面積の広い円形脱毛症に対する内服薬としてオルミエントが使用できるようになり数ヶ月が経過しました。
当院では現時点において、以前より使用可能であったアトピー性皮膚炎の患者さんでたまたま円形脱毛症を合併した方と、以前より存在する広い円形脱毛症の患者さんそれぞれに数名ずつ使用しております。
今回はその印象についてお話をしていきたいと思います。
まずアトピー性皮膚炎の患者さんに合併した円形脱毛症について。
これらの患者さんは定期的に通院し、デュピクセントをすでに投与されている方でしたので、治療をオルミエントに切り替える形になります。
なお、デュピクセントと円形脱毛症についてはまだはっきりと関連はわかっておりません。ただ当院では円形脱毛症の悪化により治療を中断した方が以前におりました。
またアトピー性皮膚炎にはそもそも円形脱毛症を合併することが知られています。
今回治療を開始された方はすべて局所型。そして発症早期からの治療でした。
効果は皆さん数日で毛髪の発生開始しています。実際に2週間後に受信してもらった段階ですでに円形脱毛症の広い範囲に毛髪の発生が見られました。
そして全ての患者さんが毛髪の再生あり。満足して治療を終了と言う形になりました。
もちろんアトピー性皮膚炎が合併していますので、そちらに対して治療を継続していますが、なんとなく皆さんオルミエントを継続することも多いようです。
まあ、そうですよね。別の治療に変更してまた円形脱毛症を作りたくありませんよね。ということで内服の治療を継続するパターンが多いです。
次に広範囲の円形脱毛に対する治療についてです。
こちらの患者さんは先程のようには行きませんね。と言うのが現時点での感想です。
まず、生えてくるまでの時間が明らかに長いです。少なくとも2週間では出ることはありませんでした。
1ヶ月以上の治療によってはじめて発毛を確認できるというような状況です。
また生えかたのペースは明らかに遅いです。まずは一部分辺縁にわずかにぽちぽち。
産毛のような非常に細い毛がぽつぽつ生えてくるか、毛穴の中に少し黒いのが見えてくるかというくらいです。アトピー合併の患者さんのようにみるみるというペースではありません。
一言でいうと、手強いです。
実際に薬の説明書にも、「効果が出るまで時間がかかることがあります。36週は見てください」という意味の内容が書かれていますが、全くその通りだと思います。
とにかく時間はかかるので長期戦を覚悟する必要がありそうです。
結論です。
オルミエントは有効です。ただし、円形脱毛症の強さで効果の程度が変わってくる。
と考えてよいかと思います。
むしろ気にすべきは円形脱毛症の強さなのでしょう。同じ病名に同じ薬剤をつかってみてこれだけ症状の変化に差が出るのは正直予想外でした。
面積が広いほど、そして期間が長くなるほど治療の効果が現れるまでには時間がかかることが予想される結果でした。
この状況を見ると円形脱毛症の強さが逆に目立ちますね。
あとは可能であればもうちょっと狭い面積の円形脱毛症にも使えるように制限を緩和してほしいものなのですが・・・
むしろあまり面積の広くない円形脱毛症の患者さんにこそ使って一気に抑えてあげたい気がしますね。