わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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薬の話

オテズラの副作用が出る人は効果の高い人か?

今日は尋常性乾癬のお話です。

 

先日発売になり、処方を開始したオテズラ。

当院では数名の方に処方を行っております。

その方の1ヶ月内服した症状の変化、副作用の出方が分かってきました。

 

まずは効果。

一番効果の少なかった人で半減。

有効な人は8割以上の減少です。

当然ながら、塗すぐりの使用量も激減しています。

特にステロイドをストップできるのがありがたいところですね。

落ち着かない人にはビタミンD3軟膏を主体に使用するようにお話しています。

 

ついで副作用。

こちらも人に依るとしか言えないところです。

ダメな人はだめ。一日1回に減らした人も居ました。

でも、大丈夫な人は全く出ません。

出る人も内服期間が長くなるに連れて副作用は減少傾向にあるようです。

内服を減らさざるを得なかった人についても今後、副作用の推移をみて、

内服量を調節する予定にしています。

 

そして、効果の出方と副作用の出方ですが、

どうも、関連性が有るように思えたりもします。

まあ、処方数がそんなに多くはないのであくまでも印象に過ぎませんが。

効果の高い人は副作用も出やすく、辛い。

そんな傾向を感じるのです。

ただ、あくまでもこれは印象に過ぎないので、

もう少し長い間確認をしていく必要があるのですが。

 

でも使用した皆さんはずっと使いたいと言っています。

これは大したものです。

 

でも、問題点もあります。

まず値段。まあ、高いですね。

でも点滴や注射の必要な生物学的製剤よりは安いです。

あとは維持の仕方。

症状がなくなったら減らしていきたい所なんですが、

そのあたりについてはまだ何も分かっていません。

減らしてはいけないとメーカーさんは言っていますが、

今後の検討課題ですね。

 

副作用の多く出る薬ではありますが、

効果の面からは明らかに今までの薬とは別次元の印象を持っています。

まだあまり採用されている病院の数は多くないようですが、

乾癬の治療の一つとして考えてみても良いかもしれませんね。

 

ヒルドイドソフト/ヒルドイドローションをヴィーガンに処方する前には相談しましょう

今日も昨日の話の続きのようなものです。

 

ヴィーガンという考え方があります。

ベジタリアン(菜食主義者ですね)を更に強調した考え方でして、

動物由来のものを一切使用しないように使用という考え方です。

毛皮もダメ。脂もダメ。

ときには化粧品もダメと言う人もいます。

 

そうです、ヒルドイドの成分がその部分に関わってくるんですね。

つまり、ダメ。

とは限らないのは難しいところなんですが、

ダメな人もいる。

(ゆるい人もいれば厳しい人もいるのです。詳しくはこちら。)

 

こちらは宗教では無いので、結構幅の有る考え方なのですが、

ダメな人はダメ。

 

なので、この人たちには逐一確認しながら処方を行う必要があります。

まあ、当人もわかっていますから、予め窓口でお話をしてくれると思うのですが。

してくれるといいな・・・

 

問題になる可能性があるのも確かなので、しっかりと確認をしてから処方したいところですね。

 

ヒルドイドソフト/ヒルドイドローションをイスラム教徒に使用してはいけない

今回は国際化のお話です。

特に保湿剤のお話ですね。

 

ヒルドイドソフトあるいはヒルドイドローションですが、

保湿剤としては非常にポピュラーな、良くみかけるお薬ですね。

実はこの薬はブタさん由来なんですね。

ブタアレルギーについてはまあ、問題ありませんので今回は置いておきますが、

ある意味それよりも深刻な問題です。

 

ムスリムのかた、イスラム教徒の方ですが、

使用してはいけません。

絶対に。

 

これは戒律によるものなので、合理的なものではありません。

使用することにより、直ちに影響が起きるようなものではありませんので、

そういった意味では問題ありません。

でも、彼らの心に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

考え方なので、一律に話をすることはできないのですが、

当然避けられるものであれば避けたほうが良いものです。

彼らにとっては避けるべきものだからです。

 

なので医師としては処方はしないほうが良いものであったりします。

該当しそうな方にはあらかじめ確認したほうが良いと思います。

 

今回は注意してね。というお話でした。

 

オテズラ、乾癬に効果あり!みんな症状がよくなっています

尋常性乾癬の新薬、オテズラですが、

当院ではすでに何名かに処方を開始しております。

そのすべての方が2週間内服開始し、2回目の受診を行いました。

今日はその結果についてのお話です。

 

まず、効果。

すごーく良いです。

最初の2週間は漸増期間でもあり、効果はあまり高くは無いと考えられますが、

それでも皆さん、乾癬の症状は半減しています。

如実に変わったのは塗り薬の使用量です。

処方必要量=毎日の使用量ですが、

半減以下です。

これはすごいですね。

 

問題は副作用。

まず皆さんに出ています。

腹部の違和感やダルさ等があるようです。

ただ、日常生活に大きな支障はなさそうです。

なんとか送れているとのこと。

でも、効果がとても高いために少々の副作用が我慢して皆さん内服を継続すると言われます。

どうも、それだけの効果を実感しているようですね。

 

 

そして、診察して何よりも思ったのは、

皆さん、外来に入ってくる時の声が明るいこと。明るいこと。

今までの乾癬の外来って、なんとなく沈んだ感じだったんですね。

ああ、今日も変わりない・・・という感じだったんですね。

でも、オテズラの内服を開始して、劇的に変わった診察風景になりました。

これは純粋にうれしいですね。

 

オテズラ、値段と副作用に少し欠点がありますが、

効果を考えると、試してみても良いかもしれませんね。

【緊急】エピペンの回収ですが、追加もあるそうです(2017年4月)

 

先日も記事にしたと思うのですが、

エピペン0.3mgに追加の回収指示が出たそうです。

 

ロット:PS00025A

使用期限:2017年10月

 

です。

該当の方はファイザーさんまでご連絡くださいとのことでした。

 

なお、念のために回収する形であり、

まだ、事故の報告は無いとのことです。

でも心配ですから、該当者はお早めに対処ください。

オテズラの処方を希望される乾癬の患者さんのためのお話

昨日、ブログで記事にしたとおり、当院ではオテズラの処方を開始いたしました。

処方を希望される方もいらっしゃるかもしれませんので、受診の前の注意事項について

確認したいと思います。

 

1.紹介状は持ってきてください

現在の治療を行っている病院/診療所と並行して当院を受診し、

処方を行うことは可能です。

しかし、その場合は現在の治療に対する確認が必要となりますので、

紹介状をご持参ください。

また、紹介元病院内での処方が可能になるまでの限定的な通院も大丈夫です。

くれぐれも現在の主治医とケンカをするようなことはしないでください。

 

2.処方が出せない場合があります。

現在行っている治療法の内容および皮膚科や他科の合併症によっては

オテズラを処方できない可能性があります。

また、いままで全く治療を行っていないような方の場合も処方できない可能性があります。

当然、乾癬に対してのみ保険診療が可能な薬剤ですので、

その他の病気には使用することはできません。

他の原因が疑われる場合、確定診断がしっかりと付いていない場合も同様ですので、

お気をつけください。

 

3.どこの調剤薬局でも扱えるわけでは有りません。

新薬であること、乾癬のみに適応を有する薬剤であることより、

現時点ではどこの調剤薬局でも取り扱っているわけでは有りません。

処方箋を持っていっても数日待たされる可能性もありますし、

ときには「処方できない」と言われるかもしれません。

当院の近隣では取り扱っている調剤薬局が有ることは確認しておりますが、

患者さんの自宅近辺についての確認までは行うことができません。

処方箋交付後にも上記可能性が有ることをご注意ください。

 

4.初期副作用についての対応策がまだ確定しておりません。

このオテズラですが、それなりの頻度で悪心・嘔吐などの副作用が

初期に発生することが分かっています。

現在どのような対応を行うべきかは少しずつ判断できるようになっていますが、

データとしてベストな方法が示されたわけでは有りません。

また、どのような方にその副作用が出るかは分かっていないのが現状です。

リスクを回避されたい方は数カ月から数年の間は内服を控えても良いかもしれません。

 

5.長期副作用についてはまだはっきりしません。

新薬ですので、どうしても数年以上内服を継続した場合のデータの蓄積は有りません。

また、当然長期間内服後に思いもよらない副作用が出る可能性も無いとはいえません。

というか、こればっかりはわかりません。

先項と同じように、リスクを回避されたいからはもうしばらく様子を見ることをお薦めします。

 

今までの治験のデータを見る限り、幾つか難点は有るものの、結構良さそうな内服薬ではあります。

しかし、新薬である以上、上に記載したとおりのリスクも有ることをご理解ください。

また、「薬剤」にともなうリスクだけではなく「処方」について、「治療法」についても

様々な検討事項が有ることをご了承ください。

 

 

それでも処方を希望される方は、主治医と相談の上、紹介状を持って受診してください。

予約は通常通り、電話またはウェブで行うことが可能です。

しっかりと治療を行い、しっかりと押さえ込んでいきたいですね。

 

尋常性乾癬の新薬。「オテズラ」処方を開始しました。(2017年3月)

春です。少しずつ暖かくなってきましたね。

早いところでは桜も咲いてきたようです。

伊豆の桜はきれいでしたよ。

 

さて、尋常性乾癬の治療にも春がきたのでしょうか?

新薬の登場です。

 

新薬?すでにいっぱいあるよねという方。

正解です。

ここ数年、尋常性乾癬の新薬はいくつも登場してきました。

いわゆるバイオ製剤ですね。

 

でも、これは重症の患者さんに対する恩恵です。

というのも、このバイオ、いくつかの問題も有るのです。

 

一つは注射であること。

薬剤によっては数時間かけて点滴を行う必要があるのです。

したがって時間の制約が強い。

休日に数時間病院を開けてくれるところも多くはないので、

お仕事によってはお休みをして。ということになってしまいますよね。

 

もう一つ。

施設が限られていること。

結核など、過去の感染症の再発がリスクとしてありますので、

事前にしっかりとした検査が出来る施設でないと治療ができません。

そのためにどこでも出来るわけではないこと。

また、使用できる施設は学会により審査され、可能施設が登録される形になるので、

どの病院でもOKと言うかたちではないのです。

 

最後の一つは薬の値段です。

かなり高く、1回の治療で数万円かかってしまいます。

つまり、お財布に優しくないんです。

 

そんなこんなで、どこでもいつでも使える治療法ではないという難点がありました。

重症の方が、総合病院や大学病院で行う感じですね。

 

あまり症状の強くない、でも、なかなか抑え込めない乾癬の症状に対しての治療という意味では

今回の薬は久々の新薬と言えるものなのです。

 

メーカーさんの資料を確認する限り、効果は結構あるようです。

気になるお値段も3割負担の方で月1万5千円と、バイオ製剤に対してリーズナブルです。

副作用も、免疫そのものを完全に抑えるわけではないので、

感染症の再発などは有りません。したがって事前検査をガッチリと行う必要もないのがメリットです。

また、処方可能施設の制限も有りません。

 

とまあ、ここまで、良いことをお話してきましたが、難点も当然あります。

値段は今までの飲み薬や塗り薬に比べて高いことは高いですし、

まだ新しいタイプの薬ですので、どのような使い方をすればよいのか?

どんな人に効くのかわからない。などの問題点もあります。

副作用も時間が立ってから出るタイプのものも出るかもしれませんし、

思いもよらない副作用が出る可能性も当然ながらあります。

こればっかりは、わかりません。

 

ということで新しい薬。

最初は、処方する側も飲む側もおっかなびっくりではありますが、

少しずつ処方は増えるのではないかなあ。

などと考えております。

 

 

久しぶりに乾癬の治療をしっかりとしてみようかと考えている方がおりましたら、

使用を検討してみてはいかがでしょう。

なお、当院では処方可能ですが、他の病院ではまだ使えないところも多々あるようですので、

可能でしたら予め電話で問い合わせしたほうがいいですね。

エピペンの回収が始まりました。

月曜日に飛び込んできたニュースです。

 

食物アレルギーやハチさされに起因するアナフィラキシーショックの治療薬であるエピペンですが、

一部の製造品に針が正常に出なくなる不具合が有ることが確認され、

メーカー回収となりました。

 

幸い日本ではまだ同様の報告はないようですが、

致命的な自体を回避するための薬剤の、非常に大きなトラブルです。

 

手元にお持ちのかたはすぐに確認をしてください。

詳細について確認をしたい方はこちらのサイトからご確認ください。

なお、製造ロットはPS00019A、使用期限は2017年4月となっているようです。

そろそろ使用期限が切れる製品でもありますので、確認・必要時に交換をしっかりとおこないましょう。

特にこれからは虫のトラブルも増える時期です。また、子どもたちは新学期になります。

新しい学校・新しい先生とトラブルが起きやすい環境になりますので、この機会に一度

周りの人と一緒に手順を確認してみても良いかもしれませんね。

 

漢方薬でお腹の中が青くなる?

よく言われることですが、

漢方薬には薬のアレルギーが出ない。

あ、それ、都市伝説ですから。

副作用の報告もいろいろありますよ。

今回はそんなお話です。

 

私も漢方薬を処方することは多くは無いのですが、そのなかに独特の副作用があります。

それが「腸間膜静脈硬化症」です。

え?聞いたことない?

それもそのはず、漢方薬の中でも、特定の成分を長い間飲み続けて始めて起きる副作用ですから。

 

原因や発生するメカニズムは良くはわかっていません。

でも、発症した人に共通している成分がありました。

それが、「サンシシ」です。

これはクチナシの果実のことです。

 

このクチナシの実の中にはゲニポシドという成分が含まれています。

それが体内で分解され、ペニピンという分子に変わります。

で、これがさらに体のタンパク質と反応して青い色素になり、体内に沈着。

特に吸収されてすぐの腸からの静脈にてその反応が起きるために

腸間膜静脈のみ侵されるという理屈のようです。

 

そして、厄介なのは、自覚症状はあまり出ないこと。

そして長期間内服を続けて始めて出ることです。

数年ではなく、数十年して始めてでることもあり、要注意なんです。

 

非常に珍しいものではありますが、薬を飲む事を続けていると、

ある日思わぬ副作用が出てしまうことがあるんですね。

 

気をつけましょう。

 

飲み薬を飲む人は全員必ず血液検査をしましょうね。

皮膚科なので、塗り薬がほとんどです。

飲み薬を出すことはあまり有りません。

他の皮膚科医よりも少ないかな?

 

また今年も薬の副作用のニュースが出てきました。

高血圧の薬を飲んでいる人に副作用が出現し、

なくなった人も出たとのこと。

 

まず最初に大切な事を一点

飲み薬で副作用が出るリスクは、どんな薬でも、誰にでもあります。

次に大事なこと一点。

副作用によっては頻度は少ないですが、命に関わります。

最後にもう一点だけ。

副作用はいつどのような形で出るかは誰にもわかりません。

 

 

この3点。処方する側としては忘れたことは有りません。

できれば、飲む人も必ず知っていてほしいことなのです。

 

どんな薬でも自分の体に存在しない化学物質が入っている以上、

その成分に対して異常な生体反応を起こす可能性はあります。

 

そしてその反応は時に激烈になることがあるのです。

今回の記事にある、横紋筋融解症や腎不全などということもありますし、

スティーブンス・ジョンソン症候群など、皮膚にも重症の副作用が起こりえます。

時には皮膚症状から生命が脅かされることも有るのです。

 

なので、薬を飲まなくても済む環境であれば、

薬は飲まないに越したことは有りません。

 

薬は飲むものでは有りません。

リスクとメリットを天秤にかけて、飲むかどうか考えるものなのです。

 

後一点だけ、マスコミにお願いです。

メッセージ性が高く、話題になるからでしょうが、

死亡者が出たことをセンセーショナルに記事にするのではなく、

なぜそのようなことになるののメカニズムについてきちんと検証して

記事にしてもらいたいですね。

そのうえで、薬をのむという行為に対するスタンスを考えて欲しいのです。

一医療従事者からのお願いです。