となるわけです。

 

 

ではこの爪の変化はどのようなことが起きるのか?

まず、爪の一部が浮いてきます。爪の中途から丸い形の白く濁った爪が出てきます。

実はこれは爪が皮膚にくっつかずに浮いている様子を反映しているんですね。

また、爪の根元が同様に白く濁って浮いてくることもみられます。

こちらは同じ反応が爪の根元で起こっている様子。

そして、それが爪の伸びと伴い、かぱかぱ浮いてきます。

途中で浮いた爪は側面まで浮いている状態が拡大し、どちらかの端だけで爪がくっついているようになりますし、

根本が浮いた爪は、先端部だけでくっついているように見えます。

そして最後に爪を何処かに引っ掛けた拍子にポロリと落ちる。

という流れで症状が出てきます。

 

その後は、何事もなかったかのように新しい爪が生えてくることがほとんどなので心配はいらないのですが、

爪がポロッと行ったらそりゃあびっくりしますよねえ。

 

 

対応は…残念ながらありません。

一度浮いた爪がもとに戻ることはありません。なので、剥がれるのを待つ形になります。

なので、どれだけ良い状況で剥がれるかという状況になります。

浮いている爪を引っ掛けて剥がして出血するというのが一番良くないパターンですので、

引っかからないようにあらかじめ爪を切って整形して引っ掛けないようにすることもよくあります。

あとは段差をジェルネイルで埋めるとかですかねえ…

 

コクサッキーA6型の手足口病はこのように終わってからしばらく立ってから爪の症状が出てくるので

いやらしいんですよねえ…

今年は注意が必要ですね。

という話でした

 

日焼けかと思ったらりんご病でした…(2024年8月)

というケースを複数経験したので、簡単に解説します。

 

日焼けとりんご病。実は合併して出ることがありまして。

特にりんご病の顔や手足の発疹の出現のきっかけになるのは

陽に当たることだったりします。

(なお、ストレスや寝不足も同様に原因になるのですが、

今回の話の趣旨とは変わるので割愛します)

 

ではひやけとりんご病の発疹の出方はどのように違うのか?

まず顔から

・日焼けの主体である、鼻の頭、おでこにはりんご病では症状はでない。

・下顎、口の周りにもりんご病の症状は出ない。

・日焼けするときは唇もがさがさになるが、りんご病ではきれい。

次に体の方も

・首の後ろにはりんご病では症状が出ない。

腕についても同様に

・日焼けはベッタリとした赤み。りんご病は網状の赤み。

・りんご病では手の甲に赤みが出ることはあまりない。

ですね。

 

理由としては日焼けは露光部に照射量に比例して症状が出るのに対して

りんご病は出る部位が決まっていること、特に腕足では網状に出ること

の違いがあります。

りんご病の赤みがなぜ出現するのかはわかっていませんが、

ウイルスが壊れたあとの欠片によるアレルギーと考えられています。

そのため血管の位置に合わせて症状が出てくる可能性があります。

 

確かにどちらも日にあたったあとに症状が出るのが特徴ですが、

日焼けとりんご病の発疹は細かく見ていくと少し違うことがわかるかと思います。

ただ、パット見ではわかりにくいかもしれませんね。

もしもどちらかわからなくて気になる方は一度皮膚科にご相談ください。