わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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ブログ
わかばひふ科クリニック院長野崎誠(皮膚科医)及びスタッフのブログです。

医療の事、病気のことだけではなく、子どもに関する話や
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2017/3/14
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アトピーは秋に2回悪化する?

今回はアトピー性皮膚炎のお話。

その中でも学生さん以下の年齢のお話になりますかねえ?

 

秋のアトピー性皮膚炎。

季節の変わり目にはアトピーは悪化しやすいと言うお話はよく耳にするかと思います。

ただ、秋に関しては悪化のポイントは2つ有るのですよ。

簡単に説明をしていきましょう。

 

一つは気候変動によるものです。

大体9月終わりから10月にかけてですが、気温が下がるとともに湿度が徐々に下がります。

そのため乾燥が強くなり、アトピーが悪化します。

一般的に言われる秋のアトピー悪化というのはこのことを指すことが多いです。

対応としてはしっかりと保湿をすること、保湿剤そのものを夏用から冬用に切り替えることでしょうね。

 

ただ、秋の悪化にはもう一つあります。

こちらは先の気象条件とは異なる社会的なものです。

つまり、9月1日。

いわゆる夏休みの終わりですね。

もっとも最近の学校は8月中に2学期が始まるところも多いので、

以前よりは幅が出ますが、夏休みの終わりから学校の始まりにかけては

悪化するパターンが多いようです。

こちらの原因は実は難しく、いろいろな要因が考えられます。

一つはスキンケアの低下。

夏休み中に毎日シャワーをしていた子が2学期になって止めてしまう。

ということも往々にしてあります。

そのために悪化する可能性があります。

あとは、睡眠不足やストレスですね。

夏休みの宿題の仕上げだったり学校の準備だったり。

睡眠時間は短くかつ不規則になる子も多いでしょう。

学校に行くこと自体がストレスになる子もいるでしょうし、

心理的な障壁がなくとも生活習慣が変わりますからそれはストレスになります。

そのために湿疹が悪化するということもあります。

最後、受診できない問題ですね。

忙しく、やることがおおい新学期当初は物理的に時間が取れないとか、

保護者側もバタバタするために受診がなかなかできないということになりがちです。

そのために薬がなくなってもそのままになってしまう。

という問題が発生し、結果的に治療強度が下がるから湿疹が悪化するということになります。

 

そういったわけで、空気の乾燥の時期は要注意ですが、

夏休みの終わりから二学期の始まりは子どもたちのアトピーにも負荷がかかりますので、

要注意ということになるのです。

 

秋も少しずつ顔を出してきた気候ではありますが、しっかりとケアは続けていきたいところです。

秋に流行する皮膚病って何がありますか?

今回は秋のお話。

もうそろそろ夏もおしまいですからね。

 

秋に流行する皮膚の病気はいくつかありますが、

代表的なものはこの3つでしょう

・いぼ

・みずいぼ

・しらみ

この3つは夏にすでに種がまかれているのですよ。

 

種がまかれていると言っても植物のように本当にタネがあるわけではありません。

原因となる微生物はすでに取り付いているというお話です。

いぼはイボウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)

みずいぼは水イボウイルス(伝染性軟属腫ウイルス)

しらみはシラミ

ですね。

 

いずれも潜伏期間を持って発症する病気です。

潜伏期間というのは感染が成立してから症状が出るまでの時間のことですね。

いぼとみずいぼはウイルスが皮膚に感染して発症するわけですが、そのウイルス粒子は非常に小さいので

当然目には見えません。

ウイルスが多く出現し、皮膚に変化を起こして初めて症状として捉えることができます。

そういうタイムラグが生じるのが特徴です。

シラミは逆に目に見えます。

ただ、隠れるのは上手なので、シラミが取り付いた段階では目で見つけることはまず不可能。

ではなぜ症状が出るかというと、シラミが頭皮から血を吸う。その時皮膚に入るシラミのタンパク質に対する

アレルギーとして痒みが生じるんですね。

つまり、刺された当初は何も起きないのですが、何度も吸われるうちにある日突然アレルギーが成立する。

そのために症状が出る。

ということでしらみが取り付いてから症状が出るまでの時間差が潜伏期間ということになります。

 

でき方は違うとは言え、潜伏期間はそれぞれ数週間暗いと考えます。

つまり秋に流行する病気というのは今頃に感染が成立している可能性が高いというわけです。

秋の病気は夏に始まっているわけなのです。

毛虫の季節がやってきました?(2024年8月)

毛虫の季節がやってきたんでしょうかねえ?

 

今回は毛虫の話です。

 

毛虫による皮膚炎というのがあります。毛虫の毛が皮膚に刺さり、アレルギー反応を起こすわけですね。

ちなみにこの皮膚炎を起こす毛虫は蛹にも成虫になった蛾にもその毒針があるのですが、

数からいうと毛虫の毛の数がダントツで多いのです。

その毛虫皮膚炎の患者さんを目にするようになりましたというお話です。

 

毛虫皮膚炎は年に2回春と秋に発生します。

問題はシーズンごとに発生量が大きく変わること。

つまり、患者さんが多く受診するシーズンと全然受診しないシーズンがあるのです。

今年の春は全然受診しないシーズンでした。

秋はどうなるのかというとまだまだ読めないのです。

ただ患者さんが来ましたよというお話。

しかし、この時期は帰省先で発症して帰って来る方も多いので東京で発生しているかというと

そこがまだわからないんですけどねえ…

 

ただ、毛虫皮膚炎の特徴として、

特に体の一部に密集し、その集中部分から離れるに従って徐々に密度が下がってくる。

そしてとてもかゆい。

そんな発疹を見たときには毛虫からの皮膚炎を疑ったほうが良いのです。

これから増えてくるかもしれませんので要注意ですね。

食物アレルギーの子の「許容量」と「許諾量」のお話

今回は食物アレルギーのお話です。

といっても専門家と言には詳しくはないのでざっくりとしたお話になるのですが、

家族や周りの食物アレルギーを持っている子やその保護者と接するうえで

知っているとお互い楽になるお話をしようかと思います。

 

食物アレルギーとはある食品を食べると極微量でアレルギー反応が起きて

困ってしまう病気と考えてよいかと思います。

こちらアレルギーなのでざっくりと微量で症状が出るのですが、その量というのは個人によって異なります。

つまり、それぞれの食物に対する「許容量」があるんですね。

これを超えると症状が出る。だからダメ。

という制限量になります。

これは医学的なものであり、かなり厳密なものです。ちょっとでも超えるとダメなこともあります。

 

ただ、人間は機械ではありませんので、そんなにはっきりくっきりと区別出来るわけではありません。

この許容量も状況によって多少変化します。

例えば、風邪を引いているとき。

例えば、疲れているとき。

例えば、喘息など他のアレルギー症状が出ているとき。

そういった時にはこの許容量が下がることが起こります。

つまり、「いつもは大丈夫だったのに今回は…」というパターンですね。

 

また食品側の問題もありますね。

旬の季節にはタンパク質の量や濃度が増える。そのためにタンパク量では変化がなくても、

それを含んだ食品の許容量が変わるということもあります。

同じ食品でも銘柄や産地が変われば、その成分量も変わる可能性もありますよね。

 

このように一般的には固定された数字と思われる「許容量」も状況によってブレてきます。

そうなんです、これは決まった数字のよう見えるけど、ある程度の幅が実生活上では出てしまうものなのです。

 

 

 

このような状況によってブレる「許容量」を見ている保護者の方はその時の状況によって食物摂取量に制限を更にかけるのです。

つまり予防的に数値を変えることにより、食物アレルギーの発症を抑えようとするわけですね。

実に合理的な方法だと思います。

この保護者により安全率を加えて出された量を今回は便宜上「許諾量」としましょう。

なので、この「許諾量」は完全に社会的な数値になります。

まあ一般的に考えて「許諾量」は「許容量」と同値か、それ以下になるわけですね。

 

そして、この食物アレルギーの「許諾量」は「許容量」以上にダイナミックに変化する数値でもあります。

では何によって変化するのか?

保護者の主観的な考え方で変わります。

例えば周囲の医療状況。

病院はそばにある?救急車はすぐに来る?知っている先生に見てもらえる?

という条件を確認し、問題があるなら「許諾量」を下げることにより食物アレルギーの発生を予防しようとするわけですね。

極端なことを言えば、朝昼と夜とで「許諾量」を変えることもあります。病院が空いているか否かというのは大事ですから。

同様に周囲の環境によっても変わります。

保護者が近くにいるかいないか。医療従事者がすぐに対応できる環境にあるか?でも「許諾量」は変わりますよね。

実際に保育園幼稚園小学校でも、一応食べられるけど、対応リスクはあるので食事は制限しますというお話もよくあったりするのです。

例えばキャンプに行って誰も対応できないのに食物アレルギーが出たら…いかがですか?

危ない橋はわたりたくないですよね。

 

というのが保護者の主観的・社会的な「許諾量」の考え方になるのです。

つまり、

食べられる=食べさせる

ではないということは普通に起こりうることなのです。

食べられる。けど、状況を考えて食べさせない選択をする

ということもあって当たり前なのです。

 

食物アレルギーについて全くわからない。

ということは今ではだいぶ減りました。

根性や気合で乗り切れるものではないということも理解していただけるようになったなと思います。

ただ、今まで大丈夫だったから今回も大丈夫。

では無いということ。食べられるけど食べさせないという選択をすることもあるんだということ。

これは理解してほしい事柄かなあと思います。

 

ちょうどお盆の帰省で帰省先の両親・義両親との間で板挟みになっている

食物アレルギーの子持ちのお母さんの声が聞こえたので、

簡単に解説してみました。

 

まず保護者の意見を聞いてからにしてくださいね。

円形脱毛の「治っています」はどこを見ているの?

本日は円形脱毛症のお話。特に治療についてです。

 

円形脱毛症の治療をしているとき、治っています/治っていませんという位置が

患者さん本人の指摘とこちら側の指摘が微妙に異なっていることがよく見られます。

それは多分見ているものが違うからなんですよねえ。

 

では、患者さんの「治っている」はどこを見ているのか?

それは髪の毛が生えてきているかどうかです。

そりゃあそうだと思うかもしれませんが、それを厳密に見ていくと、

「しっかりとした太い毛が」「それなりの長さ生えてきて」「頭皮が隠れること」

という3条件を満たして初めて生えてきている。という認識になるように思えます。

 

逆に、皮膚科医の治っている所見というのはもっとシンプルで、

「毛穴から髪の毛が顔を出しているか」

だけなのです。

 

この差が起きるのはどうしてなのか?

これはもう仕方の無いことなのですが、

患者さんが気にするのは見た目の話になるわけです。

見た目として円形脱毛が見えなくなるには髪の毛で頭皮が隠れなければいけません。

それに対して皮膚科医が気にしているのは、

円形脱毛症の異常な自己免疫反応が消えているかどうか?

なのですよね。

 

円形脱毛症で何が起きているかは実ははっきりとはわかっていませんが、

髪の毛の構成タンパクのなにかに対して自分の身体が自己免疫を起こしており、

白血球やリンパ球が髪の毛を攻撃し、そのために毛が細くなり、結果として抜けていく。

というように理解をしています。

そのため、自己免疫反応が起きているか落ち着いているのかが大事なポイントになってきます。

その時落ち着いているというポイントが、毛穴からきちんとした髪の毛が顔を出しているかという面なのです。

もちろん毛穴から髪の毛が出ていないければダメですし、

顔を出している毛の状況も確認し、きれいな形で伸びているということを確認する必要もあります。

ただきれいな毛が伸びていれば、現時点では自己免疫反応は十分に抑えられているということも確認できます。

つまり、今後は良くなってくることが十分に期待できるということがわかるのです。

 

このように、円形脱毛症が治ってきているかを確認するポイントは患者さんと治療者とでは微妙に異なるのですね。

なので、患者さんが治っていないように思えるポイントを、皮膚科医が「治っています」というふうに説明することも

往々にして出てくるのです。

簡単に言えば、皮膚科医は「今後落ち着いて髪の毛が生えてきますね」ということを「治っている」と表現し、

患者さんは「髪の毛が生えて症状がなくなった」のを「治っている」と表現するんですね。

皮膚科医は未来を見て治療効果を判断し、患者さんは過去を見て治療効果を判定しているといっても良いでしょう。

 

同じ病気、同じ言葉でもそれぞれ見ているものが微妙に違うというのも、

面白い話ではないでしょうか?