わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

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夏の病気

松山英樹選手、リオ辞退。 虫刺されなら仕方ないのでは? その2:治療編

今回は前回に引き続き、虫刺されのお話です。

治療のお話ですね。

 

さて、虫刺されが強いなら治療をすればいいじゃないか。

というお話になったかと思いますが、

これも一筋縄ではいかないようです。

キーワードはドーピングです。

 

虫刺されの治療ですが、市販薬があるよね。と思った方。

実は市販薬は効果は低いです。

パンパンに腫れた虫刺されにはほとんど効果有りません。

 

病院では虫刺されに使用する薬剤は副腎皮質ステロイドです。

こちらは非常に良く効く薬です。

数日から長くても12週間の治療ですので、副作用の心配も特にありません。

一般の方でしたら。

スポーツマンに使う際もあまり心配のない薬剤とされています。

一般的なスポーツでしたら。

 

ただ、この薬、内服はドーピングに当たるために使用できません。

実際に、外来で処方する際に使わないでと釘を刺されたこともあります。

外用はOKなんです。血液には入らないために。

でも、たとえ外用であったとしても面積が広かったり、強い薬をガンガン使うと、

血液に入る可能性が出てしまいます。

そして、その境界線は読めません。

少量であればOKというのはそういうことなんです。

 

だから、読めない。

だったら、リスクを考えて使わない。

と考えるのもまた当然です。

 

では、ステロイド以外で抑えることができるのか?

正直厳しいです。

 

もう一つの治療法は抗アレルギー薬の内服です。

でも、こちらも問題あり。

 

と言うのは副作用で眠くなったりふらついたりすることも有るのです。

そして、炎症の抑制効果はステロイドの比べると弱いものです。

精密さ、集中を要する作業は多くの抗アレルギー薬では注意が必要と

説明書でも記載されているくらいですから

どうも、プロスポーツとは相性が悪いのです。

 

 

したがって、虫刺されの治療一つでも

プロスポーツの場合は一般的な方とは選択肢が変わってしまうわけなんですね。

 

いやあ、世界を股にかけて活躍するのも大変なんですねえ。

 

松山英樹選手、リオ辞退。 虫刺されなら仕方ないのでは? その1:症状編

すみません。ゴルフはやりません。

でも、今回のニュースに関してはゴルフをやっている人からの記事は沢山有るのですが、

虫刺されという観点からの記事がなかったので、書いてみました。

特にゴルフの知識での間違いについてはコメント欄で指摘していただければ幸いです。

 

簡単にまとめましょう。

ゴルフの松山英樹選手が今年の夏に行われるリオのオリンピックを辞退したとのこと。

理由としてはジカ熱の問題もありますが、もう一つ。

「虫刺されのアレルギーが強く出る」からというのが挙げられているようです。

 

では、皮膚科医の立場から少し見ていきましょう。

 

虫刺されの反応が強く出るとありますが、これにはいくつかの条件があります。

1)年齢

2)刺された虫の種類

3)刺された回数

の3点で決まります。後は体質も有るかもしれませんが、

こちらに付いてははっきりとはしませんのでおいておきましょう。

 

まず年齢です。

松山選手は現在24歳。若いですね。

しかし、若いということはアレルギーの反応が活発であるということでもあります。

勿論、アトピーや喘息などの何らかのアレルギー疾患の既往があれば

更にアレルギー反応が強く有ることも十分に考えられます。

したがって、年齢要因も無視できるものではありません。

 

次に刺された虫の種類です。

こちらは、全て細かく別れることに注意が必要です。

つまり、蚊は「蚊」に刺されたという種類ではなく、

「ヤブ蚊(ヒトスジシマカ)」か「イエ蚊(アカイエカ)」か?というレベルの違いでもありますし、

どうも、更に地域ごとの微妙な蚊の種類の違いも判断しているみたいなんですね。

つまり関東のヤブ蚊と東北のヤブ蚊の違いも体は別個のものとして判断している印象を受けるのです。

 

最後に回数ですね。

それぞれの種類により、反応が異なることは前項でかいたとおりです。

そして反応の強さは回数によって決まるものなのです。

つまり、初回は強い反応。

そして回数を重ねる毎に反応は弱くなるわけです。

(詳しく書くともう少し異なるのですが。過去の記事を参考にしてください)

 

これらの要因を総合的に考えると

「若い人が、初めて行った外国で虫に刺された場合は、

非常に反応が強く出てしまう」

という問題が発生するわけです。

 

松山選手はアメリカであれば何度も行っているでしょうし、

何回も虫に刺されているでしょう。

でも、南米であればそんなに旅行している回数も多くは無いと考えられます。

大きな大会が有るという話も聞きませんし。(情報求む!)

 

つまり、ブラジルに行った場合、単なる虫刺されでも

大きな問題になてしまう可能性は十分に考えられるのです。

 

え、治療すればいい?

いえいえ、そう簡単にはいかなさそうですよ。

 

次は治療について考えて見ましょう。

 

また蚊に刺されました・・・

下の娘の話ですがね。

また、蚊に刺されました。

ということでまた写真をとってその変化を見てみました。

 

今回は変化早いです。

刺された10分後にはすでに蕁麻疹用の発疹が出始まっています。

IMG_8445

周囲にも少し赤みが出ていますね。

 

そして1時間後。

すでに症状が完成していますね。

IMG_8447

 

いわゆる大人の虫刺されという状態です。

 

虫刺されの症状の出かたはRPGを想像すると良いかもしれません。

刺されるたびに経験値がたまり、ある一定以上になると

レベルが上がるというシステムですね。

 

レベルとその症状は以下の用になります。

レベル1:無反応

レベル2:即時型反応- 遅延型反応+

レベル3:即時型反応+ 遅延型反応+

レベル4:即時型反応+ 遅延型反応-

レベル5:即時型反応- 遅延型反応-

です。

 

経験値はそれぞれの虫により違います。

また、同じ虫でも地域ごとに別途の経験値になるようです。

 

前回のブログの写真では

レベル2

ですが、

今回は

レベル3から4

位ですね。

 

もしかすると前回と今回では刺された虫の種類が違うかもしれません。

 

今回は小さな子が虫に刺された時の症状の出方に違いについてでした。

虫刺されも奥が深いものだったりするのです。

毛虫に注意!

いや、ここ2週間位でしょうか。

ものすごく増えています。

 

公園や生け垣に毛虫は居ませんでした?

庭や学校には?

見つけたら要注意。即刻駆除しましょう。

でないと、刺されます。

 

他の虫さされと異なる点は

毛だけが飛んで来ること。

です。

虫が見えなくても出ることがありますからねえ。

 

刺された後の家での対処はまず冷やすこと、洗い流すこと。

洋服に付いた毛は50度以上の熱湯に浸すことで無効化できるそうです。

洗濯することも有効でしょう。

 

あとはとにかくステロイドを塗って痒みを抑えましょう。

長くても1週間で治すことのできる病気です。

でも、途中は痒いので、なにはともあれ皮膚科を受診してくださいね。

 

生まれて2回めの虫刺され 3日目

前回の続きです。

その翌日の話ですね。

 

まだ触ると温かい感じは見られます。

しかし、刺し口周囲の硬さはなくなってきました。

痒みも全く無いようですね。引っかき傷もありません。

 

こんな感じです。

IMG_7846

赤みの真ん中のすこし硬い感じがなくなったことがわかりますか?

 

ピークは過ぎましたが、まだ薬は塗ったほうが良さそうな状態です。

早く治したいのであればなおさら必要ですね。

 

生まれて2回めの虫刺され 2日目

今回もまた下の娘の話の虫刺されの話です。

 

刺されたのは保育園での一時保育中。

プチ遠足に出て刺されたそうです。

 

当日の午後に痒がっていましたが、

2日目に入ってもう痒みは引いたみたい。

掻破行動もありません。

 

腫れ方は当日午後と同じくらい。

しかし、触った時のしこりは当日より2日目の方が強いようです。

こんな感じ。

IMG_7844

 

流石にあまり放置するのもよろしくないので、

very strongの強めのステロイドの外用を開始しました。

 

治るまでもう少し時間がかかりそうですね・・・

はじめての虫刺され

そろそろ2歳になる下の娘ですが、初めての虫刺されの洗礼を受けました。

散歩している時に刺されたようです。

 

現在の写真がこちら。

IMG_0771

だいぶ落ち着いていますが、まだ残っていますね。

 

刺された日ははっきりせず、翌日には虫刺されになっていました。

興味深いのは痒がっていないこと。

脇で見ている方が痒くなってくるくらいなのですが、

本人は至って平気な顔をしています。

それに油断をしていて、薬をほとんど塗らなかったら数日してこうなりました。

 

見事に色素沈着になっています。

この夏はしばらく黒いシミになってしまうでしょう。

 

早めにガッチリと薬を塗れば、多分ここまで残ることはなかったはず。

痒くはなくても皮膚の下にはしっかりとした炎症が起きています。

そして、そのままでは色が残ってしまいますので、

早め早めに治療を開始したほうが良さそうです。

 

というわけで我が家の虫刺されでした。

ちなみに姉と両親は未だに虫に刺されません。

・・・よっぽど美味しかったんでしょうね。

去年買った日焼け止めを使っていませんか?

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外来で診察をしていて気になったことです。

どうも去年買った日焼け止めを今年使用して荒れた人がいるようなんですよね。

昨年のものを今年使用することはお薦めしません。

 

日焼け止め自体でかぶれることはほとんどありません。

小さな子どもやアトピー乾燥肌持ちの子で経験しますが、

健康な大人ではまず見たことがありません。

でも、それは新品の場合。

劣化したものがどうなっているのか?

実はよくわかりません。メーカーでも把握していないかもしれません。

でも、化学物質ですから時間の経過とともに変性を起こすことは十分に考えられます。

チューブを開けると入ってきてしまう空気や酸素が原因だったり、

温度変化が原因だったり。場合によっては紫外線かもしれません。

 

化粧品やスキンケア用品だって化学製品です。

時間が経つと必ず変質する可能性は考えなければいけません。

ですから、きちんと新品を購入して、新しい物を使いはじめる。

シーズンが終わるときには余っているものは捨てる。

という風に、しっかりと後始末をすることが大きな予防になります。

 

だってねえ、

日焼け止めを予防するハズのスキンケア用品でカブレてしまって、

夏になる前から色素沈着を起こすなんて、イヤですよねえ。

 

というわけで、古くなったスキンケア用品はきちんと捨てて下さいね。

 

今年最初の虫刺されは悪くなる?

最近そのように思えるのですが、実際のところはどうなんでしょうか?

 

免疫反応としての虫刺されを考えてみましょう。

時間がある程度経過することにより、免疫反応が活性化されることは知られています。

特に円形脱毛症の局所免疫療法。通称かぶれ治療ですが、

どれだけ塗ってもかぶれる反応が無い方に対して数ヶ月間のインターバルを開けると、

再度かぶれるようになることが知られています。

 

同様のことは虫刺されでも起こる可能性があります。

したがってしばらくインターバルが空いた後に再度同じ刺激を受けると、

その前よりも強くなる可能性がある。

つまり、その年の最初の虫刺されが強くなる可能性は十分にあると思われるのです。

 

また、刺された側の要素も関係しているかもしれません。

つまり、刺される人が予想出来ていないこと。

だから、しばらくぶりの虫刺されに対して心理的に準備ができていないために

引っ掻いたり、動いたりすることにより、虫刺されはより強くなる。

という可能性は考えられるでしょう。

もう一つは薬の問題。

虫よけにしても虫刺されの薬にしても、現在手持ちはありませんよね。

なので、刺される、治らないというのもあるかもしれません。

 

こうして考えて見ると、明らかなデータはありませんが、

その年最初の虫刺されは悪くなる可能性は満載ですね。

 

というわけなので、最初の虫刺されは十分に気をつけて

しっかりと予防。しっかりと治療を行うようにしてください。

 

虫刺されが増えてきました

5月に入り、ゴールデンウイークが終わりました。

気温も徐々に上がってきたために虫の活動も活発になってきたようです。

 

東京都内での虫刺されが増えてきました。

まだヤブ蚊はいないようですが、

いろいろな虫刺されが出ています。

 

刺した虫の種類によっては長引くこともあります。

心配な時には早めに皮膚科を受診してくださいね。